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第六十五章 皇太子殿下、それとなく惚気る
料理が下手な方もおられます
しおりを挟む2月14日、この日は王国では『聖ウァレンティヌスの日』となっており、ささやかに愛する人や親しい人に、贈り物を贈る習慣があります。
でも、帝国ではそんな習慣はないのですね。
しかし雪乃さんは、前日、学校から帰ると、なにやら真剣に作っています。
ウィスキーボンボンチョコレート……
頭の中でレシピを検索、材料は制限内でありますから、値段に関係なく取り寄せています。
テンパリングなんて、とても初めては思えませんね。
凄い集中力、近寄りがたいオーラなんて纏いながらのお菓子作り……
夕食前にできたようです。
「あとはラッピングね♪」
「いけない、もうすぐ晩御飯の時間よね、なにか作らなければ……時間がないし……久しく焼きそばなんて食べていないから、焼きそばにしましょうか」
『帝室聖女御用邸』は電気には困りませんからね。
2台あるホットプレートで、焼きそばをね、一つはお肉、もう一つはシーフード。
今日の当番は……えっ、カトリーナ様……父親の為に食事を作っていた?
冬キャベツとソーセージのコンソメスープ……
……キャベツが重なったわね……キャベツなしのものにしましょうか……
一つは白菜と豚肉……中華スープで炒め、塩コショウで味付け。
もう一つは人参と玉ねぎとこちらも豚肉、ソースは焼きそば用の粉末ソース……
ご飯は……作ったことがないので、清子様に手伝ってもらった?
ちゃんと白いご飯が炊かれていました。
「カトリーナ様、スープ、お上手なのね♪美味しいわ♪それにしても清子様、ご飯炊けたのね」
「雪乃様!酷いです!」
「清子様って、お料理を学ぶ時間も犠牲にして、音楽に突っ込んでいたと思っていたのよ、ごめんなさいね」
「ピアノなんて、素晴らしくお上手でしょう?何かを犠牲にしなければ、あそこまでうまくなれないと思えてね」
「いえ、それほどでも……実はご飯ぐらいしか炊けなくて……」
「ご飯が炊ければ、十分ではありませんか?」
「でも、私、凝ったおかず何て作れなくて……でも、雪乃様がおかずを用意してくださるので、皆さんにご迷惑を掛けなくて済んでいます、お汁は雪乃様がお作り下さったレシピが頼りなのです♪」
「音楽教師をしていた頃は、ご飯に鰹節と醤油を掛けたり、卵を掛けたりでした、お味噌汁の具はネギ一択……おかずはなかったというか、作れなかったというか……お金がなかったというのが一番の理由……」
加代様が、
「清子様、お可哀そうに……私の家も貧乏でしたが、おかずはお芋とかお大根とか……お汁はお母さんが野菜くずからお出しを出されて、それにお味噌を溶かしたものでした」
「それさえ作っていたら、簡単なのですよ♪」
真希子様が、
「それ、万年スープよね、宮殿でも万年スープのすまし汁はよく出る、というより毎日でるわよ、加代様は作れるの?」
「美味しいかは分かりませんが、作り方は知っています」
「なら、教えてくれない?たまに実家に帰ると、野菜くずが捨てられていて、もったいないと思っていたのよ、宮殿では慎ましく万年スープなのに、子爵家の実家は捨てているのよ、おかしいと思うわ」
青田子爵家は、万年スープ、知らないようですね。
「万年スープって、ご飯炊くときに水の代わりに使えば、美味しい炊き込みご飯になるとおもうわよ」
「えっ、そうなんですか!」
ここでカトリーナ様が、
「炊き込みご飯って、難しいのですか?一度、八重様がお作りになった物をいただいたのですが、美味しかったので……」
「別に難しい事ではないけど……」
「お汁のように、レシピをお作り願えませんか?」
「そうですね……ご飯も危ない方がね……まずは炊飯器でご飯を炊けるようになるという事で、炊き込みご飯というより、『混ぜご飯』のレシピのほうが良いのでは?」
「混ぜご飯?」
「炊き立てのご飯に具材を混ぜ込むだけもの、簡単よね、なにか作ってあげましょうか?」
『パセリご飯』……ご飯にパセリのみじん切りをまぜ、塩コショウで味付け……
これにバターを混ぜ込んだ『パセリバターご飯』……
焼きそば食べながら、『パセリご飯』と『パセリバターご飯』をご試食中……
「簡単ですね♪ぜひレシピを、冊子にしていただけませんか♪」
「いいけど明日は許してね、明日は忙しいの♪」
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