老後のおかしなおかしな女学生生活 転生二年目

ミスター愛妻

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第六十六章 お菓子の贈り物

皇后様、『いやしんぼ』無心を連発される。

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「さて、今度こそケーキよ♪切るわよ♪」
 今は4時半……夕食は夜食になりそうですね。

 2つのケーキの出来は上々、というより特上♪

 半分ほど食べた時に、電話が鳴りました。
 文子さんが出てくれたのですが、

「雪乃様!すぐに皇后様が来られるそうです!オペラとザッハトルテ、残っておりますよね!」

「えっ!残っているけど……半分よ……そういってくれたの?」
「申し上げました!残っていたら皆でお邪魔する、とのお言葉です!」

「皆?」
「皇后様、皇太后様、武子様、後から吟子様、慶子様だそうです」

「頭の上がらない方ばかりじゃないの!大変、とにかく片づけなくては……」

 半分残っていたケーキは、残りも綺麗にカットして並べ、テーブルナプキンも新しい物にし、食器も全て替え、皆口を拭い、身だしなみを整えて……

 宮殿から、やんごとなき方々が歩いてこられました。

「雪乃、なにか久しぶりね♪皇太子から聞いたわよ♪ケーキを作っているとか?『いやしんぼ』しに来たのよ♪」
「いつでも歓迎します、いまケーキをお出ししますので、お座りください」

 オペラもザッハトルテもスクウェアに切られています。
 お一人あたり2種類のケーキが並べられ、あったかいコーヒーも側に運ばれてきました。

「お食事中に悪いわね、後2人来るけど、構わないかしら?」
「お聞きしております、ご用意もできておりますよ」

 皆でケーキを食べながらお母様が、
「ところでマリア王女に聞きたいのだけど、皇太子がいうには、今日は王国では『聖ウァレンティヌスの日』というの?」
「はい、花束とかカードを贈ったりする日ですが、その……女の方からはまず贈りません」

「ということは、雪乃の世界の話なのね?」

「私の前の世界では、バレンタインデーといって、この日には女から、意中の男性にチョコレートを贈る日なのです、またお世話になっている方にもチョコレートを贈ったりします」

「意中の男性には、腕によりをかけてチョコレートを手作りする女の子が多いのです、これを本命チョコとかいうのですよ♪大本命の方には、告白したりします」

「それ以外の男性に贈るチョコレートは愛というより、感謝がこもっています、『感謝』を装うためにも贈ったりしますけど、まあ、そんなときは手作りなんてしませんね」
「そんなチョコレートを義理チョコとかいうのですよ」

 お母様、かなり笑われました。

「義理チョコですか♪若い殿方なら、貰ったら間違うでしょうね♪面白い習慣ね♪」
「ところで、皇太子が雪乃からチョコレートを2箱貰ったようだけど、小さいほうは見せてくれないのよ、あれ、何が入っていたの?」

「その……ルビーチョコレートが4個……メッセージカード付きで……」
 恥ずかしそうな顔をして、言葉を濁してる雪乃さん。

「つまり、雪乃の『恋心』が書かれていたのね♪」

 ……

「お母様にも、チョコレートを贈るつもりです……」
「あら、その云うところの義理チョコ、いただけるの?」

 ……

「ごめんなさいね、別に他意はないのよ」

「ところで、『いやしんぼ』ついでに、無心できるかしら?食べてみたいわ」
「こちらです、どうぞ」
 お母様方にはピンクのチョコ箱に、ルビーチョコレート1個、ホワイトチョコレート1個、ビターチョコレート1個、ミルクチョコレート3個。

 そこへ吟子様と慶子様がこられて、目ざとくピンクのチョコ箱を見つけた慶子様が、
「あっ、そのチョコ箱、旦那様もいただいていたけど、箱の色が違うのね♪」

「皆さんへも渡そうと思っていたところです、どうぞ」

 と云う訳で、お客様にピンクのチョコ箱を、渡している雪乃さんです。

「まあ、皆さんお揃いになられましたので、ケーキを食べませんか?」
「雪乃は食べないの?」

「申し訳ありません、私どもは先に食べていたもので……」

「そうだったわね、急に来て、ケーキ足りたのね」
「かなり多めに作っていましたから、まだ余っています」
「どうするの?」
「考えておりませんが」

「いただけないかしら?」
「それは構いませんが?それぞれ16個残っておりますよ」

「ねえ、吟子さん、このケーキ、明日までもつと思いませんか?」
「すぐに冷蔵庫に入れておけば、問題はないかと思います」
 
「重ねての『いやしんぼ』だけど、5人で全部引き受けるわ、分配はこちらでするわよ♪」

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