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第四十二章 七夕にナニを祈るの
星に願いを込めて
しおりを挟む『星祭り会場』に女官さんたちが着席し、各自、短冊に願いを書いていると、皇太后様がニコニコでやって来て、しばらくすると、皇后様と武子様が、雪乃さんご一行を伴ってやってきました。
「雪乃、この短冊に願いを書いていてね、皆も書くのよ♪私も書くのだから♪」
皇后様が、雪乃さんたちに勧めている間に、女官さんたちが、本日の食事を並べてくれています。
「短冊には、願いとともに名前も書くのよ♪」
「皇太后様はなんて書かれたのですか?」
「私?当然孫の事よね、今日は嬉しいことがあったのですからね♪」
「武子さんは?」
「皇太子殿下のお嫁さんに、雪乃さんがなってくれたら、私の弟の下の娘を可愛がって欲しいわ♪」
「あら、いいの♪あの娘、衣笠公爵の秘蔵っ子よね、たしか華族高女の一年よね」
「あの娘ね、去年の華族高女の春のバザーで、雪乃さんを見かけたらしいのよ、その後、童話の朗読があったでしょう?」
「なるほどね」
「弟が聖女の『女御』ならなんて口を滑らせた物だから、本人は『帝国の為に、私が雪乃さんに奉仕する』とか云っているのよ、こう言われると誰も反対はできない」
「あの娘、賢いから、自分の望みに大義名分があると気づいたようで、困っているのよね」
皇后様、笑っています。
「岩倉姫宮雪乃王女付女御俔子(ちかこ)となる訳ね、おしゃまさんね♪」
「皇后様はなんと書かれるのですか?」
「皇太后様と同じ件だけど、雪乃が息子の嫁と決まった以上は、はやく私も孫の顔を見たいわよね、武子さんの姪でもいいのよ♪」
「俔子(ちかこ)さん、とても綺麗だから、息子との子供なら、きっと可愛いわよ♪」
「でも皇后様、『帝室聖女御用邸』の方々は美女揃い、誰の子供でも可愛いと思いますよ♪」
「私ね、女の子が欲しかったの、でも授かったのは男の子でしょう?孫は可愛い女の子を期待しているのよ、沢山ね♪」
「でも帝国の為には、雪乃に男の子を産んで欲しいわよね♪」
「なかなか男の子はね……皇后様のように二人も産んだ方は珍しいですから……私は……」
「武子さん、それは言わぬ事、皇帝陛下のご意向に従っただけでしょう」
「そうでしたね、陛下には泥をかぶっていただいて……」
黙ってこの会話を聞いていた雪乃さんでした。
……どうやら武子様は、子供が出来ないのですか……それを知りながら……お父様、格好いいですね……
……だから、お母様も男の子二人でやめたのですね……
……でも、岩倉姫宮雪乃王女付女御俔子(ちかこ)?また増えるの?確か、帝国の『王女御』は私が殿下に嫁ぐ以上、不可ですから、帝国の『女御』を幾人かとは聞いてはいましたが……
……武子様の姪御さん?絶対に断れないじゃない……
皇太后様が、突然、
「雪乃さんの願いは何なの?」
「えっ……殿下と生涯仲良く共に暮らしたい……殿下には悪いですが、嫁ぐ以上は、私の……愛人さんたちとも、仲良くしていただきたい……」
雪乃さんが皇后様と武子様の会話を聞いていたように、女官さんたちも、この会話を聞いていたようです。
「ねえ、雪乃様、皇太子殿下とのご結婚、承諾されたようね♪」
「聞いたわ、『嫁ぐ以上は』といわれていたわ」
「それと衣笠公爵のご令嬢、俔子(ちかこ)様が雪乃聖女様の『女御』になられるらしいわよ」
ひそひそと会話している女官さんたちでした……
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