老後のおかしなおかしな女学生生活 転生二年目

ミスター愛妻

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第五十九章 年末は王国で慰問に忙しく 前編

続・恋心は隠しおおせるわけもなく

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「いまのご質問、王太子殿下にも皇太子殿下にも、大変失礼な事と思われますよ」
「しかしあえてお答えすれば、私が翻意するのは、幾度も申し上げますが、皇太子殿下が私を秋の扇子のように棄てられた時です、それ以外はありえません」

 別の記者が、
「不躾ついでにお聞きしますが、雪乃王女殿下は、皇太子殿下の前に、帝国の親王殿下と婚約寸前とお聞きしておりましたが、どのような経緯で皇太子殿下をお選びになられたのですか?」

 さすがに、側にいた王国と帝国の係官が声を荒げました。

「貴様!無礼にもほどがあるぞ!」
 
「いいのですよ、確か貴方は共和国の新聞社の方ですね、なら、申し訳ありませんが、親王殿下にお伝えください」

「私は確かに恋心を親王殿下に抱いておりました、夢も見ておりました」
「しかし私より別の方をお選びになり、親王殿下は私を見限り、禁断の恋を選ばれました」
「その時、皇太子殿下は親身に慰めて下さり、皇帝陛下も皇后陛下も、皇太后陛下まで、私の事を心配して下さりました」

「私はその時、皇太子殿下が私を愛して下さるなら、皇太子殿下を愛し、そのご両親様に尽くそうと決意しました」
「そして皇太子殿下は、こんな私を愛してくださっていると確信しております」

「私の皇太子殿下への恋心は、隠しきれないところまで来ております」
「近頃は、周りの方々が迷惑顔でおられるのも承知しております」
「はしたないとは存じておりますが、今では私の心は殿下の手練手管に絡まって、がんじがらめの状態です、しかしそれが嬉しいと思っております」

「……なんとも、ここまで堂々とおのろけをおっしゃられるとは……感嘆しました、これからお二人の幸せを願いましょう」

「ありがとうございます」

 この後、記者さんたち、毒気を抜かれたのか、質問もなく、記者会見はお開きとなりました。

「ねえ、雪乃様の大告白記者会見で私たち、何の質問もなかったわね?」

 マリア様とダイアナ様が、このような会話をされていました……

 大告白記者会見……うぅ……恥ずかしい……穴があったら入りたい……なんであんなことをいったの?馬鹿馬鹿馬鹿!

 翌日の記事に各社は概ね次のような記事をのせていました。

 『帝国の聖女岩倉姫宮雪乃王女殿下、王国に来訪される、記者会見で堂々と帝国皇太子殿下との交際をお認めになられる』
 その後、記者会見の質疑応答がそのまま載せられ、色々な記者さんたちの感想が書かれていました。

 『雪乃王女殿下にこれほど愛される帝国皇太子殿下、お二人の行く末を祝福するが、正直、男としては『この野郎』と思ってしまった……せめて我が国の王太子殿下に、恋していただければと思うのは、もはや無意味であろう』

 『王女殿下は素晴らしい女性である、これは会見場に居たもの全員の感想であろう、この素晴らしい女性の視線が、王国に向けられ続けていただけるように、王女殿下のお側に王国の女性を増やすべきであろう、こう言っては何だが、帝国皇太子殿下が困るとしても、それは王国には関係ない話』

 『帝国皇女は、王女殿下のお側には侍られない、『王女御』は王国王女しかなれない、しかし奥の手として、帝国皇帝陛下の養女として『王女御』に送り込みかねない、『王国青鞜局』はこのあたりを断固として阻止していただきたいものである』

 『雪乃王女殿下ご自身がおっしゃっておられるが、愛人の件はご自身ではいかんともしがたい、王国と帝国の戦争や小競り合いは、どうやら、このあたりの確執で収まっているようだ、平和のための犠牲と考えると、何ともお可哀そうなことだ』

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