いやいやながら女にされて異世界生活

ミスター愛妻

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第八章 ラングスドルフ領の旅

ソロン商会の会長さん、再び

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 カレースープをお二人にふるまい、同行の話を了承し、のんびりと四人で、●ルッ●スのドリップコーヒーなんて飲んでいますと……

「ヴェッティン大公殿下、こんなところで娘さんを口説かれているとは、珍しいですな?」
 突然、声がかかりました。

「あまりにいい匂いがして、どんな方が作っているのかと思ったら、オルセルン侯に呼ばれた料理人のお嬢さんたち」
「そこにヴェッティン大公殿下と、側近のチャールズ伯が口説いておられる……抜け駆けですか?」
「なら、私もユスティティア・サビナ嬢を、ソロン商会の専属料理人としてスカウトしましょうかな」

「そういえば名乗ってはいませんでしたな、私はソロン商会の会長をしております、クリフォード・ソロンと申します」
「わたくし共も同行させていただきたいものですな、『聖女』様」

「お久しぶりですね、誰もそのような大それた称号など、所有していませんよ、クリフォード・ソロン様ともあろう方が、推測で物をおっしゃるのですか?」
「手厳しいですな、私も商売人、口は堅いという事だけは信じていただきたい」

「そうですね、初めてお会いした時も、他の方と違い、言葉を選ばれていましたね」
「同行と言われますが、こちらのヴェッティン大公殿下に、お願いしていただけませんか?」

「クリフォード、できれば同行は遠慮していただきたい」
「カルヌントゥムまで、娘さんたちを護衛したいのでな、目立つことは避けたいのだ」

「娘さんたちはカルヌントゥムで料理屋を開くそうだ、金主はオルセルン侯爵、私も援助しようと考え、カルヌントゥムでオルセルン侯に申し入れる所存だ」
「ソロン商会も娘さんの料理屋に援助してはどうか?」

「なるほど……そういえばオルセルン侯は帝国傭兵団総長になられましたな……」
「そうか……いよいよ、その気になったのか……」

「ところで娘さんの料理屋、援助するのか?」
「その料理、私にもいただけませんか、援助するとすれば、一応腕前は知っておかねば、無用の疑惑を持たれますので……とくに殿下の兄上、皇帝陛下に……」

 ティアさん、黙ってスープを温めだしました。

「たくさんありますので、どうぞ」
「無心しましたな、いただきますよ」

「なるほど、これだけ美味しいなら、オルセルン侯もヴェッティン大公も肩入れするわけですな、ソロン商会もお仲間になっても当然ですな」
「ところでティアさん、料理屋の名前はお決めになっていますか?」
「まだですが?」
「『聖女のもてなし』ではいかがですかな?」

「おぉ、それはいい、これだけ美味しい料理を提供する料理屋、極上の美食なのだから、『聖女のもてなし』という看板も納得できる!」

 なにか話がきな臭くなりつつありますね。

「私はのんびりとしたいのですよ」

「それはそうですな、面倒ごとは『むさくるしい男たち』に任せてください、ただし売り上げの半分は金主がいただきますよ、どんなに少ない売り上げでもね」
「それから金主はいつでもお店に来て、『ただ』で料理をいただく権利を所有する、ついては金主の専用食事室を作りますが、了承してください」

「オルセルン侯は、まだリンドにおられますが、その間の必要経費などは、ソロン商会で負担する話になっています」
「ヴェッティン大公、話は出来ているのです」

「では、私が独り相撲というわけだな」
「後程、声をかけることになっておりました、追々、ファンが増えるでしょうな……」

「きな臭い話はほかのところでお願いしますね、クリフォード・ソロン様、このスープ、そちらの馬車の方々にも食べてもらってください」
「スープのお皿などはありますね」
「ありがとうございます、この鍋はお返ししますが、このスープカップはいただけませんか?記念にしたいのです……」

「出所は内緒にできますか?」
「商人は信用第一です」

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