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第五十二章 青鞜の商品
女性専用列車
しおりを挟む九月は別名、『長月』……でもこちら側の帝国では、なんと、『青女月(せいじょつき)』と呼ばれています。
青女って、『淮南子(えなんじ)の天文訓』に登場する霜や雪を降らすという女神の名前……
私の名前は雪乃、そして青鞜会の総裁……
意味深ですよね……
青田真希子聖女青鞜局次長と、シンディー・サイアーズ王国青鞜局次長は、『青女月(せいじょつき)』の上旬をあわただしくお過ごしのようです。
そして、木曜の午後、授業は午前中で終わり、お昼も終わり、二人から、話しがあると言われた雪乃さんと、三人で『帝室聖女御用邸』の談話室での会話……
シンディー様が、
「雪乃様、『聖女御用列車』の定期運行の話ですが、両国の承認がおり、来週より運行を始めます」
「王国帝国間に二編成、『聖女御用列車』は週に一回、一往復することになりました、帝国中央駅発、王国中央駅着の『下り聖女御用列車』と王国中央駅発、帝国中央駅着の『上り聖女御用列車』です」
「聖女様の御在所に向かうのを『上り』と称することに、王国が一応、承認しました」
「時刻表によれば、『下り聖女御用列車』の出発は毎週土曜日の午後6時、王国の中央駅に翌日の日曜日の午後5時に到着するようになります」
「『上り聖女御用列車』はその編成のまま、翌々日の火曜日の午後1時出発、翌日水曜日の正午に帝都の中央駅に到着します」
1,200キロを23時間、平均時速52キロ……これでもかなり早いですよね……急行なみ?
「木曜、金曜で整備をして、また次の運行となるようです」
「あれ、先ほど二編成と聞いていたのですが、それなら一編成でいいのでは?」
「もう一編成は王国中央駅発、帝国中央駅着の『上り青鞜会専用列車』と帝国中央駅発、王国中央駅着の『下り青鞜会専用列車』となります」
「『上り青鞜会専用列車』は水曜の朝9時に王国中央駅発で、帝国中央駅着は木曜の正午、『下り青鞜会専用列車』は翌日金曜の朝9時に帝国中央駅発、翌日土曜日の正午に王国中央駅着となります」
「なぜ『青鞜会専用列車』は時間がかかるの?」
「貨物も運びますし、ダイヤ編成上、そうそう急行とはいかないようです、それに機関車も貨物用が割り当てられます」
1,200キロを27時間、平均時速44キロ……
「どちらも、途中下車は出来ませんし、乗れるのは青鞜会の関係者、および両国の女官だけです」
「この間、使用した列車は、『聖女様及び帝国皇后様、王国王妃様』がご乗車する場合に、臨時運行される予定です」
「『特別聖女御用列車』と称します」
「『聖女御用列車』は、先頭に手荷物車8900形、二等寝台車5110形、一二等寝台車5480形、食堂車5065形、二等寝台車5110形、手荷物車8900形、最後に三等荷物車8385形の七両編成となり、機関車は『8620形』とのことです」
「『青鞜会専用列車』は先頭に手荷物車8900形が二両、二等寝台車5110形、二等食堂車5590形、手荷物車8900形が二両、最後に三等荷物車8385形の七両編成となり、機関車は『9600形』とのことです」
「どちらも最後の三等荷物車8385形はには車掌室があり、警備の兵士が幾人かと車掌2名が乗り込みます、この車両は基本的には青鞜会の管轄ではありません」
「また『聖女御用列車』の二両の手荷物車と、『青鞜会専用列車』の二等寝台車に接続する手荷物車の車掌室は、改装されてシャワー室となっています」
「食堂車は基本的にはお湯が提供出来るだけで、談話室の代用です、列車内の食事は青鞜会から支給することになりました」
さすがに女性専用列車ですからね……警備の兵隊さんたちが、停車するたびに見張るのでしょうね……
一二等寝台車の乗車定員は、一等寝台定員16人、二等寝台定員8人、二等寝台車の乗車定員は、二等寝台定員24人……
つまり、『聖女御用列車』の乗車定員は72名、『青鞜会専用列車』の乗車定員は24名……この上に、シャワー室にならない三両の手荷物車の車掌室は改装されて、三等寝台室となっており9名が予備としてあります。
「最後尾の三等荷物車の荷物は、王国と帝国の宮中が交わす荷物専用です、この二つの列車に乗り込む車掌は、両国の鉄道連隊からの派遣兵士です」
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