いやいやながら女にされて異世界生活

ミスター愛妻

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第六章 神託

メールが届きました?

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 オムライスを堪能し、再びユーティリティビークル走らす二人。
 雨は霧のようになり始めました。

「あれ、メール?ちょっと車を止めるわね」

 どうやらユスティティアさんの脳内仮想PCに、メールが届いたようなのです。

「なになに?えっ、この先の道を左折してしばらく行ったところで、帝国軍の演習をやっている……」
「その演習地には、瘴気が凝り固まった『物の怪』が漂っており、帝国の小部隊に憑依した?」
「行って浄化してこい?これって、『神託』じゃないの?」

「でもね……」

 黙ってユスティティアさんの独り言を聞いていたブラダマンテさんが、
「『神託』が下されたのなら、躊躇なく行わなくては、なにかご懸念の事でも?」
「帝国軍って嫌いなのよね」

 ?

「ブラダマンテさんを穢した皇帝の軍隊でしょう?粗末なものをお持ちの皇帝を、助けるなんてね……」
「ユスティティア様、『神託』なのですから……」
「そうよね、しかたない、いきますか……」

 ユーティリティビークルを不可視にして、渋々演習場へ向かったユスティティアさん。

 演習場では凄惨なことになっていました。

 『物の怪』が取りついた小部隊が、帝国軍と戦闘しており、死体が累々と転がっているのです。
 しかも、その死体にも『物の怪』が憑依して、ゾンビのように立ち上がり、元の仲間に剣を振るっている……

 200リットルの水タンク、モータ動力噴霧器を取り寄せ、ユーティリティビークルの荷台に乗せ、水タンクに『霊薬』の半分を投入したのです。
 
 戦場にユーティリティビークルで突っ込み、ブラダマンテさんが運転、ユスティティアさんが希釈した『霊薬』の噴霧器を持ち、『物の怪』が取りついた兵士に吹きかけながら、走り回っていました。
 効果は絶大でした……

 噴霧された『霊薬』は、雨霧とまじりあい、戦場一体を覆い、足元の泥濘にも『霊薬』が混じり……
 憑依された兵士は、生者は生者に、死者は死者に……

「ユスティティア様、ここに倒れているのは……皇帝の弟、大公殿下のようですが……」
「ブラダマンテさん、知り合いなの?」
「亡くなった姉の元婚約者で……いい人なので……」

 お姉さんって、ラロッシュ辺境伯たちが反乱を起こす、二年前に死んだと聞いています……
 いい人ね……
 
「死にそうよね……というか助からないと思うけど……内臓がはみ出そう……でも、『神託』もあったし……この人の生き運にかけるしかないわね……」
「どう……されるのですか……」

「ここに『霊薬』の半分が残っているわ……」
「『霊薬』を……」
「あとはこの人の生き運次第……」

「あなた、この薬を飲みなさい、生きるか死ぬかはあなた次第だけど、のまなければ間違いなく死ぬわよ」
 で、大公殿下は口を開いたのです。

 しばらく見ていると……ぱっくり開いていたお腹の傷が、徐々にふさがっていき……

「傷がふさがったわ、顔色も少し良くなってきたわ、後は部下が何とかするでしょう」

 『霊薬』をのませた後、少し離れたところから、見ていた二人……

「さあ、戻りましょう♪長居は無用よ」

 ユーティリティビークルは街道に戻っていきます。
 
 街道にたどり着くと、
「轍が残っているわね、道の傍の草の上を歩いていきましょう……草の上なら、足跡もそんなに残らないと思うわ」

 ユーティリティビークルを収納し、歩いて街道沿いを行く二人……
 雨は降り止み、雲の切れ間から日差しが差し始めています。

 街道少し行くと、再び右折する小道がありました。
 『索敵』が、少し奥まったところに広場があると表示しました。
 二人は、その広場へ向かうことにしたようです。

「ここらでいいでしょう♪今日はここで野営しましょう♪」
「さすがに4番住宅よりは広い物がいいわね、足を延ばして寝たいものね♪」

 3番住宅を設置、迷彩をかけて、ロフトベッドや食卓三点セットを収納し、マットレスを二つ並べて……

「とにかく寒いわ、お風呂に入りましょうよ♪」
 二人とも、寒くて疲れていたようで、服を脱ぎ散らかしながら、お風呂へ……
 
「生き返るわ♪」 

 かかった費用は、水タンクが21,900円、モータ動力噴霧器は39,000円、繰り越し金でまかなえたのです!
 残り24,653円、3デナリウス金貨、5キナリウス銀貨、1セステルティウス銀貨、2クァドランス青銅貨に1円足らず。
 まだ今月分には手を付けていません♪

「あら、またメール?」
 入浴中でもメールが読めるなんて、脳内仮想PCの便利な事……

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