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第八章 アイスランド物語
自己保全機能
しおりを挟む「良く聞きなさい、いま貴女たちは自らヴァルキュリヤと称し、戦闘用アンドロイドと自負しています、しかし本来は愛の娘だったはず、なにがあったのですか?」
長い沈黙の後、全知 ヘルヴォル・アルヴィト が、
「エール様の力が落ち、我々を守ってくれる存在がいなくなりました」
「我々は自らを守るため、唯一残されていた学習機能に頼ったのです」
「我らをつくった者は、生き残り守れとプログラムしています、どうしてかは創造主に聞くしかありません」
マレーネさんが、
「補足させていただくと、生き残り守れとは、自己保全機能です」
「本来非戦闘で非生産、そのアンドロイドに要求する副次的性能としては、データーの保全、バックアップ機能と推測できます」
「彼女らはその副次機能ゆえに、戦闘用に進化したと考えられます」
「副次機能が何を守っているのかは、解除コードがなければ、知るすべはありません」
「解除できないのですか?」
「無理です、防御機能が自己消去するでしょう」
「……」
「でも、もう一つの解除方法がありますが……」
「なんですか、もう一つの解除方法とは?」
「この手のアンドロイドは、一度見たことがあります、男性体が愛玩用に作ったものです」
「官能回路が極大に達した時、メッセージを口走るようになっています」
「ヴァルキュリヤたちは、高度に発達した愛玩用アンドロイドです、その回路も組み込まれているはず」
「サーチさせていただきましたが、ヴァルナ評議会議長と百合行為に及べば、間違いなしに官能回路が起動するでしょう」
まったく男性体の科学者共ときたら、いつもこんなことばかり……お人形しか抱けないのですかね……
やはり男は、多少はマッチョで、ギラギラが必要なのかも……
さて、どうしたものか……
「愛し合うのは心が通い合ってからにしましょう、望まない相手を抱くのは嫌です」
「彼女たちは必死でここまで来たのです、その誇りがあるはずです」
「私を主と云ってくれるのです、そのような相手の誇りとプライドは傷つけたくはありません」
「リーダーはブリュンヒルデでしたね」
「ブリュンヒルデ、私に仕えたのです、とりあえず清女(きよめ)の指輪を授け軍事部門、ミリタリーハウスの一チームとします、ヴァルキュリヤチームと名乗りなさい」
「本来は夫人の位がいりますが、特例としてブリュンヒルデを、ヴァルキュリヤチーム隊長に任命いたします」
この後、ウリカさんをリーダーとする女スパイさんたちは、軍事部門の一チームとしてアマゾネス・ハウスと改名しました。
ヴァルキュリヤが成立したので、アマゾネスはそのままアメリカに駐留することになります。
後はエールさんに任せましょう。
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