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第五十章 お帰りですよ
女たちの溜息は深いようですね
しおりを挟む雪乃さんの王国旅行、その行きに発生したテロ未遂事件を耳にした皇太子殿下。
陸軍中将、憲兵司令官、としては、王国のふがいなさに怒りが収まらないようです。
「何たる失態!王国の警備部隊は役立たずか!」
急遽、『聖女御用列車』の増結車両を手配、帰りの道中の警備のため、憲兵を王国へ派遣したのです。
取次ぎの為に、女官も同乗、安全第一を厳命したのです。
「雪乃さんに何かあったら許さん!」
裏に共和国がいるとわかると、開戦も辞さないとの意見だったのです。
「とにかく雪乃さんには早く帝都に戻ってもらい、私の手で守らなくては!」
心配で心配でたまらないようで、皇太子殿下、ピリピリしながら、雪乃さんの帰りを待っているのです。
雪乃さんが戻ったと聞き、すぐに会いに行こうとしたのですが、皇帝から止められたのです。
完全無欠のような皇太子殿下が、ウロウロとしているのです。
一方、雪乃さんは、
「早く明日にならないかしら♪会いたいわ♪夢で出会わないかしら♪殿下、お元気かしら♪」
早く殿下と会いたいので、ご飯を食べると、こんなことを呟きながら、さっさと寝てしまったのですね。
翌朝、いつになく早起きの雪乃さん、なにやら朝から念入りにお化粧などしています。
朝食前というのに、身だしなみも完璧!
「どうなされたのですか?ご飯はまだですよ」
「いえね、殿下、朝ごはんに来ないかなって♪」
「あらあら、でも来られるのはお昼ではありませんか?」
「いいえ!殿下は来られます!」
そこへ……
「朝早くから申し訳ない、雪乃さんはお元気か?」
「殿下!雪乃はここにおります!お待ちしておりました♪」
「雪乃さん♪元気そうな顔を見て安心した♪」
「殿下こそお元気でしたか?」
「美しい雪乃さんを見て、元気が出たよ♪」
「まぁ、お上手ですね♪よその女に目移りしたのでは?」
「そんなことはない、雪乃さんより素晴らしい女性などいないよ♪」
べたべたと朝早くから迷惑な二人です。
「雪乃さん、口付けをしてもよろしいか?」
「あら、恥ずかしいわ♪」
なんて言いながら、口づけなど交わす二人です。
で、久しぶりに殿下のナニに口づけをしている雪乃さんです。
皆さんも次々にね……
ただね、マリア王女とシンディーさんは除外ですよ……
まだ、床を共にしたわけではありませんからね。
「皇太子殿下、雪乃様の『王女御』にならせていただいたマリアです、どうぞ、よろしくお願いします♪」
「お仕えすることになりました、シンディーです、よろしくお願いします」
二人とも流暢な帝国語ですね……
「こちらこそ、よろしくお願いする」
この後、皆で朝食を食べ、雪乃さんは殿下を誘い自室へ……
殿下、いつもよりたくさん白い物をですね、雪乃さんの口に……
溜まっていたのでしょうね……
「雪乃さん、愛しているよ♪」
「雪乃も、殿下を心よりお慕いしておりますわ♪今日は激しいのですね♪」
「会えないのでストレスがたまってしまって……すまない」
「いいのですよ♪愛する方の事ですもの♪」
このフレーズを玄関前でも繰り返している二人……
帝都の有名なバカップル、はた迷惑ですが、人々はこの二人を祝福しているのです。
でも、あてつけられる『帝室聖女御用邸』の、女たちの溜息は深いようです。
雪乃さんの王国旅行、その成果は大したもので、皇妃と王妃は妙に仲がよくなり、両国の女官さんは、雪乃さんに絶大な好意をよせるようになったのです。
勿論、王都で行った女官さんへの分配イベントは、『聖女青鞜局次長』のたっての願いで行われたのですよ♪
さらに『帝室聖女御用邸』の敷地が、ハレム側に少し拡大され、『聖女青鞜局詰所』なる建物が出来ました。
『青鞜会雇員・帝室女官嘱託』の方が、詰めるようになったのです……
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