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第六十六章 お菓子の贈り物
本命チョコはルージュ(赤)の箱で
しおりを挟む「さてと、ボンボンチョコレートの出番よね♪」
シンプルな球形のチョコレートで、中に液状のままお酒が入っています。
作られていたのは4種類。
ビターチョコレートは殿方用に作られているようです
中のウィスキーはカナディアンウィスキー。
ミルクチョコレートは婦人用、中はバーボンウイスキー。
ホワイトチョコレートの中はハイボール。
ルビーチョコレートだけはロゼのシャンパン。
ウェブで、合うお酒の記述をみつけたようなのです。
「こちらをどうぞ、王国の『聖ウァレンティヌスの日』では贈り物を贈るそうですが、それにあやかり、親しい方に私からの感謝の贈り物です」
差し出したのはラベンダーチェックのチョコ箱、ボンボンチョコレートが6個収まっています。
中にはホワイトチョコレート2個、ビターチョコレート4個。
これは白川宮様とかお父様とかにも配るつもりの雪乃さん。
ただ殿下にはもう一つ、綺麗にリボンなど付けられたチョコ箱が……
「殿下は特別なのです!」
朝比奈侯爵、肩をすくめていました。
特別な殿下へのルージュ(赤)のチョコ箱には、ルビーチョコレートが4個。
『お慕い申し上げています』なんて書かれた、メッセージカードも入っていますね。
お母様方にもピンクのチョコ箱に、ルビーチョコレート1個、ホワイトチョコレート1個、ビターチョコレート1個、ミルクチョコレート3個。
これが一番よさそうですね。
「お兄様、慶子様とハル様にこれをお渡しください」
ピンクのチョコ箱を2箱……
殿下が、
「今日は父上にご報告があるので、名残惜しいが、このまま侯爵と一緒に帰らしていただく、申し訳ない」
「……仕方ございませんね、お仕事ですものね……私どもの我儘でお引止めして申し訳ありません……」
「いや、こちらこそ、お茶会の予定だったのであろう?ケーキを取った形になって悪かったね」
「いえ、別の物がありますので、これから皆でお茶会をいたしますので、お気になさらないでください」
「そうか、そのケーキも美味いのであろうな」
「いえ、かなり甘いもので、殿下のお口には、合わないかと……」
「そうか、しかし先ほどのケーキは口に合った、かなりブランデーがきいていたいたから、『小さいご婦人方』にはしんどいかもしれんな」
「よければ、父上、母上にこのチョコレート、渡しておこうか?きっと喜ぶと思う」
「便利遣いになりますので、私の方から明日にでも差し上げます、ご配慮ありがとうございます」
「皆でお待ちしておりますので、またお越しくださいね♪こんどは、ゆっくりしてください♪」
「ぜひ、そうする」
結局、朝比奈侯爵は、プチフィナンシェお菓子の箱と、チョコ箱を3箱、皇太子殿下も、プチフィナンシェお菓子の箱と、大小のチョコ箱、抱えてお帰りになられました。
殿下の後ろ姿をつまらなさそうに見送る雪乃さん。
朝比奈侯爵の手前、イチャイチャも口づけも、封印する羽目になった2人でした。
「さて、遅くなりましたが、ケーキでも食べましょう♪」
オペラとザッハトルテのホールがお待ちですからね。
「雪乃様、殿方たちにお出ししたケーキ、余っておりますが、いかがいたしますか?」
「そうね、27個も余っているのよね……」
「このホールケーキが2つもありますし、私たちが食べるにしても多すぎませんか?」
「この屋敷にいま何人おられるのかしら?」
「『聖女御用係』の者が12名、日帰りで来られている方が8名ですが?」
「その方たちにふるまってはどうかしら?」
「そうですね、それでも7個余りますが?」
「そうね……とりあえず冷蔵庫かしらね」
真希子様が、
「とにかく屋敷の者を集めて、食べていただきましょう、この屋敷の中で食べていただくの?」
「いえ、それぞれの休憩所で食べていただくしかないかと……『聖女御用係』の方を入れるのは4月からですので……」
20名の方に玄関まで来てもらい、それぞれにケーキ皿を渡しましたね。
なにやら、感激されておられるようです。
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