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第五十章 戦時体制
夜なべ仕事
しおりを挟むここにヴィーナスさん、オルメカのオンポロ宇宙輸送船を、我儘言ってドッキングさせています。
何をしているかは、何もいいませんが、ここからニライカナイに通っているのです。
噂ではエンブレスの司令部を作っていると、いわれています。
「うまくいかないわね……姉さんのマイクロブラックホールと、反物質からできるマイクロブラックホールを対消滅させて、物質は創造できる……けど……」
「これを設計図どおりに、自動でくみ上げるのが、うまくいかないわね……」
「閃いたわ、雛形よ、それに量子テレポーションをうまく併用すればいいのでは……」
なにやらぶつぶつ言いながら、オンポロ宇宙輸送船を弄繰(いじく)り回しています。
どうやら誰も入れずに、一人で寝泊まりしながら、何かをしているようですが……
いよいよサリーさんが怒りだし、ヴィーナスさんがふらふらと、戦時最高幕僚部の会議に出て、今後の対策会議をしていたところへ、小雪さんと深雪さんを引き連れ、乗り込んできたのです。
「お嬢様!夜伽までキャンセルして、大事なお仕事なのでしょうが、せめてお風呂など入ってください!」
「またお召物もおかえ下さい!少々臭いますよ!」
「それに眼の下に隈まどおつくりになっておられますが、寝ているのですか!」
「そういえば三日ほど寝ていませんね……お腹減りました……」
対策会議は中止、ものすごいサリーさんの剣幕に、イシスさん以下、蜘蛛の子を散らすように逃げてしまいましたが、要領の悪いシウテクトリさんがつかまっています。
「誰か!ヴィーナス様に軽いお食事の用意をと、食堂に伝えてきて!お嬢様、食べたらお風呂へ、そして今日は寝てください!」
「あと少し……チェックしたいのですが……」
「だめです!今日はお仕事は厳禁です!シウテクトリさん!貴女もついていながら、なんですか!」
サリーさん、オルメカの最高司令官も関係ないようです。
いつも御しとやかな方が、烈火のごとく怒っています。
まず誰も逆らえないでしょう。
連行されるように食堂へ……
ホットミルクとサンドイッチが待っていました。
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