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第三章 ダリヤの物語 貨物鉄道トライアングル線
ジョーカーを引いたのは誰でしょう。
しおりを挟むこの後、二人は三軍統合司令部に立ち寄り、イシスさんとお茶など……
「やれやれ、ひどい目にあいました……」
「ゼノビアさん、これでもサリーさんと諮って、何とか収めたのよ、感謝してほしいわね」
「それは分かっておりますが……あの『つるし上げ会議』の被告は、二度とごめんです」
「私もあれほど罵声を浴びるとは……生きた心地がしませんでした、ヴィーナス様はよく平気でおられますね」
「多分今頃は、ハウスキーパーに愚痴を云っているはずですけどね、だれもハウスキーパーにはかなわないのよ」
事実、サリーさんに、愚痴愚痴と文句などこぼしていたヴィーナスさんですが、
「お嬢様が画策したのでしょう、ゼノビアさんに知恵を授けたのは、私の耳にも聞こえておりますよ」
「女を欲しいばっかりに、悪知恵をささやいたのですから、仕方ないでしょう?」
「その代わり、この地域の献上品は事務局の預かりといたしますが、抱いてもいいですよ、お土産次第ですけど」
「お土産?この間、かなりの寄付を取られたのですが?」
「既存ハレムの再整備化なのですが、予想外に多額の資金が必要なのです、いま少し援助をいただければと……」
「ガリレオ衛星管理官府からのバックマージン、あれからせっせと、貯めていらっしゃいますよね♪」
サリーさんの云うには、ハレムの中を細分化したい、コロニー、オフィスを復活させて、ハレム内の事務処理の効率を上げたい、とのことなのです。
「でも人員は増やせないではありませんか、最低でも寵妃候補が必要かと……」
「お嬢様が退席されたあと、百合の会議にはコロニー・オフィスを事務局から提案して、了承を得ています」
「その設置は、ハレムの裁量ということですが、そのため最低限の寵妃候補の、必要増は致し方ないとなりました、ですからご寄付をお願いしますね」
あれあれというまに、貯金を毟られたヴィーナスさんでした。
「姉上さま、お嬢様はご了承されました、今回の件、ハレムは認められませんが、事務局預かりのオフィスとして、認めることになりました」
「アリシアさんとの打ち合わせ通り、ガリレオ衛星執政官府からのバックマージンの向こう三年分、事務局に振り込んでいただけるそうです」
「後の事はミリタリーに一任となりますので、よろしく対処してください」
「了解している、天照との約束、プラネテスの新設輸送艦隊の実践演習、その後方支援の件は、ガリレオ衛星執政官府が受け持つ」
「ガリレオ衛星執政官府の貨物鉄道通過の件は、ゼノビアは了承済み、貨物鉄道の運賃増でミリタリーオフィスも文句はないだろう」
「その上の交易による利益の1パーセントは、三軍統合司令部の機密費となる」
「予定外といえば、ゼノビアがつるし上げられたわけだが、シェルターステーションのてこ入れが実現したのだから、文句は言わせない」
「アナーヒターと言えど、スケベを満たすことができるのだから、つるし上げもやむなし」
「ダリヤといえど、保線司令になったのだから損はない」
「結果的には誰もが、ささやかに目的を達したわけだ」
確かに関係者は、皆それなりに目的を達したわけです。
ダリヤさんはこの後も忙しく、軍務に専念することになります。
少ない予算と、戦力を眺めながらですけどね。
ガリレオ衛星ステーションの、四人の軍事参議官のユニバース内での評判は上々。
ソル星系外惑星鉄道と、その付属鉄道全路線の管理を任されるようになりました。
あるとき、LGS3保線ステーションにヴィーナスさんがやってきました。
ダリヤさんの夜伽の番なのです。
「ダリヤ!お陰でひどい目にあったわよ!この鬱憤、あなたの身体で祓って貰うわ!」
ヴィーナスさん、バラ鞭など持ち出して、ダリヤさんのお尻を軽くたたくなんてことを……
被虐感からのオーガズムが全身を走りぬけたダリヤさん、でもこんなことを考えたりしていました。
あっっっ、これってご褒美なのよねぇぇぇぇ、もっと、もっと……
少なくともダリヤさんは、満足感に浸っていました。
この後、多くの女官さんが寵妃候補になったのです。
惑星スカラ・ブレイの三名についても、ドサクサで寵妃候補になったようです。
そうそう、クレマチスさんはオルメカからユニバースに転籍となりました。
今後、貨物鉄道のお守りをするためのようです。
FIN
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