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第五十五章 とんぼ返りのお仕事

ローラとカトリーナ

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 帰りの列車の中、特別車の展望室で、ダイアナ様、マリア様、クラリッサさん、そしてルイーズさんとお茶をしていると、
 次の方が新たにあいさつに来られました。

 王国の『八乙女(やおとめ)』さん候補ですが、曰く付きです。

 ローラ・ストレイス、十九歳。
 カトリーナ・ワイズ、十八歳。

 ローラさんは、赤毛で身長は180センチはありますかね……
 王国の西の最果ての地、ストランド出身だそうで、気の強そうな容貌をされています。

 平民の娘さんで、十六歳でご結婚、二人で靴屋さんをしていたそうですが、一年後、ご亭主が町で酔っぱらって大げんかの果て、相手を殺してしまった……
 ご亭主は絞首刑、ローラさんは町におられなくなり、困窮の果てにストランド伯爵に拾われたそうです。

 もう一人のカトリーナさんは、綺麗なブロンドの髪で身長は174センチぐらい、父親と暮らしていたようですが、十四歳でストランド伯爵に売られたそうです。
 こちらは表情があまりありませんね。

 このストランド伯爵、筋金入りのサディストで、ローラさんのような方を集めて、領地に所有する古城の地下室に閉じ込め、夜な夜な責めさいなんでいたようです。

 後二人、年長の方が地下室におられたようですが……ストランド伯爵の性的な拷問の結果、亡くなったようです。
 嵯峨野伯爵と同じような男、どこにでも変態貴族はいるようです。

 ハッキリいえば、一人は『苦悩の梨』という拷問道具で……
 もう一人の方は、その後、三角木馬で……
 二人とも、気が狂った果てに、伯爵が首を締めて……

 ストランド伯爵は、閉じ込めた女性を裸にして、手枷をつけ、鉄製マスクをかぶせ、喋れないようにしていたようです。
 手枷からは鎖が伸び壁の鉄輪につながっています。

 次は自分の番と思ったローラさんとカトリーナさんは、ある晩、鍵を持ちながらやってきたストランド伯爵を、二人は鎖のついたまま手枷で頭を殴打、失神した伯爵から鍵を奪い、伯爵に手枷をつけ、壁につなげて逃げ出したわけです。
 二人はかなりの距離を歩いて、王国陸軍の兵舎に駆け込んでようです。

 この時の二人は全裸の上、顔のマスクの鍵はなかったので外せなく、異様な雰囲気に王国の兵士は驚いた様です。
 とにかく筆談で事情を伝え、陸軍が古城に急行、虫の息のストランド伯爵を逮捕……

 ストランド伯爵って、王家とはいささかつながりのある由緒ある家柄、しかし殺人事件ですから、隠せるわけにもいかず、ストランド伯爵は処刑、家は断絶、資産は没収、生き残った二人にはかなりの保証金が支払われたわけです。

 このお二人、その女性としての物が……ストランド伯爵がボロボロにしてしまって……その上、王国中に知れ渡った事件の関係者……たとえ王国当局が婚姻の後押しをしたとしても、望み薄なわけです。

 さらにはですが、大事な所に大きなやけどあるのです……
 ストランド伯爵が自ら紋章を刺青し、そこを二人は自ら焼いたようです……
 
 マリア様が、かなり真剣な顔で、二人の奉公契約書を差し出されました。
「お願いします、メアリーお姉様がおっしゃっておられました!王国の為なんかではなく、二人の為に!私やダイアナのように、お願い!」

 雪乃さんが、
「お二人はいいのですか?一生働かなくてもよいぐらいの資産をお持ちですが?」
 ローラさんが、
「私たちは死んだも同然です、聖女様が私たちをお気に召さなければ、殺していただいても結構です」

 このローラさんの言葉を聞いて珍しく怒った雪乃さんです。
「馬鹿なことをいってはいけません!生きようとして頑張ったのでしょう!何のために生きようとしたのか!まだあなた方の人生は死ぬ時ではなかったのです!生き運がまだあったのです!」 

「二人とも『愛人』を希望したのでしたね、私が手をつけても、奉公契約はそのままのはず、この奉公契約書は受け取ります!」
「手を付ける以上、裸になってもらいます!今ここで服を脱ぎなさい!」

 なにを思ったのか、二人に全裸を命じたのです。

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