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第六十章 根源の存在
百名の散茶端女(さんちゃはしため)さんが誕生
しおりを挟むその後、マッチョな女たちの相手をするために、北イタリアのモンティチェッリ温泉に、私が作った露天風呂に向かいます。
いまではここは、ウェヌス・エリュキナ神殿が管理する聖地、かなりの敷地が男子禁制となっており、城壁に囲まれています。
このたび、百の個室が作られたのです。
そこで例のサバトのミニ版、あちこちで色っぽい嬌声が響いた夜でした。
百名の散茶端女(さんちゃはしため)さんが誕生しました。
一応これはサリーさんの承認を得ています。
今回だけ特例として、ヴィーナスさんの我儘が通り、連続のサバトが認められたわけです。
やはり誓約が遅くなったのを、気にしていたようですね。
百合の会議でも、彼女たちの勇戦ゆえに致し方ない、ということになっていますから……
その後、各地の婦人戦闘団より、さらに大量の『散茶』持ちの端女、『散茶端女』さんが、優先して任命される予定です。
ローマ・レムリア帝国のテトラルキア体制はうまくいっているようです。
まだまだ奴隷が生産力の根幹ですが、奴隷労働の効率化の観点から、奴隷の福祉が叫ばれ始めています。
奴隷をすりつぶしてしまう過酷な労働より、継続して熟練した奴隷による、生産性向上のほうが儲けがある。
確かに、底辺の奴隷の生活の向上が認められます。
生産性が向上し、帝国の税収も上がり始め、パンとサーカスの政策のうち、徐々にパンの部分を減らしていってます。
勿論それに合わせて、税率を少し下げているようです。
奴隷売買は、多分なくならないでしょうし、剣闘士という職業も、なくならないでしょう。
しかし少しずつ生活の質が上がり、貧困家庭も少なくなりつつあるとか……
まぁ、それでも貧困家庭の女は売られるようですけど……
ウェヌス・エリュキナ神殿では、毎月幾人かは、ローマ市民だった女を、奴隷として購入しています。
彼女らは、ウェヌス女神の巫女となるのです。
コルメン・ラクテウス(乳の出る円柱)にも、捨て子が一杯……ファウスティナ神官長にウェヌス・エリュキナ神殿の権威による、罪と罰の観念を広めるようにお願いしました。
このような行為には、ウェヌス女神はご不快であると……
それでも確実に良い方向へと、文化は進んでいるようです。
「進化はなくても道はあるようね」
イシスさんが感心したように云いました。
「本当にそうね、死にそうなめにあったけど、代価を支払ってよかったと実感したわ」
「ところで今回の百合の会議、誰が『散茶(さんちゃ)』と『サバト』をねじ込んだの?戦後処理には関係ないでしょうに」
「さあね、でも長年の懸案だったでしょう?」
「このような解決方法は望んではいませんでした!」
「進化はなくても道はある」
イシスさんが再び繰り返した言葉でした。
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