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第六十五章 皇太子殿下、それとなく惚気る
やっつけケーキの隣で
しおりを挟む翌日、帝国一女から帰ってくると、すぐにチョコレートケーキを作り始めた雪乃さんです。
なんと、オペラですね。
某調理学校のサイトに作り方が載っており、一読した雪乃さん、テキパキ作り始めたのです。
44x33x8センチの48人分のようです。
……大きさ、わからないから、ウェブのケーキのサイズ通りでいいわよね……
さらに、今度はザッハトルテを作り始めています。
「文子様、東宮御所に電話して、殿下にケーキを作っているので、お食べに来られないか、お伺いしてくれない?」
「もしもし、交換手さん、63番の『帝室聖女御用邸』ですが、11番へお願いします」
文子様、何回このセリフをしゃべったのでしょうね♪
折り返し電話がかかってきます。
「はい、憲兵本部におられる?午後の3時半?分かりました、お伝えいたします」
「殿下は、目の前の憲兵本部におられるようですが、会議中のようで、3時半に終わられるとのことです」
「私が憲兵本部にいって、伝言を伝えてきましょうか?」
「そうですね、今は3時、もうすぐ会議も終わるでしょうから、会議の方々をご招待しましょうか?」
「せっかくの手作りケーキをお出しするですか?」
「あれ、結構お酒がつよいのよ、ブランデーとラム酒がふんだんに入っているの、小百合さんなんて酔うかもしれないわ、そんなケーキを食べていると思われると、恥ずかしいわ」
「悪いけど取り寄せの物にするわ」
どうやら安直に、お取り寄せするつもりのようです。
小皿をテーブルに並べ、100均で2個100円のバターケーキを取り寄せのせています。
50個用意したようです。
そこに製菓用のブランデーを吹き付け、100均で売っていたドライフルーツ干しブドウと、ホイップチョコレートクリームで飾り付けます。
ケーキの横にはホイップクリーム、さらに100均で売っていた冷凍のイチゴ、ブルーベリーを添えています。
あっという間に、それなりのケーキが全部で50皿……
「文子様、悪いのですが、会議が終わり、お時間があるなら、私がこの館でお茶など差し上げたいと希望していると、申し入れてきてくださいませんか?」
「あと、会議の方の人数も聞いてきてくれら助かるわ♪」
文子様が申し入れに行き、帰ってくると、殿下もご一緒?
「ちょうど終わったところに、文子さんがやってきてね、皆を連れてきた♪」
「朝比奈侯爵もおられるよ」
お兄様、なんとなくばつが悪い顔をされておられます。
「お兄様、お久しぶりです、皆様、お元気ですか?」
「うちの者は元気だ、雪乃も元気そうだな、たまには顔を出してくれ」
どうやら陸軍さんの会議のようですね、中々のおじさま方がおられます、久光お兄様なんか、ペーペーのようです。
「いつもの食堂で申し訳ありませんが、お茶といっても、殿方はコーヒーのほうがよろしいかと思いまして、コーヒーを用意させていただいております」
「ところでお荷物は?」
「憲兵本部においてある、大丈夫だ」
殿下を含めて23名で会議をされていたようで、結構お疲れの顔をされておられます。
タバコ臭いこと……
食堂のテーブルは10人用ですが、4つ置かれています。
そこで5人から6人で分かれて座っていただき、そこに私と3人の王女御が同席しました。
千代子様以下、4人の方がコーヒーを淹れて、運んでくれます。
他の方もそれぞれケーキを運んでいます。
こうして眺めると、ほんと、皆さん美しいですね♪
「どうぞ、売っていたものに、少しばかり手を加えただけのもので、申し訳ありません、では、殿下、ご発声をお願いできますか?」
「皆、私と雪乃さんのことについて、色々と云われているのは承知している、はっきりと言えないのは大変遺憾なのだが、否定はしないという事である」
「とにかく面倒な議題は結論を見た、雪乃さんの好意を受け取っていただきたい、ではいただこう」
雪乃さんの隣は殿下と朝比奈侯爵……
「これは美味いな♪ブランデーがよく効いている♪」
「おほめいただき、嬉しく存じます♪」
「お兄様は、お口に合いましたか?」
「そんなに甘くないので助かる」
概ね、このやっつけケーキ、一応チョコレートケーキぽい物ですが、評判が良いようです。
殿下が、声を低くして、
「朝比奈侯爵、これから、貴方を兄と呼ぶようになる、よろしくお願いする」
「殿下!そのような事は……」
「ここでしか言えないから、朝比奈侯爵、私は雪乃さんを妻にと望む、ついては承諾願いたい」
「殿下……妹を……可愛がっていただければ……どうか、大事にしてやってください……」
このテーブルについていた殿方は、聞こえない風にして入れました。
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