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第五十六章 十月のチョットした出来事
日輪兵舎
しおりを挟む九月……、帝国一女では遠足でした。
校外運動会も遠足みたいな物でしたが、こちらもたいして変わりません!
なんでこの女学校は、か弱き女学生を歩かせるのですか!
足が太くなったらどうするのよ!
『高尾山薬王院参拝』!
帝国にもあるのですよ!世界が違うのにね!
でもケーブルカーなんてありませんよ!京王線なんてのもありません!鉄道で浅川駅、そこから西へ歩き、高尾橋を渡り、険しい山道を登る……
なにを考えているのでしょう!せめて駅から登山口まで、馬車なんて用意出来なかったのですか!
しかも『男坂』、百八段もの階段を上らせるのですから!
行きも帰りも『歩き』、まあお昼は用意してくれたのですけど……精進料理……ハンバーグもお豆腐なのですよ!
まあね、買い食いしながら行き帰り、名物の『とろろ蕎麦』もいただきました!
『天狗焼き』とかも食べながら歩いていると、先生に見つかりお目玉を食らったのです。
まあ、私の知る『高尾山』ではありませんが、京王線は存在しないのにお土産物はかなりダブっているというか……
遠足は土曜日でしたが、翌日は筋肉痛でね……
遠足が終わると、帝国一女もいつもの学舎にもどり……ませんね。
夏休みに退学された春野加代様の噂が広まったのです!
「春野加代様の話、お聞きになりました?」
「聞いたわ!本当なの?」
「お家が破産したそうなのよ、それで春野さんが身を売ったとか……」
「洲崎遊郭の八幡楼で見た方がいるらしいのよ」
「八幡楼?あの時計塔で有名な?」
「青井財閥邸に出入りしている植木屋さんが、家にも出入りされていて、青井様が登楼したおり、見かけたとおっしゃっていたそうよ」
「まぁ、いやだ!青井様って、遊郭に行かれるのね!」
「仕方無いじゃないの、殿方ってそんなものよ、まして青井様って財閥のご当主、男爵様よ」
「華族様って、一杯妻や妾がおられるのに、その上、お女郎さんを買いにいかれるのね!」
「貴女が怒ってどうするのよ、私たちだって、いつ華族様に年季奉公になるか、分らないわよ!」
「まして財閥当主よ、側室が必要なのよ、手っ取り早くお女郎さんを側室にって、良くある話じゃないの?」
「女って悲しいわね……」
「そうね……」
……春野様、綺麗な方だったのに……
……遊郭に乗り込んで、春野様を身請けなんて、とても出来ないし……
……『聖女青鞜局』に相談してみましょうか……
『帝室聖女御用邸』に戻ると、青田真希子様に、
「お願いがあるのですけど……洲崎遊郭の八幡楼のお女郎さんを、身請けしたいのですけど……」
「はぁ?」
「いえね、クラスメートの春野加代さんが、洲崎遊郭の八幡楼のお女郎さんに……私の名前で身請けすると、何かと問題が……」
「それに、一人を救うと幾人も……最終的には船が転覆してしまう……」
「云わんとされることは理解いたしましたが、『聖女青鞜局』の名前では……やはり青鞜会の、教育総監部あたりの名前で身請けをされた方が良いかと思われますが?」
愛様にも来ていただきました。
「遊郭のお女郎さんを身請けするのは……一度、どなたかに身請けしていただき、その後、奉公契約という事なら……」
!
「青井財閥にお願いするというのは?」
「青井財閥?あの建設会社ですか?でも、なぜ?」
「クラスの噂話で青井財閥の当主が洲崎遊郭の八幡楼に登楼して、春野様を見かけたとか……」
「なるほど……」
「しかし、青井財閥になんの得がありますか?ただでは難しいですよ」
「建設会社ですか……なにか技術を提供すればいいですかね……」
「……あまり、有意義過ぎる物は……」
「そうなのですか?」
「そうですね……では廉価で簡単な建物の概略設計図なんてどうでしょうか」
「そんな建物があるのですか?」
「中流住宅の建造費の坪単位の十分の一で建てられると思います」
「素人60名でかかれば一日で建築できたようですね」
「基本的には兵舎とか、共同宿舎とか教室などになりますが、『日輪兵舎』とよばれています」
「『日輪兵舎』……その設計図、先にお貸し願えませんか?陸軍あたりと検討してみます……」
ということで、
インターネットにある、簡単な立面図と平面図の資料を渡したのですね。
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