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第三十四章 童話朗読は大評判
よくある話です。
しおりを挟むなんとか、『愛人』十名、『斎女(さいのめ)』十名、この枠内で収まる目処がついたので一安心……
でも、財閥当主って、『小』でお妾を二十名も囲うのですね……ほんと、大変なのですね……
帝国の大財閥って、私の知る前世の財閥の比ではありません!
私、もの凄いお金を使っているのですよ……
それでも余った資産が財閥『小』ですから。
四月十日、ラジオの試験放送が始まりました。
この日、正午の時報を放送、引き続き、
……この放送のため、畏くも『聖女岩倉姫宮雪乃王女殿下』が我々臣民のため、童話の朗読をなされ、ここに放送する……
そして、『眠れる森のお姫さま』が放送されたのです。
この日のために、鉱石ラジオのサンプルを官公庁と学校へ配っています。
帝国第一高等女学校でも七台配られており、各学年が集まり聞いているのです。
私も聞いていましたが、案外に明瞭に聞こえました。
「雪乃様、お上手なのですね♪」
「ありがとうございます」
「素晴らしいですわ♪ドキドキしました♪」
「そうですか?」
「そうですわ♪胸が高まりますわ♪」
そう云いながら、私の手を両手で握りしめるのですよ。
唇が近いのですが……
ダイアナ様が、
「雪乃様、そろそろお昼の時間ですよ、ご一緒に食べるお約束でしょう」
上手くやんわりと割り込んできてくれます。
二人で、お弁当を広げて、
「助かりました」
「大変ですね、あの方のお気持ちはわかりますが、気を付けてくださいね」
「すいません」
ここでダイアナ様は品よくお笑いになります。
やはり絵になりますね、上品なものです。
「あの方、青鞜会の女学校を目指しておられるようですね」
「三年次編入ですかね」
「多分……なんでもご実家がご結婚をいってこられたとか、どうも嫌らしいのですよ」
この世界、十三歳から結婚はできますからね……
「学業、優秀ですからね……どちらの女学校なのでしょうね」
「青鞜看護高女だと思いますよ、青鞜女官実科高女は一次がね……」
たしかにお綺麗ですが、素晴らしく美しいというわけでは……賢い方ですから、青鞜看護高女なら受かると思いますね。
なんとか青鞜看護高女の三年次編入を祈りましょう。
『青鞜会 補助職員』となり、青鞜実科高女三年次編入なら確実ですが、私が口をはさむわけにはいきませんからね……
この間、補助職員の学業も何とかすべきと、牧野愛様が力説されましたので、希望し推薦された『青鞜会 補助職員』の為の、青鞜実科高女に特別コースも作られました。
補助職員は十五歳からですが、万一、尋常小学校しか出ていない場合でも、希望し推薦されればですが、青鞜実科高女の特別コースへ通えます。
つまり特別コースは『青鞜会 補助職員』の枠なのです。
同時に『補助職員見習い』も制定されたのです。
『恩賜青鞜会実科高等女学校』に受験に合格し、『恩賜財団 青鞜会』就職を希望すれば、『補助職員見習い』として採用することになりました。
三年進級時に、正式に『青鞜会 補助職員』年季奉公人『仕女(つかいめ)』とします。
一応給料は陸軍兵士の四分の一、青鞜看護高女と同じとなりますが、無事に卒業されると、補助職員に採用されます。
この『補助職員見習い』は随時採用、特別コースの該当学年へ編入です。
つまり青田買いと云う訳ですね。
『補助職員見習い』は、十五歳以下の優秀な娘さんがいれば、採用となっているのです。
正規職員は最低限というのが『青鞜会』の方針ですが、病院や学校には雑務が必要と思われます。
美貌を問わない『補助職員』は採用しやすく、必要と考えられるのです。
『補助職員』を対象に、特別選考があり、『斎女(さいのめ)』として採用される道もあります。
まだ発表はされていませんが、推薦は私でも可能、青鞜会総裁の特権ですよ。
勿論、『青鞜会総裁』が推薦すれば、無試験で編入または入学もOKですよ。
もし、青鞜看護高女が不合格なら、耳打ちしてあげましょうね……
でも、急ぐのかもしれませんね、多分、ご実家の家計が苦しくてとかね、よくある話ですから……
『補助職員見習い』制度の耳打ちをね……
結局、この方は『補助職員見習い』に応募されました。
ご実家から勧められた結婚というのは、60過ぎの『爺』の後妻、そりゃあ嫌がるわけですね……
カンカンに怒ったご実家から、親子の縁を切るとまでいわれたそうですね。
でも、お金が必要だったようで、娘の年季奉公を承諾されたのです。
ちなみに『恩賜青鞜会女官実科高等女学校』に合格すると、青鞜会雇員として採用、陸軍兵士給与の半額が生徒に支払われます。
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