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第六十四章 資産減少大作戦?

ラジオ放送と甘い電話?

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「雪乃、新しい童話、取り寄せたと、『聖女青鞜局次長』から聞いたわよ♪」
 お母様が突然やってきて、開口一番のお言葉です。

「もう、真希子様、ぺらぺらと!」
 
「それでね♪ラジオなのよ♪お判り♪」

「勘弁していただけませんか」
「だめよ♪貴女と息子の婚約発表に向けて、お祝いムードを盛り上げるのよ♪」

「ラジオの朗読なんかで、お祝いムードなんて、盛り上がるのですか?」
「確実に盛り上がるわよ♪」
 
 お母様の強引さに負けて、雪乃さん、『聖女殿下のお話』の追加を承諾したわけです。
 木曜、土曜の午後、及び日曜日もつぶして、追加のグリム童話、30話を録音して、『聖女青鞜局』に渡したのです。

 1月13日、ラジオがこんな宣伝放送をしていました。

 ……賢くも聖女雪乃王女殿下に置かれましては、好評ながら惜しくも終了した、『聖女殿下のお話』の続編30話を追加されました……
 ……1月15日、夕食後の7時に、毎日1話ずつ放送いたします……

 翌日、クラスメートが、
「雪乃様、楽しみですね♪」
 皆さんが云うのです……
 
 学校から帰宅すると、皇太子殿下からも電話がかかってきて……

「雪乃さん♪私も楽しみに聞かせてもらうよ♪近頃忙しくて、日曜の昼しかそちらに行けなくて、申し訳ない」
「いいのですよ♪お仕事でしょうから♪こうしてお声が聴けるだけで、私は幸せです♪」
「そういってくれると助かる、ありがとう♪」

「はやく4月にならないかと、心待ちにしているよ♪」
「そうですね♪でも、私はもう殿下のモノ、可愛がってくださいね♪で、ないと怒りますよ♪」
「それは怖いな♪しかたないから、四六時中、甘やかすことにするよ♪」
「うふ♪じゃあ、甘えますね♪」
「そうしてくれ、美しい妻に甘えられるのは、夫として悪い気はしないよ♪」

 この2人、もはや夫と妻のつもりのようです。
 甘い甘い明日しか頭にありませんね……

 はた迷惑な痴話話、電話ですから、周りには丸聞こえ……

 でも、このごろ『帝室聖女御用邸』の他の女たちは、明らかにスルー状態、『聞き耳をたてる』などという『はしたない』まねはしない……
 食傷気味でね……

 この後、お約束というか、非常に機嫌が良くなった雪乃さんでした。

「相変わらず、嬉しそうですね」
「えっ♪そうかしら♪わかる♪♪♪」

「殿下との話題をふりたくはないのですが、あまりにべたべたデレデレではね……ほほえましいを通り越して、はた迷惑ですからね」
 このごろ真希子様、手厳しいのです……

 シンディー様も、
「見せつけられるものとしては、さすがに辟易しますね」

「あの……私、そんなに酷いの……」
「ご自分で気が付かない、というところで、ダメなのではありませんか……この点以外は、完璧な淑女なのですが……」

 洋子様が、
「雪乃様も恋する女性、殿下にさりげなく、ご注意申し上げては……」

 この『殿下にさりげなく、ご注意』は、皇后陛下と皇太后陛下が却下。

「皇太子が口説いて、やっとここまで来たのですから、結婚まで邪魔をしないの!若い二人、子供が出来たら、ラブラブも落ち着くわよ!」
 だ、そうです。

 間近で見せつけられると、甘すぎて顰蹙ものですが、少し離れて眺めている両国の方々には、この2人、ほほえましく見えるようです。
 『恋心事件』以来、なんとなくですが、積極的な女性が増えたようなのですね……

 『聖女殿下のお話』の続編がラジオ局から流れると、やはり大好評……
 一段とラジオが帝国全域に普及したわけです。

 真空管なども大いに売れるし、ラジオ局や帝国電波機器の株式配当、無線通信関係の特許使用料など……
 チマチマと資産の減少を図っていたのに……ペイするどころか、微増してしまったのです……

 クソ―どうすりゃいいのですか!

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