惑星エラム 幻のカタカムナ 第四部 ラグナロク編【ノーマル版】

第五十二章 この世界を守るべし

虫の急襲 オルメカ第三宇宙

　戦時最高幕僚部が設立されてから一年……
　ついに物質世界のいくつもの宇宙、その中の膨大な銀河の中に、虫の星系は具現化した。

　三千世界に滅亡をもたらし、輪廻を本来の姿で回すために、神の使徒は異形の姿で降臨したのである。

　オルメカの管理する最縁部宇宙、オルメカ第三宇宙と呼ばれている場所で、最初の兆候がとらえられた。

　ここを担当するオルメカ第六方面軍。
　司令官のツィツィは、すぐにシウテクトリに報告をするとともに、このオルメカ第三宇宙のユニバースの軍事拠点ステーションにも通報。
　オルメカ第六方面軍全軍を率いて、出現した虫の星系を破壊しに向かいました。

「問答無用で消去する、インフェニティ・カーゴを全力で稼働させる」
「オルメカ第三宇宙全域を監視するように、敵の星系は一つではないと、戦時最高幕僚部より通達が来ている」

　旗艦であるオルメカⅥは、スーパースキーズブラズニル級以下の艦隊を率いて、最初に現れた虫の星系を破壊しました。
　小さい星系でしたが、ほぼ２０億ほどの高等知生体が滅亡しました。

　しかし破壊した瞬間に、新しい星系が現れるのですが、ツィツィは虫の星系が具現化した瞬間に、あらかじめ作っておいたメギドの火を送り込み、この星系の元を立断ったのです。

　インフェニティ・カーゴは全力で戦闘宇宙艦隊を作っています。
　目の前の虫の星系の艦隊は、この戦闘宇宙艦隊に任せています。

「ツィツィ司令官！虫の星系が三か所現れました！」
「インフェニティ・カーゴで虫の星系の前面に、戦闘宇宙艦隊を出現させろ！つづいてすぐに『メギドの火』も出現させろ！」

　オルメカ第六方面軍は、無限に出現する虫の星系を片端から破壊していきますが、とうとう一つ破壊しそこなったのです。
　そいつは艦隊を増殖させていきます。
　戦闘宇宙艦隊は、片端からこれを撃破していきますが、破壊された後、艦艇が復元される直前に、ミニ・メギドの火を送り込んでいます。
　とうとう増殖を抑える事に成功しました。

　この時、オルメカⅥステーションに敵艦隊が出現、オルメカⅥステーションは敵艦隊と交戦、備蓄貯蔵していたミニ・ギドの火を投入、なんとか壊滅させたのですが、ついに突撃艦に突入を許してしまい、虫が乗り込んできたのです。

　ヴィーナス・ネットワークの各ステーションには、マニッシュ婦人戦闘軍の一個小隊３０名が乗っています。
　ステーションの軍事担当者は、この部隊と虫の兵士たちの周りに、凍結時空間を設定したのです。

　凍結時空間の中で、マニッシュ婦人戦闘軍一個小隊は凄絶な白兵戦を繰り広げ、重症５名と引き換えに、敵を殲滅してきたようです。
　
　この時には、オルメカの担当宇宙など、ヴィーナス・ネットワーク全域に虫の星系が具現化を始め、各地でこのような戦闘が始まっていたのです。

　オルメカ第六方面軍は、なんとか対処しているようですが、そうそううまくいかないようで、あちこちの戦線で取りこぼしが起きています。

　『虫』の星系は、互いにその存在など知らない。
　彼らは宇宙を渡るほどの科学力は無いようだが、ブラフマーは弱点とは思っていない。

「どう戦うのか？我にも分からぬ命題ぞ、アスラの女どもよ」
　一つでも残った虫の星系を核として、ブラフマーは回収した膨大な嘆きのエネルギーで、具現化した『虫』に埋め込まれている幽子を利用し、数えきれないほどの銀河に、一度にパラレルワールドとして具現化させたのだ。

　三千世界に『虫』というウイルスが、パンデミックした瞬間といえる。
　そしてヴィーナスさんが危惧したとおり、あちこちで虫の星系は表れ、艦隊を繰り出してきたのです。