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第四十三章 忙しい日常
朝比奈侯爵家の慶事
しおりを挟む朝比奈慶子様が、ついにご出産の為に入院されました。
華族病院に走っていくと、まさに出産の最中でした。
久光お兄様が、ウロウロしているのですよ。
「雪乃!慶子は大丈夫だろうか!」
私にいってもね。
「大丈夫ですよ、お兄様がウロウロしても何の役にも立ちませんから、どっしりと構えていてください」
「そうですよ、旦那様、奥様は大丈夫です♪」
ハル様が、そういっておられますが……あれ?『解析』が起動しました。
えっ、着床している!妊娠!そろそろ二か月!
「お兄様、ウロウロしているなら、コーヒーでも飲んでこられたらいかがですか、落ち着きますよ」
「そう、そうか、陸軍軍人たる者が、妻の出産でそわそわしているなんてのは、褒められたものではないからな、少しコーヒーでものんで、気を落ち着けてくる」
久光お兄様、案外に可愛いところがあるのですね♪殿下も私が出産するとき、こうなるのでしょうかね♪
「ハル様、妊娠しているように見えますが、思い当たるところはありませんか?」
「そういえば、おりものがすこし変ですが……」
「どのように?量は多い?ずっと水のようにサラサラしている?」
雪乃さん、高等女学校の二年なのに、えらく詳しいようです。
「お嬢様のおっしゃる通りです……」
「産科に行くことをお勧めしますわ、幸いここは産科、慶子様が無事に出産なされたら、そのまま検診なされたほうがよろしいかと」
「そう致します」
そんな話をしていると、白川宮様ご夫妻がやってこられます。
「雪乃嬢か、慶子はどうなっているのか?」
「分娩中です、久光お兄様がウロウロしていましたから、コーヒーでも飲んで落ち着くように勧めたところです」
「そうか、初孫だぞ!慶子が頑張っているのだぞ!」
「貴方もコーヒーを飲みにいかれませ、うるさくてかないません、ここは女の戦場、男は邪魔です」
白川宮妃に窘められている宮様、ほんと、こんな時は男は役に立ちませんね。
宮様が喫茶室へ行かれ、女だけで待っていますと……
「無事にお生まれです、男の子ですよ」
出てきた看護婦さんが、教えてくれました。
「それで看護婦さん、慶子は大丈夫なのですか?」
「母子ともにご健康ですよ、ご家族は病室でお待ちください」
「分かりました、ハルさん、旦那様たちを慶子の病室へ呼んできてくれませんか」
この後は、白川宮妃吟子様の独壇場となりましたね。
慶子様が病室へお戻りになり、皆さん、新生児室に案内されています。
私は慶子様の看護についています。
「悪いわね、後で息子に会いに行ってね♪」
「はい、きっと可愛いでしょうね♪」
「ところで、こんな時ですが、どうもハル様が身ごもっていると思われます、本人も知らなかったようで、このまま検診するように勧めました」
「えっ、ハルさんが!」
「多分、妊娠二か月です」
「そうなると、旦那様、可哀そうね♪私が妊娠している間、夜の伽はハルさんが勤めていたのだけど、旦那様には、しばらく我慢していただかなければね」
「お兄様、そのあたりは疎いですから、それに妻と妾で十分などと、私に言ったこともあります」
「雪乃さん、男というものは、ナニをしっかり掴んでおかなければだめよ、お母様の教えよ」
「吟子様が?」
「旦那様は我慢できる方だけど、お父様はね、お母さまが怖くて、こっそりと女性を囲ってね、子供が出来て大騒動だったのよ、その子が私の弟なのよね」
「お母様にとっちめられて、もう一人、囲った女性がいると白状したお父様なのよ」
「隠れてコソコソするのが一番いけないわよね、とにかくお灸をすえて、お母さまが二人を側室と認めてね、以来三人でお父様をやりこめているのよ♪」
「旦那様はお父様ほど癖は悪くないけど、あと一人ぐらい、側室が必要かもね」
「雪乃さんは大丈夫よね、貴女の愛人さんたち、美女ぞろいでしょう?殿下もよその女に、目移りなんかしている暇がないでしょう」
「女官たちの噂話、私の耳にも入っていてるわ、皇后さまも策士ね、政府の高官どころか、王国のメアリー王女まで知っていたわよ」
「雪乃さんも皇太子殿下も、こうなったら結婚しかないわよ♪もっとも二人の甘い交際は有名よね♪女官たちも、いささか迷惑顔のようよ♪」
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