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第二章 テラの事務担当者

新たな事務担当者候補がやってきた

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 ホットスプリングスへ行くことになりましたが、ますます厄介事が降りかかってきます。
 いったいどう始末をつければいいのでしょうか。

 一応ここから車に乗り、ノーウッド・メモリアル飛行場へ移動して、自家用ジェットに乗り、ホットスプリングス・メモリアル・フィールド空港へ着くと、車が迎えに来ているということらしいのですが……

 その準備に、ディアヌさんが朝から奔走する予定でしたが……
 ディヴィッドソン財閥から一人、法王領から一人、事務担当者候補がやってきて……

 エールさんが困り切っているようです。
 ココが、エールさんのお願いを伝えに来ました。
「エール様が、ミコ様に来ていただきたいとおっしゃっています」
 私はジジさんとミレーヌさんとダフネさんと、エラムのことについて話しをしていました。

「巫女様も大変ですね、これは確実にハレムが出来ますね、しかもテラの女は独占欲が強そうですし……」
「乗り込んできた女も中々ですね」
 と、ダフネさんが云います。

「でも組織としては当然でしょう、なんとしても自己の人員を入れておかなければ、後々に困りますからね」
 と、ミレーヌさんが答えます。

 ジジさんが、
「ヴィーナス様、お供いたします、興味ありますので」
 当然、残りの二人も口をそろえます。

 まぁ、この三人は政治的な猛者でもありますし、その三人の前で、新しい事務担当候補は冴えを見せてくれますかね。

「いきますか?」
「お供します!」

 ぞろぞろと、にらみ合いの部屋へいきました。

 姉の小さな居間で、睨み合い状態です。
「だからミコ様の夫人である私がいる以上、貴女たちは必要ありません、お帰り下さい!」

「それともなんですか、ミコ様の奴隷になって、身も心も捧げられるのですか、ミコ様にお仕えするには、奴隷になる覚悟が必要なのです」
 あれ、ディアヌさん、これ見よがしにチョーカーを見せています。

 エールさんが白々しく、
「これはミコ様、気がつきませんで失礼しました」
 その一言で、睨み合いの女たちは静まります。
 凄い視線です、レーザーほどの威力がありそうです。

 それにしても険悪な雰囲気ですね、ディアヌさんの険しい事、なんでこんなに怖い顔をしているのでしょうか。

 対するのは明らかに修道女が一人、でもこの人は子供のように見えます、小柄で眼力があります、質素な修道女の服装も、逆にその美貌を引き立てています。

 もう一人は気の強そうな長身、ブロンド、青い目と三拍子揃っています、スタイル抜群、綺麗なおみ足、でも目がうつろです。

「エール、どうしました?」
「実はカトリックとプロテスタントからの、事務担当志願者とディアヌが、今度のホットスプリング行きで揉めているのです」

「ディアヌさん、どういうことですか?」
 今度はディアヌさんに説明を求めます。

「今回の件は当初より、ロッシチルド家の別荘と決まっていたのに、ディヴィッドソンの代表が変更を云いだしたのです!」
「そもそも正式に事務担当になったわけではなく、ミコ様のお側に仕える資格も今は持たない方に、口出しされたくありません!」

 感情的ではありますが、正論と認めますね。
 やはり先の約束が優先するのは、古来よりの常識でしょう、それに確かに、まだ二人を事務担当と認めた訳ではありませんし……

「ホットスプリングスの件はディアヌさんの管轄です、私は親しくない方に、自身の安全をまかす気にはなりません、この話しはこれでお終いです」

 ディアヌさん、ホットした顔です。

「まぁとにかく皆さん、座りましょう」
「二人とは初めてですね、私がミコです、さて法王領の貴女、お名前は?」
「エッダ・ハプスブルグ・ロートリンゲンと申します」

「まったくあの枢機卿、よりによってハプスブルグを寄こすとは……」
「いくつですか?」
「十五です」

「その年では私の事務担当は無理でしょう」と言いますと、手紙を一通差し出しました。
「どうかお読みください、両親と枢機卿様からの親書です」

 私は受け取りながら、
「ディヴィッドソンさんのお名前は?」
「アリシア・ディヴィッドソン、お目にかかれて光栄です」
「私も父より手紙を預かっていきました、どうかお助けください」
「助ける?」
「まずは手紙をお読みください、お願いします」

 これは単に、事務担当の志願者ではないようです。

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