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第一章 未確認重要事項保護局
メール
しおりを挟むその日一日、姉の家に居候して、今後の予定を立てています。
サリーさんはテレビに夢中です。
「お嬢様、この箱はすごいですね、これでお嬢様の世界がここに居ながら見られるのですから」
「たしかにそうですが、気をつけてくださいね、テレビには、伝える方の意図が隠れているものです」
「そのまま真に受けることは、愚かなことになります。二つ三つ同じ事柄を伝える、別々の映像を見て、総合的に判断する必要があるのですよ」
「つまり、すべてを信じてはいけない、嘘の中より真実を見抜け、ということですか?」
「その通りです、やはりサリーさんは聡明ですね、私の愛する女です」
「お嬢様……」ポット赤くなるサリーさんです。
姉は仕事に、素知らぬ顔で行きました。
三人でお留守番です、お昼は姉がピザを大量に注文してくれていましたので、これを食べています。
エールさんは黙って控えています。
「エールさん、なにか気になることでも?」
「あるじ様、ルシファーのこと」
私はエールさんの口に指を当てます。
「云わなくていいですよ、この話しは、姉が切り出すまでね」
「……」
私は姉の家のパソコンを立ち上げました、十年前とはかなり違います。
姉からレクチャーを受けていますので、別に難なく使えます。
姉が昔の私のアドレスを、維持管理していてくれていました。
懐かしい世界、パソコンでインターネットを色々いじっていた頃を思い出します。
と私宛にメールが来ていました、先程です。
「……これは……姉が私宛にメールなど送るわけはないし……」
「薫さん、私宛にメールが来ていますが、これの内容を開かずに表示できますか?」
「たやすいことですが、内容に少々困惑します」
すると、マレーネさんが割り込んできました。
「マスター、構いません、堂々とお読みください、後の始末は、お気持ちのままに私が処理します」
心強いですね、マレーネさんは。
メールを読みましょうか。
**********
はじめまして、吉川洋人様、我々は国連の組織で、未確認重要事項保護局と呼ばれています。
急遽新設された部署で、公表はされていませんし、今後もされる予定はありません。
我々は貴方の現状について、ご相談にあずかる事が可能です。
本日午後一時二十五分に、電話を差し上げます。
留守番電話に、日本語で伝言いたします。
我々はナノマシンも把握しております。
我々としてはこの点について、交渉をしたいと思っています。
勿論、貴方の絶対優位は揺るぎなく、良からぬ行動も無力ということを、このナノマシンを分析した結果、理解しています。
それを踏まえての交渉です、取りあえずはお会い頂きたく願っています。
なお全面的に現地政府は協力いたしますことも、申し添えておきます。
**********
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