いやいやながら女にされて異世界生活

第十二章 お粗末くんの始末

良いことが……あるの？

　翌朝、１０時すぎ、通りがかりに『ウッドハウス』に寄ったコンラッドさんが、
「大勝利です♪オルセルン侯は大公殿下とともに、軍を率いて帝都に向かわれました」

「我らはこのままカルヌントゥムに帰還します」
「連中には、オルセルン侯から膨大な報奨金が支払われます」
「カルヌントゥムの酒場や悪所は大もうけでしょうね」

「コンラッドさんは、その報奨金の事務処理ですか？」
「そうなります」
「大変ですね」
「まあ、これが私の仕事ですから」

「これでのんびりと出来るわ♪」

「そうそう、オルセルン侯が、『迷彩』をする必要がなくなったと、おっしゃっていました」
「そうなの？良かったわ、もう面倒なのよ♪」

「でも、素顔で料理屋に立たれたら、大変かも知れませんよ、そうそう、大公殿下が、この騒動が終わったら、ご挨拶に伺うとおっしゃっていましたよ」
「そうなの？」
「良いことがありますよ♪」

「それから、今回のことで、お約束の料理屋建設はかなり延びることになります、女奴隷の件もそれに伴い延期となります、ご不自由でしょうがご了承下さい」
「別に構いませんよ、その間に温泉でも掘削いたしますから」

「その話ですが、料理屋も含めて、ダンカン・アッテンボローが、かなり計画を練っているようなので、一度彼と話し合われたほうがいいですね」
「そうですか、一度話をしてみましょう」

「温泉、出来たら私どもも入りたいですね♪では、これで」

　コンラッドさん、帝国傭兵団を率いて、お戻りです。

「ラダさん、どこら辺に温泉を作ります？」
「その前に、ダンカンさんと話あわれたほうがいいのでは？」
「ティア様と私どもが住まう地域、そしてお料理屋や温泉などの地域、分けませんといけないでしょう？」

「あの建物もどうするか、はっきりと決めなくては……いまはマリアさんが一人でお住まいですが、どうやら他の方の入居は延びそうですし」

「そうね、でもダンカンさんが料理屋などの担当なの？侍女さんはコンラッドさんの担当だったのでは？」
「御三方でティア様の扱いについて、話し合われたのでしょう？もう隠すこともないと判断されたようですね」

「なんか面倒なことになるのかしらね……」
「ティア様が『聖女』様であることを、隠しおおせないと思われていると……」
「ラダさんもそう思う？」
「そう思いますね……」

「神様の御褒美はとてもうれしいけど……大公殿下の良いことって……あるの？」