老後のおかしなおかしな女学生生活 転生二年目

ミスター愛妻

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第三十五章 五月晴れの下で『おいも』が喜ばれる?

『あんこ』のち『おいも』

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 世の中、端午の節句を祝っています。
 帝国では別に祝日ではありませんが、男の子のいる家では、鯉のぼりとか、武者人形とか盛大にお祝いするようです。

 女ばかりの『帝室聖女御用邸』では、別にお祝いなんて予定していません、粽と柏餅を食べるだけです!

 でも雪乃さん、どうやら粽も柏餅も作るつもりのようです♪
 
 餡子から手作り……しかもウェブで調べた甘さ控えめの『発酵あんこ』というもの……炊飯器の保温機能を使い10時間ほどかかりますが、小豆本来の味と米麹の甘さ……
 これを大量に作っているのです。

 この日は平日、当然のように学校が有りますが、昨夜から仕込んでいた餡子も仕上がり、朝食のトーストに、この『発酵あんこ』とバターをのせて、皆で試食したのです。
 皆さん、『発酵あんこ』を知らなかったようですね。

 さて、五限も終わり、屋敷に戻って、いそいそと柏餅など、完成させ初めているのです。

「砂糖は使わなかったのですよね……優しい甘さですが、雪乃様のお好みでは無いような気がしますが?」 
「いいじゃないの!殿下に差し上げるのですから!」

「殿下に?来られるのですか?」
「……その……持っていこうか……と……中華ちまきも作って……」

「昨日、『発酵あんこ』を作っているとき……下準備をしておいたので……あとはお手軽にフライパンで作ろうかと……」

「突然東宮御所に、殿下を訪ねられても、回りの者が困るだけです、おやめください!」
 文子様と愛様が、断固として云うのです。

「……」

「それより、電話を差し上げられてはいかがですか?もっとも、内容は陛下あたりに筒抜けになりますが?」
「そうですね……東宮御所の侍従さんが、内容を記録することになっていますし……用件以外は云えませんが、お伺いのお電話ぐらい構いませんか……」

 で、
「もしもし、交換手さん、63番の『帝室聖女御用邸』ですが、11番へお願いします」
 つないではくれましたが、警備係りの部屋につながります。

「63番の『帝室聖女御用邸』ですが、発信元を確認してください」
「確認しました、侍従控え室におつなぎいたします」

「東宮御所の侍従控え室です、ご用件を」
「王女付宣旨文子と申します、聖女岩倉姫宮雪乃王女殿下におかれましては、皇太子殿下の為に、柏餅をお作りになり、ご自身でお持ちしたいとのご希望ですが、侍従長様のお考えをお聞きしなくてはと、お電話を差し上げました」

「侍従長は、殿下とともに打ち合わせをされております、お戻り次第、お伝えいたしますが、よろしいでしょうか?」
「分かりました、お手数ですが、当方までお電話を頂けますか?」
「お伝えいたします」

「雪乃様、しばらくお待ちになってくださいね、お待ちになる間、残りをお作りになられては?」
「そうですね、皆さんの分も作らなくてはね、今日の夕餉は中華ちまきにいたしませんか?」

 ここでダイアナ様が、要望を出したのですね。

「あの……できましたら、『おいも』のスイーツもお願い出来ませんか……私、この間の焼き芋で、『おいも』にはまって……」

「そうですね♪いい事をおっしゃいました!スイートポテトと大学芋なんてどうかしら♪」
「大学芋ってなんですか?」

 千代子様が、
「この頃、はやっている『おいも』の食べ方ですよ♪」

 やはり女性は『おいも』が好きなようでノリノリなのですよ。

「大学芋って、簡単にフライパンで作れるのですよ♪」

 そこへ、
「雪乃様、東宮御所からお電話があり、雪乃様に替わっていただきたいと、殿下が出ておられますよ」
 
 あわてて、電話口に出る雪乃さん。
「雪乃です♪不躾な電話で申し訳ありません♪えっ、こちらに来られる♪でも、お忙しいのでしょう?分かりました、四時にお待ちしています♪♪♪」

「殿下が、四時にお越しになられるそうです♪申し訳ありませんが、『おやつ』は一時間遅らせてください」

 殿下が来られるというので、さらに気合いが入った雪乃さん、大量の『発酵あんこ』の柏餅、そしてイチゴ大福風の柏餅。
 さらには中華ちまきに、大学芋とスイートポテト……芋けんぴまで作っています。
 二時間でかなりの量をつくりあげたのです。
 
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