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第五十一章 ピンクの浪漫
真希子さんの身売り先
しおりを挟む皆さんの前に、大小二つのパフェ?が並べられ、いわゆる三時の『おやつ』の始まりです。
「冷たい!汗が引くわね♪」
でも、一人、暖かい紅茶を飲んでいるのが雪乃さん。
「聖女様はなぜ?」
聖女青鞜局次長の嵯峨野真希子様が、不思議そうに聞きますので、
「いえね、アイスクリームがこの暑さで溶けてはいけないので、台所をガンガンに冷やして作ったので、少々身体が冷えて……」
「それは……申し訳ありません」
「構わないわ♪久しぶりにパティシェまがいの事をして、楽しかったのよ♪」
「そうだ、武子様には、こちらも用意したのですよ、薬草系のリキュールです♪ぜひ振りかけてくださいね♪」
『エリクシル・ヴェジェタル』、シャルトルーズの物ですが、『アンゴスチュラ・ビターズ』等よりも良いかと思ったのですね♪
お酒好きの武子様、薬草系のリキュールと聞き、いそいそとかけておられますね♪
「甘みの中になんともいえぬ、薬草の苦みみたいな味が出てきて、私の口にあう♪」
「これはそのまま飲んでも?」
「それはお勧めいたしません、71度もありますので、普通は角砂糖にかけて、『食べる』もののようです」
「そうなのね♪だから小瓶なのね♪これ、出来たら頂けないかしら♪」
「進呈いたしますが、ストレートで飲むのは駄目ですよ」
ここで千代子様、気が利くのですね♪
小皿に角砂糖など入れて持ってくるのですから、チャンとスプーンが添えられています。
「武子様、どうぞ♪」
「ありがとう♪」
皆さん、武子様の事など、ほっといて、パフェを食べておられます。
「美味しいわ♪」
お母様もおばあ様も大満足、口直しのウェハースにホイップクリームをつけてお食べになられています。
「なるほどね、口が冷えて味が分らなくなるけど、丁度よいわね♪」
皆さん、食べ終わられ、さすがに濃いコーヒーを飲まれていますね。
「さて、お話があるのだけど?」
「では談話室にご案内しますわ♪」
「武子さん、皇太后様のお相手をお願いね♪」
で、私はお母様と、真希子様と三人で談話室へ……
「実はね、真希子さんの事なのだけど、ご主人と上手くいっていないのね、というより離婚なのよ、でね、雪乃に引き取ってもらえないかと思うのね♪」
「処女じゃないけど、我慢してね、皇太子にはよく言っとくから♪」
「殿下に断りを入れるとおっしゃいますが、もう決まった事なのですね」
「まぁ、そうなるわね」
「いきさつをお聞かせ願えますか?」
「嵯峨野伯爵家、取りつぶしに決まったのよ」
「真希子さんのご主人、サディストでね、女の子をさらってね、いたぶった挙句に首を締めて殺してしまったの……二人もね……」
「強姦、誘拐監禁、の上に殺人ですか……」
「家名を隠して、地方に家を買い込み、月に一度、その手の女を買い、変態趣味を満たしていたようなのだけどね……」
「現地警察に踏み込まれて、女の子を確保したのだけど、その後死亡、さすがに隠せなくてね」
「どなたか遠い親族の方に、伯爵家を任せるわけにはいかなかったのですか?」
「調べたら借財だらけ、誰も引き受けなかったのね」
「嵯峨野伯爵家の華族世襲財産で、ほとんど帳消しのはずでは?」
「それがね、清算しても残るのよ、二人の女の子のご両親に、それなりの物を支払うことになるのよ」
「でなければ民事の裁判になり、正妻であった真希子さんに、損害賠償請求の裁判が起こされる」
「嵯峨野伯爵の死刑は確実、真希子さんが相続放棄したとしても、裁判が却下の公算が大、貴族の責任としてはね」
「爵位局としても、何らかの帝国臣民の不満に答えねばならないのよ」
「そこで、雪乃の協力が必要なのよ」
「よくわかりませんが……」
「よく言うわね、察しているのでしょう?」
「嵯峨野伯爵家の正妻としては、亡くなった女の子に、せめてもの償いとして、『年季奉公』に出て、そのお金を墓前に捧げる、これなら嵯峨野伯爵家が取りつぶしにあった以上、帝国臣民の処罰感情は収まる……」
「その通り」
「この話、いつの話なのですか?」
「七月の終わりかしらね」
旅行前から、この解決法をお考えだったのですか……
「誤解しないでね、真希子さんの身売りの話は決まっていたけど、雪乃に持っていく話は、王国からシンディーさんという、王国女官の話が出たときよ♪」
「対抗上、帝国もね、ちょうど嵯峨野伯爵の件で、真希子さんの扱いが身売りと決まり、この条件で裁判を取り下げるように、交渉がまとまったところだったの♪」
「真希子さん、優秀な方でしょう、皇太后様が、なら聖女青鞜局次長にして、聖女青鞜局を任せましょうと、ご提案をいただいたので、私も皇帝陛下も乗った訳ね」
「私に『年季奉公』されている方が、聖女青鞜局次長というのはよろしいのでしょうか?」
「青鞜会が帝室女官嘱託を青鞜会雇員として受け入れる以上、青鞜会職員を帝室女官嘱託として受け入れる、両者の交流として発表するわ、おかしい事ではないでしょう?」
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