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第五十九章 年末は王国で慰問に忙しく 前編
融和ムード
しおりを挟む聖女岩倉姫宮雪乃王女は、今日も帝国第一高等女学校へ通学です。
二回目の冬を迎え、帝都にも雪が積もっています。
12月のある土曜日、今日は私の温習会、つまり父兄参観日なのです。
去年、『おばあ様』がやってこられて、大変な騒動になったわけなのですが、今年は慶子お義姉様になりました。
ダイアナ様にはメアリー王女様がこられます。
メアリー王女様、近頃、定期運行されている、『上り聖女御用列車』にお気軽に乗ってこられ、マリア様やダイアナ様に会いに来られるのですね……
慶子お義姉様もお気軽に『下り聖女御用列車』に乗り込んで、王国へ行かれるのです……
2人とも、『名誉青鞜佐瑠女(せいとうさるめ)』ということで、それなりの特典が認められていまです。
このため、青鞜会と王国青鞜会が運営している、恩賜財団 青鞜会 第一女児孤児院、及び第二女児孤児院、王国青鞜会 第一女児孤児院、及び第二女児孤児院の四施設の名誉院長にもついていただいています。
このお二人、どうも互いの館を行き来しておられるようで、なにかと会合を持たれているようですね。
さて『聖女のおもちゃ社』は、帝国帝室、王国王室のご用達となっており、幼いプリンス、プリンセスも、平民に提供されるおもちゃと同じもので遊んでいる……
両国の帝国帝室、王国王室への国民感情は、このおかげで極めて好ましいことになりつつあります。
ついこの間まで、国境紛争で諍いばかりしていた両国も、不可侵条約が成立、両国民は安堵しているわけです。
といっても、過去の戦いで被った人的被害、そのような棘がまだまだ残ってはいるのですが、青鞜会と王国青鞜会という、両国の婦人団体の交流、そして『聖女のおもちゃ社』に代表される、両国共同出資による国際企業などの活動で、人々の心に刺さっていた『棘』も、抜けてきたようなのですね♪
融和ムードが漂い始めているのです。
慶子様は降嫁され、朝比奈侯爵夫人となられておられます。
もっとも帝室一族の女性は、何らかの理由で出戻り?になったら、帝室一族に籍が戻るのですけどね。
メアリー様も降嫁なされ、ブレアム公爵夫人ではありますが、王国は王女が結婚されても、王族のままなので、王国王女の称号をお持ちです。
なので結局、それなりの厳重警護……
やはり近衛歩兵第一連隊の第一中隊が、帝国第一高女を朝から取り囲み、日赤の看護婦さんが、女生徒を遠慮無くボディチェックしてくれます!
三限で行われる教師とのお茶会?といってもお茶とささやかなお菓子がでて、生徒の現状を学校が説明するようなのですね。
勿論、個々の生徒の問題など、要望があれば、四限以降に個別面談となるようですが……お二人は、さっさと三限で切り上げられたようです。
私たちが帰ると、『帝室聖女御用邸』でちゃっかりと、お茶なんて飲んでおられました。
青田真希子様とシンディー・サイアーズ様が、お相手していました。
平野千代子様たちや、ローラ様やカトリーナ様は、三部制の恩賜青鞜会実科高等女学校へ今年から通学されておられ、平日の三限から六限までは、『帝室聖女御用邸』の雑務は青田真希子『聖女御用係主任』兼『聖女青鞜局次長』と、シンディー・サイアーズ『王国聖女御用係主任』兼『王国青鞜局次長』のお二人の内、どちらかが取り仕切ってくれます。
メイドさんたちがおられない時も、お二人が詰めてくださります。
「お早いのですね、私への苦情など、聞かされているかと思っていましたが?」
「別に雪乃さんの問題なんてあるわけないでしょう♪」
「そうよ、うちのダイアナも、なんの問題もあるはずがないわ!あっても、聞く耳何て持たないわよ」
なんかね……保護者としては失格のような……お二人の息子さん、学校へ通い、教師からなにか云われたらどうするのでしょうね……
まあ、男の子ですから、ブレアム公爵と久光お兄様が、しっかりと育てるとは思いますが……
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