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第六十五章 皇太子殿下、それとなく惚気る
バレンタインのチョコケーキ?
しおりを挟む「忙しいって、そのボンボンチョコレートを渡すことですか?殿下にお渡しするにしても、大量ですが?」
「明日、私のいたところでは、女の子が殿方にチョコレートを贈る日なの♪」
「殿下以外の、お父様とか、久光お兄様とか、白川宮様とか、お世話になっている方にも差し上げるつもりなの♪」
「まあ、お世話になっている方には、女性にも差し上げようかと……」
「帝国では関係ないけど、王国ではするのでしょう?」
マリア様が、
「確かに贈り物をやり取りする日ではありますが、チョコレートとは決まっていません、花束とかカードとか、とくに女から送ることは滅多にありませんが……」
「私のいたところでは、女の子が意中の方にチョコレートを贈るのよ、本命チョコって呼ばれているわ、それ以外は義理チョコって呼ばれるのよ」
「義理チョコですか、もらった殿方は少しかわいそうですね、この子、自分に気があるのでは?とか思いそうです」
「でも王国では、先ほども言いましたが、女は贈りませんよ、はしたないと思われますから」
ダイアナ様が、
「マリアお姉様、それは私たちのような『普通の女』の話ですよ、雪乃様は別なのよ、『恋心事件』でも、普通は『はしたない』とか言われるのに、雪乃様の場合、好感を持たれたでしょう?」
「いわれればそうよね……聖女様でしたね……」
ここで小百合さんが、
「あの……ボンボンチョコレートを、食べてみたいのですが……」
「小百合様!」
和様が窘めていますが、
「いいわよ、皆さんの分ぐらいはあるのよ、まあ、一つにしてね♪」
見事にせしめて、さっそく口に入れている小百合さん。
「うわ、お酒がすごい!」
お子様組はやはりね……
といっても、雪乃さん、十四歳なのですけどね。
「これ、美味しいです!」
とか言っているのは、二十歳を超えられているお姉様がた。
「明日、チョコレートケーキを作るつもりよ♪皆に私からの贈り物よ♪本命チョコケーキよ♪」
「殿下も来られるのですか?」
「甘い物はお好きではないようで……ブランデーケーキなんて、実は六日前に作っていたのよ♪、明日ぐらいで美味しくなるわよ♪」
いつ作っていたのか、誰も知らないようですが、シンプルなパウンドケーキです。
通常より、仕上げ用のブランデーは強めに塗っているようです。
これをついでとばかりと、5ケも作っていた雪乃さん。
ここで、小百合さんが、
「あの、私、チョコビスケットケーキなら得意です!私もお姉さま方に贈り物します♪義理チョコケーキです♪」
これには皆で笑いました。
「小百合様、チョコビスケットケーキ、作れるのですか?」
クラリッサさんが、驚いたように聞いています。
「雪乃様に教えていただいたのです♪」
なにか威張っている小百合さん。
「私に教えてくれない?」
「私も♪」
愛様と和様……
「ビスケットケーキって幾つか種類があるのよ、今度の休みに皆で作りましょうか?」
「いいですね♪その時までに、レシピを書いてくださいませんか♪イラスト入りで、ぜひ♪」
「でも、混ぜご飯のレシピの小冊子も作るのでしょう?」
いままで、お汁のレシピ、パンの耳のレシピ、簡単お丼のレシピ。
この三つつの小冊子がありますが、そこに混ぜご飯のレシピとビスケットケーキのレシピですか……
パンの耳のレシピは私のイラスト入りで、最初の100部から、お母様の要望でさらに増刷して宮殿の女官さんたちに配っています。
もうこうなったら、お汁も私のイラスト入りで……シリーズものとしましょうかね……
どれも超簡単ですからね……
「分かったわ、とにかく明日は私がチョコレートケーキを作るわ♪」
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