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第五十五章 とんぼ返りのお仕事
聖女供託基金
しおりを挟む駆け足で王都でのお仕事を済ませた雪乃さん。
その間に、ダイアナ様、マリア様、クラリッサさんは関係者とつかの間の親睦などされています。
王都のステーション・ホテルには、アレクサンドラ王妃やメアリー王女、アンジュー辺境伯夫妻などと、ランチをしているのです。
三人は青鞜会の儀礼服、軍服ワンピースを着込んでいます。
いまは九月、長袖なのですよ。
クラリッサさんはジュニア用の、『黒で白の縁取りがミリタリー風に見えるワンピースとジャケット』です。
王国青鞜会の『テューダー・ローズ』をアレンジした、白いカメオのブローチをさりげなく付けています。
青鞜会のブローチは『フルール・ド・リス』をアレンジした、ブルーの螺鈿細工のものです。
当初、聖女は青鞜会のブローチを付けることに決まっていたのですが、シンディー次長の努力でね、両方付ける事になったのです。
『上り特別聖女御用列車』は王都を土曜日の四時に発車、日曜のお昼に帝都の中央駅に到着予定。
慌ただしく点検を済ませ、石炭や水を積み込んでいます。
シンディー様と、『王国聖女御用係出張所』に勤務の王室聖女御用係の四名の方は、今回の図書についての事務手続きを済ますために、次の『上り青鞜会専用列車』に乗るそうです。
『上り特別聖女御用列車』には、王国との打ち合わせの女官さんたちや、王国青鞜会や出張していた青鞜会の職員さんなど、かなりの方が乗り込んで来ました。
さらには、一等、二等の緩急車にもかなりの方が乗っています。
『王国青鞜会女官実科高等女学校』及び『附属高等女子小学校』の設立関係者です。
どうやら『恩賜青鞜会女官実科高等女学校』を視察するようですね。
『王国青鞜会』は凄い勢いで整備され出しているようです。
その為の人員養成機関として、『王国青鞜会女官実科高等女学校』及び『附属高等女子小学校』の設立が決まったのです。
この為の費用は、私の資産、『聖女青鞜局』が管理していたものを、先頃『聖女供託基金』とか名付けられて、税金などもかなりお安くなりました。
私、常はお金を持っていないのですね、お小遣いぐらいは、青鞜会総裁のお給料として頂いていますが……
まあ、『聖女』として必要になれば、この『聖女供託基金』を自由には出来ますけど……
なぜ、『聖女供託基金』にしたかって?
『王国青鞜会』の学校などにも、私の資産を提供することになり、かなり目減りする目処がついたのですね。
青鞜会関係を人件費や運営費など、一切合切支払っていても、膨大な私の資産は減らなくて、今では最大財閥に方を並べるほどにふくれあがっていたのです。
目論見では『王国青鞜会』の人件費や運営費などは『青鞜会』の七割程度、一切合切を払えば、資産は中規模の財閥資産にまで縮小し、以後の資産の増加は微増ということになるらしいのです。
それでも、資産から算出される愛人の数は……四十名は必要……
それを『八乙女(やおとめ)』さんで、かなりの部分をまかない、皇太子殿下の負担を少なくする……
『聖女青鞜局』の目論見ですが……多分、上手くいかない……そんな気がしてなりません……
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