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第四十四章 王国旅行へのお誘い
『聖女御用列車』
しおりを挟むついに葉月、今日は八月五日、いよいよ王国旅行です。
帝都を午後の3時に出発、翌日の午前11時に王都の中央駅に到着……臨時国際列車……貸し切りですよ。
お召し列車ではないのですが、国境までは帝国の列車憲兵さんなどが乗り込んでいるうえに、王国国境を超えると、……
なんせ、約20時間の長旅、特別編成列車で、帝国鉄道省が保有している、『九鉄ブリル客車』と呼ばれるもので、外国貴賓(要人)用列車として、臨時運行されるものです。
お召し列車の次に格式を持つもので、五両編成、特別車(展望車)ストク9000、1等寝台車フスイネ9030、食堂車スシ9150、1等座席車フスイ9240、2等座席車フスロ9360……
特別車には、私、ダイアナ様、文子様、洋子様の四人……
1等寝台車は定員16名分はメイドさん用なのですが……
メイドさんとして、平野千代子、内藤八重、香原良子、楢原冨士子、『帝室聖女御用邸』の四人のメイドさん、牧野愛、牧野和、田中清子のメイド待遇の三人、神津小百合、御堂春江、御堂舞子、の三名の行儀見習い三名。
10名が乗り込んでいます。
つまり、『帝室聖女御用邸』に住まう者は全員乗車しているのですね。
そのほかに二名分の女性の調理人が2名、乗り込んでいます。
すこし空席がありますが、荷物置き場代わりですね。
2等座席車は警備関係者、転換クロスシート分、定員30名の内15名が割り当てられ、1等座席車は転換クロスシート分、定員16名の内8名は帝国のお役人さん。
国境を超えると、同数の方が乗り込んでくると聞いています。
ロングシート部分は打ち合わせ場所にあけてあるようですね。
帝国の鉄道は狭軌、1067ミリ、王国の鉄道は半分は標準軌、1435ミリで、残りはかなりバラバラなのです。
帝国のようにほとんど国有鉄道と云う訳ではなく、鉄道省成立以前のように大きな私鉄が一杯なのですね。
ただ去年から、帝都と王都に直通列車を通す話になり、帝国鉄道の1067ミリで走れるように、この区間は三線軌条となっています。
王国政府が王都と帝国との国境までの鉄道を三線軌条にして、帝国が専用車両を新造提供しました。
王国政府が、この鉄道会社、『王国東部鉄道』の株を4割を購入、この会社の下に『国際鉄道合資会社』を作り、王国東部鉄道と帝国政府と王国政府、4、3、3の割合で出資したようです。
聞いた話では、この帝国鉄道省が保有している外国貴賓(要人)用列車は私専用らしいのです。
特別車は、少し改修され、車軸発電機から電気を取り出せるコンセントが幾つかついているようです。
何でも正式には『聖女御用列車』というらしく、お召し列車の区名札が『お召』と掲げられるのに対して、『ご用』と機関車に掲げられるらしいのです。
ちなみにですが、帝国鉄道においては、陛下と呼ばれる方以外の帝室一族が乗る場合、貸し切り臨時列車になるのですが、『お乗』と区名札に掲げられると聞きました。
『ご用』も『お乗』も、ヘッドマークもテールマークも取り付けられません。
ただ、お召し列車を二編成製造して、『国際鉄道合資会社』に譲渡するようです。
三線軌条は去年の夏に着手、王都帝都間1200キロの内の王国側、250キロを一年で完成させたのです。
よく考えると王都はかなり王国東部に偏っているのですね……そういえば王国の旧都は王都から西方に600キロぐらい、王国中央部に位置しています。
展望デッキに立つのは禁止、言葉を変えると『護送列車』ですよね。
お食事も食堂車から運ばれるとのことですが、私が断りました。
まあ、明日の朝食はお弁当ということで、いただくことになりました。
特別車にも調理室などがありますので、『帝室聖女御用邸』の四人のメイドさんが、調理すると云ってありますが、そんな事はしませんよ。
ここにも改修の結果、電気のコンセントがあり、私が提供した大容量のポータブル電源を介して、ささやかな家電が動くのです。
つまりですね、車載用の電子レンジがあるのですね♪
あとね、電気ポットとか、電磁調理器もね……
だから得意の取り寄せをいたします♪
『聖女青鞜局』はなにも云いませんでした、どういうことか理解しているのでしょうね♪
いよいよ帝都の駅を静かに発車する『聖女御用列車』、『ご用』の区名札をつけた重連の蒸気機関車が動きます。
どうやら『8620形』らしいですね、まあこの『九鉄ブリル客車』は木造ですからね、大丈夫なのですね。
現在、帝国鉄道省の最新鋭の特急用機関車『18900形』――のちにC51と改称された――は『聖女御用列車』には不要と説明されましたね。
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