惑星エラム 幻のカタカムナ 第四部 ラグナロク編【ノーマル版】

第五十三章 ヨルムンガンドの大波

巨大ネオニコチノイド爆弾

　
「戦時最高幕僚部より緊急電です！」
　バアル・ゼブルは電文を見て
「なるほど、これならいける！」

　そのように叫ぶと、
「ミニ・インフェニティ・カーゴは、全力でネオニコチノイドを詰めた爆弾を量産せよ！製造法はいまインストールされているはずだ！インフェニティ・カーゴは自動戦闘艦の量産を取りやめ、メギドの火を量産せよ！」
　
　どんどん巨大な、ネオニコチノイド爆弾が出来上がります。
　
「虫の本星にピンポイントでネオニコチノイド爆弾を放り込め、ミニ・インフェニティ・カーゴでも出来るとの事だ！その後、計画通りメギドの火を投げ入れろ！」

　ネオニコチノイド爆弾を、虫の惑星に転移させて爆発させています。
　すぐにメギドの火をワープで突入させます。
　
　ヴィーナスネットワークで実用化されている、転移というのは、人体を構成する粒子に分解、記憶をつかさどる幽子とともに、ビームにのせて五次元空間を抜ける方式です。

　宇宙鉄道や宇宙船が使う、ワープとは違う原理です。
　今のところ巨大なものは無理で、小さい家程度のものが限度です。
　ネオニコチノイド爆弾は１０メートル四方のもので、転移が可能な上限の大きさですが、極めて高濃度のネオニコチノイドが詰められており、その威力は惑星を汚染できるほどのものとなっています。

　この爆弾、中身は色々変更可能で、転移爆弾と呼ばれるようになりました。

　さすがに出現の勢いが衰えてきました。

　これを梵天ブラフマーは眺めています。
「ほう、ピンポイントで毒ガスか、いいアイデアだ、ではこちらもマネをするか」

　アナトさんの旗艦に虫が転移してきました。
　これを見たアナトさん、すぐに凍結時空間を設定、転移してきた虫を閉じ込めます。
　そしてブラッドメアリー戦闘団を投入、虫は退治されたのですが、戦時最高幕僚部は暗雲に包まれました。
　今のところ転移を防止するすべが無いのです。

「なんとしても、敵の転移を防止する技術を開発してください！」
　マレーネさんが、湯気を上げながら対策をたてました。

　どうやらデーヴァの転移は、転移対象を構成する粒子に分解、記憶をつかさどる幽子とともに、量子テレポートさせ、オリジナルを償却するみたいです。

　どうもデーヴァの転移は、転移中は連動しているみたいで、完了前に何らかの致命傷をあたえれば、オリジナルにも致命傷を受けることが分かったのです。

　要はテレポートが完了しないうちに、殺虫剤を吹きかければ良いみたいですね。
　やはり物質世界での科学技術力は、アスラ族のほうが一枚上のようです。

「なるほどな、しかし対処法がわかっても数で押せばどうかな、転移戦法は使えるぞ……ルシファーをあぶりだすにはちょうどよい……」