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第六十章 根源の存在
一斉夜伽は『サバト』と称する
しおりを挟むヴィーナスさんは、珍しくイシスさんと二人だけで、惑星ロマーニャのウェヌス・エリュキナ神殿の、地下ホテルのテラスにいました。
このテラスは、北アフリカのサハラのど真ん中のオアシスにつながっていおり、そこにビーチパラソルとテーブルなど出して、二人は優雅にワインなどを傾けています。
二人ともビキニ姿、まぶしいほどのサハラの日差しですが、かき消すほどの美しさ、まぁ二人とも女神さんですからね。
例の一斉夜伽、これを『サバト』と称するのですが、試すために幹部会議で、早めに一回目をすると決まり、一昨日、ヴィーナスさんは、ニライカナイで奮戦したわけです。
その後の三日の夜伽自粛を利用して、惑星ロマーニャのローマ・レムリア帝国の現状視察に、姉を誘って訪れたのです。
昨日、さりげなくローマ市内を、聖者カエキリア・メテッラ・マイオルは歩き回り、その後、ローマの東のアウグストゥス、プリンケプスでもあるガイウス・ペスケンニウス・ニゲル帝と面談したのです。
「お久しぶりですね、ニゲルさん」
「これはウェヌス女神様、そちらの方は?」
「姉のイシスです」
「ではイシス女神様?始めてお目にかかります」
「ガイウス・ペスケンニウス・ニゲルです、ところで何用でお越しに?」
「ちょっとこのローマで、休暇を取ろうと思いましてね、それより、うまく統治されておられるようで何よりですね」
「お陰さまで、何とか平和を持続できています」
「貴方の治世のうちは大丈夫でしょうね、馬鹿を後釜にはしないでね」
「……」
「ところでファウスティナ神官長から聞いたのですが、神々の間で戦いがあり、女神様が大怪我を負ったとか、大事は無いのですか?」
「死にかけましたけど、こうして元気になりました」
「そのお陰で、世界は滅亡の終末を避けられるようになりましたよ」
「この世界は、明日を少なくとも、自らの力で引き寄せられますよ」
「めでたいことです、ところでこの後のご予定は?」
「三日ほど滞在するつもりですが、この後は、ヌミディア女騎兵隊とサルマタイ婦人騎兵隊の皆さんに、お付き合いをしなければならないので……」
イシスさんがくすくす笑います。
「ニゲルさん、妹は結構なスケベですので、察してあげてくださいな」
「まさか、全員と……」
「そうらしいわよ、二つ合わせて百名程度、なんせ契りを結ぶと約束したそうですからね、皆を引き受けるとね」
「なら私たちの世界では肌をね、重ねなければならないの、とくに妹のような立場ではね」
「私も知っているけど体力抜群の女たちよね」
「……」
「それはそれは大変ですな、しかし男なら冥利に尽きますがね、少しばかりうらやましいかと」
「ところで折角ですので、我が息子に会っては下さらないでしょうか」
凛々しい、聡明そうな若者がやって来ました。
体も鍛えているようですね、さすがはローマの武人の息子です。
帝位後継者としては申し分なさそうです。
ニゲルさん、私に了承を求めたかったのでしょうね。
「私は了承しました、証(あかし)を差し上げましょう」
ヴィーナスさん、虚空から一振りの刀を取り出しました。
振武刀ですね、しかも魔力がまとわり付いているものです。
「貴方なら、この刀の魔力に魅入られることなく使えるでしょう、父の名を辱めないようにしなさい」
「仰せのままに」といいます。
やはり刀をもらうと、男は嬉しそうにしますね。
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