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第三章 ダリヤの物語 貨物鉄道トライアングル線
拡大シェルターステーション
しおりを挟む巨大な青色巨星の4重連星の中に、NGC604観測ステーションは浮かんでいます。
ネットワークは何事もなく、ステーションをこんな場所に設置していますが、ソンガイ帝国の科学力では無理でしょう。
「でもこれでは、観測範囲が限られてしまいますね……」
ダリヤさん、先任軍事参議官のレリンさんと、相談することにしました。
「M33さんかく座銀河は、アンドロメダ銀河と違い、直径6万光年と小ぶり」
「ヘルメスジュニアなら、ぎりぎりシェルターステーションに搭載できますので、これを幾隻か配置したいと考えます」
ダリヤさんのこの提案に対して、
「本来はヘルメス級が配属されれば済む話なのだが、確かに観測するとなると、ダリヤの案しかないな……」
「しかしシェルターステーションに搭載すると、ほとんど無防備になる」
「いっそのこと、保線ステーションを持ってきたほうが良いと思う」
「しかし保線ステーションは高価で、ミリタリーオフィスが認めないのではありませんか?」
「そうね……シェルターステーションなら、我々の裁量で自由にできるのだけど……」
……相変わらず頭が固いのね……もう……
ニライカナイで、誰かがぼやいているような……
!
「そうだ!シェルターステーションを結合させればいいのでは!」
シェルターステーションに、オプションが誕生しました。
シェルターステーションを結合させる、拡大シェルターステーションです。
構成単位として、標準シェルターステーションのほかに、ヘルメスジュニア搭載の広域探知オプションステーション、そのほか軍用ドックなどの数々のオプションステーションが計画されることになりました。
ミリタリーの球形宇宙船は、結合できるようになっているのです。
今回は標準シェルターステーション3隻と、広域探知オプションステーションの構成となります。
いざとなれば、貨物鉄道に膨大に配置されている、標準シェルターステーションを活用し、正四面体、正八面体等に増強できますので、ユニバースの戦力は効率が大幅に向上したといわれました。
とりあえずは広域探知オプションステーションを組み込んだ、拡張シェルターステーションは、未探査領域の貨物鉄道に配置することになり、最低限の予算が認められたのです。
シェルターステーションの建造単価は、かなり廉価なのですが、それでも予算とは、必ず削られるものですからね。
ユニバースの最高司令官、オーベルグルッペンフューラー(上級集団指導者)のゼノビアさんがかなり喜んだといわれています。
必要数は結局36ヶ所となりましたが、標準シェルターステーションは36ヶしか認められませんでした。
ダリアさん、何とか交渉して広域探知オプションステーションを12隻認めさせ、今回の配備となったのです。
広域探知オプションステーションは単価はそれなりに高く、ミリタリーオフィスの抵抗がかなりあったようです。
ダリアさん、正四面体構成とするかと思われましたが、トライアングル構成として、正三角に標準シェルターステーションを配備、その中央に広域探知オプションステーションとしました。
どうやら緊急のとき、近傍の標準シェルターステーションを結合、正四面体または正八面体に増強するつもりのようです。
「12隻の拡張シェルターステーションを銀河内に均等配置して、足りない分は搭載のコンテナが3セットあるので、これでヘルメスジュニアの探知範囲外にでて、監視哨戒させれば何とかなるでしょう」
「ないものをねだってもしょうがない、この戦力でM33さんかく座銀河全域を、監視いたしますか」
拡張シェルターステーションは、かなり巧妙に配置されています、中には赤色超巨星の外縁部にあるものも在ります。
大体はロボットと人工知能が管理しています。
機械体アンドロイドは配属されていません。
こうして監視体制を、なんとか整えたダリヤさんです。
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