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第九章 ナーキッドの牙城

最先端企業

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 さて、レイキャネース・ハウスにもなれたというか、落ち着いてきました。
 テラに里帰りして、まだ三月ですか……

 そもそもこのレイキャネース・ハウスを突貫工事で二月半で作ったのです、ネイサンさんやジョンさんの不可能を可能にする力は、恐るべきといえるでしょう。

 三人がやってきたので、そのことを聞いてみます。
「かなり費用が要ったでしょう、この工期でこれをつくるなどというのは不可能に近い、物凄く人を投入して24時間、突貫工事で作っても難しいはず、どうしてつくったのですか?」

「ブロック建造方式です、各地でパーツを一斉に同時に作り、内部も作りこんで、いっぺんに空輸して、一斉に立ち上げました」
「まだ計画は、すべて完成しているわけではありません」

「豊富な地熱、マグマ発電による豊富な電力で、新鮮な野菜を作る野菜工場を計画していますし、半地下にして暖房をきかせ、熱帯フルーツも作る予定です」

「ここには、ナーキッド以外の資本は一切いれません」
「ミコ様のお好きな、ファーストフードも直営とします」
「出来るだけ自活出来る体制を整えます」
「日本の温泉病院を参考に、病院も計画していますし、学校もハイスクールまでは予定しています」

「自主消防、自主治安組織、アイスランド政府の行政機関の支所もはいりますが、基本的にナーキッドの私有地です」
「それをアイスランド国民に解放している形です」

「もちろん、本業の発電の為の研究機関、衛星をつかった送電、受電の研究など、世界の電源開発の最先端技術の聖地としての位置づけです」
 そのトップが謎の女というわけです。

「一応、ここのプライベート飛行場と、ホットスプリング近郊にもプライベート飛行場を開設、週一回の定期航空路も開設間近です」
「とくにこの、レイキャネース・ハウス近くのライベート飛行場の方は、四機ほどですが、ハリアー GR.9戦闘航空隊が組織されています」

「ハリアーはイギリス空軍のお下がりですが、ミコ様のお側の方から、ステルス塗料と、緊急ブースターと熱線や赤外線などのホーミングかく乱装置を提供していただきましたので、F16と互角に戦えると思います」
「さらに戦闘ヘリ小隊もあります」

「この部隊はアイスランド政府の要請でも、出動する決まりです」

 つまり軍事を、ナーキッドに依存するということですね。
 たしかアイスランドには、軍は存在しないのですから、当然ですかね……
 そもそも金融は支配下においていますし、いままた軍事ですか……

 大規模ですね……私のささやかな里帰りなのに……
「ミコ様、いやルシファー様、そんなに簡単に帰れませんよ、前にも云いましたが、この世界を何とか出来る唯一の存在と我々は認識しています」

「シャルルの分析では、ルシファー様は能動的な方、しかたない状況をつくるのが一番、私もその分析に同意します」
「言葉を変えれば、ルシファー様は荒事がお嫌い、しかしやらねばならぬ時は、必ずおやりになる」

「つまり何としても、ルシファー様には、その仕方ない時が起こるまで、ここに滞在していただきたい」
「その仕方ない状況は近いと思われます、ただ我らからは手を汚しませんが、その様な状況を止めはいたしません」
 ネイサンさんが珍しく能弁になっています。

「我らも生き残りたいのです」

「お三方、詳しくはいいませんが、何かが起こり、生存できなくなったら、このレイキャネース・ハウスへ来て下さい」
「世界が終わり、この星がなくなっても、このレイキャネース・ハウスは残ります」
「それも難しい場合、各地のハウスに駆け込みなさい、なんとかなるでしょう」

「綺麗な女を貰いましたからね、その様な事がないように祈りますが」
「ありがとうございます、しかたなくご協力いただけるととりました」
 思わず笑ってしまいましたね。

 やはりここでも、エラムと同じなのですか。
 一度は二度、二度は三度……でもこの私の故郷、多くの人を知っていますし、ネイサンさんたちに、ここまで御膳立てされては、やるしかないのでしょうね。

 姉も理解しているでしょう、誰の意図かは……
 だからマレーネさんへ指示したのでしょう?
 このレイキャネース・ハウスの地下にある宇宙船を……

 その時が来るまで、故郷を楽しみましょう。
 でも、何とかエラムとのゲートを作らねば、これさえ作っておけば、たとえエラムに私が帰っていても、対処できます。

 オルガやドリスも、可愛がらなければならないし、エラムの寵妃さんや、多くの女官さんたちの事を考えると、あまり長く留守にするわけにもいきません。

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