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第十二章 テラとアース
軍事称号
しおりを挟むそれにしても、ルシファーと云う名の意味……
イシス姉さんがやってきました。
「アナーヒター、貴女に云わなければならないことがあります」
「ヴァルナ評議会議長には、軍事用の称号があります、これは、必ず名乗れるというわけではありません」
「アスラ族の世界、さらにいえば、その責任が及ぶ範囲に対して、平和的に物事が解決できない時、この軍事称号を名乗ります」
「つまり戦闘司令官の称号です、アスラ族の正規の戦闘用の機械は、このヴァルナ評議会議長の脳波パターンに、この称号の音声パターンが重なった時、無条件で命令を受け入れます」
「マレーネと薫は非正規です、非正規で正規を凌駕する最高機械がマレーネと薫、つまり二人とも、この軍事称号に対しては反応しないのです」
「ただヴァルナ評議会議長の、脳波パターンは必ず認識するようになっています、これはプログラムカウンターのレベルで認識します」
「アスラ族が使用する物質構成要素の中に、埋め込まれている物で、絶対に外せはしないのです」
「エールがルシファーを知っているということは、アスラ族の正規軍事用マシン、つまりエールは本来、戦闘用なのです」
「アスラ族の世界は危機に瀕しています、誰も守る者がいないのですから」
つまりアスラ族の世界だけが残され、それを守る者がいない……、私が最後のヴァルナ評議会議長、そしてイシス姉さんが私にそれを引き継がせる……
「姉さん、確かに引き継ぎました、ご苦労様でした、あとは自由です」
「アナーヒター!」
初めて姉に叩かれました……
「貴女は確かに私の主、どんな物云いも許されるでしょう」
「しかし、姉としていいます!情けないことを言わないの!いついつまでも一緒です」
「ともに手をつないで歩いて帰ったのを忘れたのですか!」
「姉さん……ありがとう……いつもいつも守ってくれて……、ありがとう……」
姉が髪を撫でてくれます……
「アナーヒター……私たちを頼りなさい、皆、貴女の味方です」
「……ありがとう……」
安らかな気持ちになりました。
テラの抜きがたい基本要素の一つ、征服が私に語りかけます。
征服……生物の利己的特性の一つの形です。
しかし、そのままこの響きに従えば、高御産巣日神(たかみむすびのかみ)は失望するでしょう。
私がその様に思うということは、これでは何とも出来ないということでしょう。
自ら望んで征服される世界……
自ら望んで征服する私……
なんとなく正解のように思えますが……
これは男女の関係のように思えます。
神はエラムでの出来事を、このテラで再現することを望まれているのでしょう。
そしてヴァルナ評議会議長の、軍事称号ルシファーの問題……
あまりにグッドタイミングでベストな場所でです。
つまり高御産巣日神(たかみむすびのかみ)の流儀によれば、この軍事称号が必要になるということでしょう。
この意味するところは、ただ一つしかありません。
いまテラの目に見える危機には、私がこの軍事称号を名乗る必要は認められません、敵はいないはずです。
しかし……
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