上 下
156 / 167
第六十六章 お菓子の贈り物

本命チョコはルージュ(赤)の箱で

しおりを挟む

「さてと、ボンボンチョコレートの出番よね♪」
 
 シンプルな球形のチョコレートで、中に液状のままお酒が入っています。
 
 作られていたのは4種類。
 
 ビターチョコレートは殿方用に作られているようです
 中のウィスキーはカナディアンウィスキー。

 ミルクチョコレートは婦人用、中はバーボンウイスキー。

 ホワイトチョコレートの中はハイボール。
 ルビーチョコレートだけはロゼのシャンパン。

 ウェブで、合うお酒の記述をみつけたようなのです。

「こちらをどうぞ、王国の『聖ウァレンティヌスの日』では贈り物を贈るそうですが、それにあやかり、親しい方に私からの感謝の贈り物です」 

 差し出したのはラベンダーチェックのチョコ箱、ボンボンチョコレートが6個収まっています。
 中にはホワイトチョコレート2個、ビターチョコレート4個。
 これは白川宮様とかお父様とかにも配るつもりの雪乃さん。
 
 ただ殿下にはもう一つ、綺麗にリボンなど付けられたチョコ箱が……
「殿下は特別なのです!」

 朝比奈侯爵、肩をすくめていました。

 特別な殿下へのルージュ(赤)のチョコ箱には、ルビーチョコレートが4個。
 『お慕い申し上げています』なんて書かれた、メッセージカードも入っていますね。
 
 お母様方にもピンクのチョコ箱に、ルビーチョコレート1個、ホワイトチョコレート1個、ビターチョコレート1個、ミルクチョコレート3個。
 これが一番よさそうですね。

「お兄様、慶子様とハル様にこれをお渡しください」
 ピンクのチョコ箱を2箱……

 殿下が、
「今日は父上にご報告があるので、名残惜しいが、このまま侯爵と一緒に帰らしていただく、申し訳ない」
「……仕方ございませんね、お仕事ですものね……私どもの我儘でお引止めして申し訳ありません……」

「いや、こちらこそ、お茶会の予定だったのであろう?ケーキを取った形になって悪かったね」
「いえ、別の物がありますので、これから皆でお茶会をいたしますので、お気になさらないでください」
「そうか、そのケーキも美味いのであろうな」
「いえ、かなり甘いもので、殿下のお口には、合わないかと……」

「そうか、しかし先ほどのケーキは口に合った、かなりブランデーがきいていたいたから、『小さいご婦人方』にはしんどいかもしれんな」

「よければ、父上、母上にこのチョコレート、渡しておこうか?きっと喜ぶと思う」
「便利遣いになりますので、私の方から明日にでも差し上げます、ご配慮ありがとうございます」
「皆でお待ちしておりますので、またお越しくださいね♪こんどは、ゆっくりしてください♪」
「ぜひ、そうする」

 結局、朝比奈侯爵は、プチフィナンシェお菓子の箱と、チョコ箱を3箱、皇太子殿下も、プチフィナンシェお菓子の箱と、大小のチョコ箱、抱えてお帰りになられました。
 
 殿下の後ろ姿をつまらなさそうに見送る雪乃さん。
 朝比奈侯爵の手前、イチャイチャも口づけも、封印する羽目になった2人でした。

「さて、遅くなりましたが、ケーキでも食べましょう♪」

 オペラとザッハトルテのホールがお待ちですからね。

「雪乃様、殿方たちにお出ししたケーキ、余っておりますが、いかがいたしますか?」
「そうね、27個も余っているのよね……」

「このホールケーキが2つもありますし、私たちが食べるにしても多すぎませんか?」

「この屋敷にいま何人おられるのかしら?」
「『聖女御用係』の者が12名、日帰りで来られている方が8名ですが?」

「その方たちにふるまってはどうかしら?」
「そうですね、それでも7個余りますが?」
「そうね……とりあえず冷蔵庫かしらね」

 真希子様が、
「とにかく屋敷の者を集めて、食べていただきましょう、この屋敷の中で食べていただくの?」
「いえ、それぞれの休憩所で食べていただくしかないかと……『聖女御用係』の方を入れるのは4月からですので……」

 20名の方に玄関まで来てもらい、それぞれにケーキ皿を渡しましたね。
 なにやら、感激されておられるようです。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

処理中です...