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第十六章 『霊薬』譲渡
教皇猊下がやって来た
しおりを挟む「ティア様、こちらが『神殿』の現教皇、ランド猊下です」
シリル枢機卿の横に、品の良いご老人が座っておられます。
その後ろにはカロリーネ・ヒューベンタール聖女の女子守護騎士隊班長が、直立不動の姿勢で控えておられます。
「ユスティティア・サビナです、教皇猊下にはご壮健の様で、何よりです」
「ランドです、聖女様には初めてお会い出来て、嬉しく思います」
外交辞令を交わすと、
「カロリーネ殿、すこし席を外してくれないか」
と、シリル枢機卿が、カロリーネさんをさがらせたのです。
「急に訪れたのは、聖女様にお願いがありまして」
「『霊薬』のお話ですか?」
「なぜ、それを?」
「先ほど神託がありまして、『美食クラブ』の四人の方々に、私の手元にある『霊薬』を分配せよと」
「おぉ、神はお見捨てにはならなかった!」
「『教皇猊下に3本、皇帝陛下に3本、オルセルン侯爵に1本、ソロン商会会長に1本、私の手元に3本、あと1本は王国国王が望めば売却せよ』との神託でした」
「お手元に12本も!」
「神様のご指示ですので、ご本人に直接お渡しすることになります、いまここで3本引き渡しましょうか?」
シリル枢機卿が、
「猊下、出来ましたら関係者一同そろったところで、『ご神託』の分配をなされるべきでしょう」
「ティア様、少しばかりお時間を頂きたい、関係者で『聖女通信』の打ち合わせをしたい」
「構いませんが、七日後から五日間は『禊ぎ』となります、そこは避けてください」
「分りました」
リンク結合して、『聖女通信』で会議なんて始めています。
すぐに話しは終わりましたね、『関係者一同揃う』ということは決まっていたのでしょうね。
「明後日の3時はいかがですか?場所はここでお願いしたい」
「構いませんよ、なんなら、『館』にご招待しましょうか?『聖女通信』をお持ちの殿方だけとなりますが」
「よろしいのですか?男が入っても?」
「教皇猊下がいらっしゃるところで、女に不埒な真似はされないでしょう?」
「もっとも神託ゆえの会合でということです、普通は女と云えど、最初は全裸になっていただき、調べさせていただく決まりです」
『聖女の館』に、教皇猊下、帝国皇帝、オルセルン侯、ソロン商会会長、この四人が神託により、呼ばれたと、帝国内で公表されました。
付き従う者はシリル枢機卿、リチャード伯爵、オルセルン侯爵家宰コンラッド準男爵、ソロン商会カルヌントゥム支店長ダンカン士爵。
コンラッドさん、準男爵なの?お貴族様だったのね……ダンカンさんも士爵……一代貴族なのね。
『聖女の館』の侍女さんたちの名前は公式には一切発表されない決まりとなっています、いつの間に決まったのかね。
でも、『聖女のもてなし』に連日通い、詳細に観察すれば、侍女さんたちのお名前、私も含めてですが、分るのですね。
この日はもの凄い警備となり、召使いさんもお昼を食べたら、悪いですが控室に待機していただきます。
さらにいままでの集会室には、新たに18番住宅を接続していましたよ。
夕ご飯は6時となりました。
「服は侍女さんたちに配ったセーラー服ね、お店と同じだけど仕方無いわね」
でも、このコスプレセーラー服、侍女さんには好評なのですよ、とくにレベッカさんとシャーロットさんには。
「まさか、この年でセーラー服なんて♪着る前は小皺が気になったけど、よく見ると、ティア様の奴隷にしていただいてから、お肌が20歳前に戻ったようで、ピチピチなのよ♪」
レベッカさんが云うと、
「私なんか28なのよ、おばさんの部類よ、でもレベッカさんの云うとおり、お肌が18歳のようで、自分でもセーラー服が似合うと思うわ♪前世の女学生時代を思い出したわ♪」
シャーロットさんのお言葉ですね♪
どうやら前世のシャーロットさんは、京都の女学校にお通いの様で、聞くと、偏差値もそこそこのお嬢さま学校でした。
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