上 下
43 / 124
第四章 アメリカ新婚生活

ストレスが天変地異を引き起こす

しおりを挟む

 ホットスプリング郊外の屋敷、私は無理をいって売ってもらいました。
 そこへ、久しぶりに三巨頭がやってきました。
 一人はネイサン・ロッシチルド
 もう一人はジョン・デヴィッドソン
 最後の一人はシャルル枢機卿

 このごろ、やっとネイサン以外の名前を覚えました。
 知ってはいましたが、直ぐには思い出さないというか……
 必要がないと覚えないたちで……、ごめんなさいね。

 この、女の屋敷に入れる殿方は、この三人だけ、後は何人もはいれません。

「ミコ様、お気に召したようですね」
「温泉がありますし、日本式なのがよくて」
「お好きですね」
「やはり日本生まれですからね」

「このごろ、事務担当者とお楽しみとか?」
 恥ずかしいですね、穴があったら入りたい心境です。
 しかし、ここは居直りが肝心です。

「楽しくやっております、何か?」
「いえ、貴族趣味ですな」
 ネイサンさんが、遠まわしに嫌みを飛ばしてくれます。

「ジョンさんには申し訳なく思っていますが、拠無い事情がありまして……、しかし娘さんは、私が責任を持って守ります」
「そのことですが、当方が茜様に問い合わせたところ、お倒れになったとか?」
「世界中で、天変地異が起こった事をご存知ですか?」
 ジョンさんの情報網もなかなかです。

「承知しております、私のストレスのためにご迷惑をおかけしたようで……」
 ネイサンさんが、
「ミコ様も人でしたのですね、しかし、これは大変な事です、一歩間違えば、世界の終わりになりかねません」

「たしかに迷惑といえば迷惑ですが、いまさらどうなる物でもありますまい、それにミコ様には、このテラにお住まいになってもらいたいと思っています」
「とにかく我々としては、ミコ様がリラックスして、ストレスダウンを起こさぬように尽くすつもりです、資金もたっぷり頂いておりますので」

 シャルルさんも、
「とにかくお心のままにお過ごしください、世界を終わりにしないためにも……」
 私はどうやら危険人物の様です、まぁ実際そうなのですが……

 でも、帰れと連呼されないのには、なにか理由でもあるのでしょうか、私のご機嫌とりだけとも思えませんが……

 三人の事務担当者が、お茶を運んできました。
 三人をみて驚いたでしょうね、とにかく綺麗になっていますから……

 とくにジョンさんは嬉しそうです、うつろな目をしていたアリシアさんでしたが、今は活き活きとして、健康そうなのですから。

 でも、危ない物が、側にピッタリとついています、それぞれの愛犬です。
 あまり可愛げのないワン君たちですが、この三匹はそれぞれが選んだ主人が大好きのようです。

「三人とも、よくやってくれています、恥ずかしい事に対しても、良く尽くしてくれています」
「私、考えたのですが、三人には順番で休暇を与えようと……」

「思い切って三週間働けば一週間、これを輪番でとって頂きます、私に仕えることはハードですから」
「とりあえずはエッダさん、シャルルさんといっしょにご両親のもとへ帰りなさい、クー・シー、護衛を頼みます、でもエッダ、浮気は駄目よ」

 そんな話をしていますと、ジョンさんが、
「ミコ様、たまには皆さまと、ホットスプリングへ繰り出されませんか?」
「この屋敷のメイドと護衛を一人ずつ、皆さまにつけて車も一台ずつ用意します」

「不用意なご発言さえお控えくだされば、後の対策はこちらでいたしましょう」
「幸いこの町はディヴィッドソンに縁のある街、それも可能です、いかがですか?」

 私はすぐに乗りました、ホットスプリングの街をぶらぶらするのです、いいですね、どんな目論見があるかは知りませんが……

「で、なにがお望み?」
「実はアリシアをメイド代わりにつれていって頂きたい、ミコ様なら護衛も不要、親として娘のデートのために一肌脱ぎたいので……」

 ディアヌさんとエッダさんが、凄く羨ましそうな顔をします、しかしサリーさんが「しかたありませんね」と云いましたので、何もいいません。

 皆を車に押し込み見送ったのち、アリシアさんとデートですが、邪魔な犬がついてきます、忠犬バーゲスト君です。

 さて、このままではディアヌさんが可哀想ですね……
 そうです、すこしピクニックと洒落込みましょう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

私立異世界博物館付属図書室所属・異世界司書の菜花奈都姫さんは、今日も元気に出張中。

葱と落花生
ファンタジー
 よせばいいのに拠所無い事情から、私立異世界博物館の付属図書室で募集していた司書採用面接を受けた菜花奈都姫(なばななつみ)さん。  奇妙な事情が絡んで見事試験に合格したまではいいが、成りたて司書の世話役として遣わされた神族エポナさんと一緒に、異世界での年会費や貸出本の回収を担当する事になった。  研修期間中に知り合った妖精のティンクとアークデーモンのしずちゃんに麒麟族のキキリンさんも仲間になって、異世界司書団が結成された。  労働基準法の存在を真っ向から否定した過激な勤務。  そんな仕打ちを律儀に耐え忍び、長期出張の日々を過ごさなければならないのだ。  日々不満を抱きながらの勤務ではあるものの、私立異世界博物館から支給される道具や能力は使い勝手が非常によろしい。  出張経費は、衣食住総て博物館持ちで一切かからない。  薄給を埋めてもまだ有り余る特典に慣れてしまい、いつしか辞めるに辞められない生態へと変化してしまった。  何時になったら終わるか知れない過酷な勤務。  幾多の試練をものともせず順調? に仕事をこなしていく司書団。  あちらこちらと出張しているうちに、集まった仲間は双頭のサタンと称された悪魔のルシファーとベルゼ。  異世界博物館の精霊界に異常繁殖した魔獣を、魔界の女王ヘルとその兄フェンリルも加わった特別編成で退治して荒稼ぎ。  麒麟の子やS級魔法使い少女のモイラも加わって、困った王様が呼び出してしまった念獣退治でこれまた一稼ぎ荒稼ぎ。 もはや異世界司書団の行く手を阻むものは何もない。  地球に生息する人類ただ一人の異世界司書。  奈都姫さんは、今日も元気にどこかへ出張している‥‥‥。

聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな
ファンタジー
 ティアラ・クリムゾンは伯爵家の令嬢であり、シンクレア王国の筆頭聖女である。  そして、王太子殿下の婚約者でもあった。  だが王太子は公爵令嬢と浮気をした挙句、ティアラのことを偽聖女と冤罪を突きつけ、婚約破棄を宣言する。 「聖女の地位も婚約者も全て差し上げます。ごきげんよう」  父親にも蔑ろにされていたティアラは、そのまま王宮から飛び出して家にも帰らず冒険者を目指すことにする。  

【第3部】勇者参上!!~究極奥義で異次元移動まで出来るようになった俺は色んな勢力から狙われる!!~

Bonzaebon
ファンタジー
「ただ戦って相手を倒す事は正しいのだろうか?」  戦いは多くの物事に決着をつけてきた。勇者ロアもそうだった。  だが、それは本当に正しい事なのだろうか?  ただ倒すだけでは相手がやろうとしていた事と変わりが無い。  ただ倒しただけでは問題が解決したとは言えないのではではないか?  勇者は“勝利”以外の解決方法を思索し始めた。 「やっぱり和解が最善の解決手段だろ。」  勇者は更なる苦難の道を歩み始めた。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

処理中です...