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第五十五章 劣勢

天照大神(あまてらす)孤軍奮闘

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 ヴァルホルステーションの住民に破壊されたのは、戦闘コンピューター以外にも広範囲に及び、予備ネットワークまでも含まれていたのです。

 幸いに動力炉とその管理コンピューター、非常軍事用ネットワークは健在で、動力炉管理コンピューターが、危機管理防衛戦闘システムを起動、カラミティ航空宇宙軍をかいくぐってくる虫相手に、防衛戦闘を繰り広げていました。

 その為に、防衛戦闘に動力炉管理コンピューターは全て情報資源を投入、内部は現在稼働している、危機管理防衛戦闘システム関連だけ管理していたのです。

 その内部で、天照大神(あまてらす)は寄せ来る黒い霧の粒子を叩き落としながら、孤軍奮闘しています。

 天照大神(あまてらす)が、何とかムスペル一体分をさらに撃破したようで、残りのムスペルは四体、いままで内部で少し動いて、破壊工作をしていた住民も、全て動かなくなります。

 おかげで住民による、内部破壊進行が止まり、ヴァルホルステーションの人工知能群が、内部ネットワークを復旧するのに成功しました。

 内部に設置している、各階専用の新型の非常用小型核融合炉制御コンピューターには、各階をカバーできる最低限の監視ネットワークがあり、汎用ロボットを保守管理用に動かせるのです。
 これが何とか起動したのです。

 ヴァルホルステーションはレイルロードの中では最大級の大型ステーション。
 ヨミ号のように、各階管理コンピューターが内部管理をしており、一つでも稼働していれば、全階の管理も可能な能力を持っています。

 全ての各階管理コンピューターが機能停止した時、新型の非常用小型核融合炉に附属している、制御コンピューターが、非常起動するようになっているのです。

 その間にもウンディーネは、ノーミーデス、サラマンダー、シルフィードの内部に侵入した黒い霧の粒子を、かき出し乳房を握り囁きました。

 ついにサラマンダーの恐怖条件付け解除に成功し、サラマンダーの手伝いで、ノーミーデスとシルフィードの恐怖条件付けも解除されました。

 天照大神(あまてらす)はムスペル一体分をさらに撃破したようで、明らかに黒い霧は勢いを失くしています。
 
 ヴィーナス・ネットワーク・ワールド最強と称えられた天照大神(あまてらす)も、さすがに疲労の色が漂っています。
 天照大神(あまてらす)は、さらにムスペル一体分を撃破、ここでさすがに天照大神(あまてらす)も動けなくなります。

 ウンディーネ、ノーミーデス、サラマンダー、シルフィードの四人は、必死に戦闘を引き継ぎました。
 黒い霧が半分になったところで、ウンディーネも動けなくなりました。

 ノーミーデス、サラマンダー、シルフィードの三人は、なおも戦闘を続けます。
 外では虫の艦隊をかなり撃破していますが、まだ防衛戦闘が続いており、動力炉管理コンピューターは内部に余力を割きません。

 サラマンダーも動けなくなり、ノーミーデスも動けなくなりましたが、黒い霧の粒子はほとんどなくなりました。
 シルフィードが最後の黒い霧の粒子を叩き落としましたが、自身も疲労でほとんど動けない状態です。

 しかし内部で再び、少数の住民が破壊行動を開始します。
 シルフィードは気力を振り絞って、三鈷杵に念じました。

 動いている生体内部に巣食っていた、黒い霧の粒子が動かなくなっていきます。
 そしてヴァルホルステーション内部で、動く生体はいなくなりました。

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