125 / 167
第五十九章 年末は王国で慰問に忙しく 前編
続・恋心は隠しおおせるわけもなく
しおりを挟む「いまのご質問、王太子殿下にも皇太子殿下にも、大変失礼な事と思われますよ」
「しかしあえてお答えすれば、私が翻意するのは、幾度も申し上げますが、皇太子殿下が私を秋の扇子のように棄てられた時です、それ以外はありえません」
別の記者が、
「不躾ついでにお聞きしますが、雪乃王女殿下は、皇太子殿下の前に、帝国の親王殿下と婚約寸前とお聞きしておりましたが、どのような経緯で皇太子殿下をお選びになられたのですか?」
さすがに、側にいた王国と帝国の係官が声を荒げました。
「貴様!無礼にもほどがあるぞ!」
「いいのですよ、確か貴方は共和国の新聞社の方ですね、なら、申し訳ありませんが、親王殿下にお伝えください」
「私は確かに恋心を親王殿下に抱いておりました、夢も見ておりました」
「しかし私より別の方をお選びになり、親王殿下は私を見限り、禁断の恋を選ばれました」
「その時、皇太子殿下は親身に慰めて下さり、皇帝陛下も皇后陛下も、皇太后陛下まで、私の事を心配して下さりました」
「私はその時、皇太子殿下が私を愛して下さるなら、皇太子殿下を愛し、そのご両親様に尽くそうと決意しました」
「そして皇太子殿下は、こんな私を愛してくださっていると確信しております」
「私の皇太子殿下への恋心は、隠しきれないところまで来ております」
「近頃は、周りの方々が迷惑顔でおられるのも承知しております」
「はしたないとは存じておりますが、今では私の心は殿下の手練手管に絡まって、がんじがらめの状態です、しかしそれが嬉しいと思っております」
「……なんとも、ここまで堂々とおのろけをおっしゃられるとは……感嘆しました、これからお二人の幸せを願いましょう」
「ありがとうございます」
この後、記者さんたち、毒気を抜かれたのか、質問もなく、記者会見はお開きとなりました。
「ねえ、雪乃様の大告白記者会見で私たち、何の質問もなかったわね?」
マリア様とダイアナ様が、このような会話をされていました……
大告白記者会見……うぅ……恥ずかしい……穴があったら入りたい……なんであんなことをいったの?馬鹿馬鹿馬鹿!
翌日の記事に各社は概ね次のような記事をのせていました。
『帝国の聖女岩倉姫宮雪乃王女殿下、王国に来訪される、記者会見で堂々と帝国皇太子殿下との交際をお認めになられる』
その後、記者会見の質疑応答がそのまま載せられ、色々な記者さんたちの感想が書かれていました。
『雪乃王女殿下にこれほど愛される帝国皇太子殿下、お二人の行く末を祝福するが、正直、男としては『この野郎』と思ってしまった……せめて我が国の王太子殿下に、恋していただければと思うのは、もはや無意味であろう』
『王女殿下は素晴らしい女性である、これは会見場に居たもの全員の感想であろう、この素晴らしい女性の視線が、王国に向けられ続けていただけるように、王女殿下のお側に王国の女性を増やすべきであろう、こう言っては何だが、帝国皇太子殿下が困るとしても、それは王国には関係ない話』
『帝国皇女は、王女殿下のお側には侍られない、『王女御』は王国王女しかなれない、しかし奥の手として、帝国皇帝陛下の養女として『王女御』に送り込みかねない、『王国青鞜局』はこのあたりを断固として阻止していただきたいものである』
『雪乃王女殿下ご自身がおっしゃっておられるが、愛人の件はご自身ではいかんともしがたい、王国と帝国の戦争や小競り合いは、どうやら、このあたりの確執で収まっているようだ、平和のための犠牲と考えると、何ともお可哀そうなことだ』
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる