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第十四章 川口居留地
登楼
しおりを挟む「あら、この娘さん、可愛いわね」
「アリアンロッド殿!」
「そんなに怒らないの、そうだ、権知事さんのお力で、太夫さんを呼んでくださらない、代金は私が持ちますので」
「……」
「じゃあ、この娘さんに、煙管を渡してみましょうか?」
「そこの女!受け取るな!アリアンロッド殿、分かりました!」
「おい!誰か、ここの妓楼主を呼んで来い!四の五のいうと、公娼取締規則違反でつぶすといえ!」
鶴の一声ですね……亡八の主が転げるように来ましたね。
「このご婦人が登楼される、太夫を呼べ、新造でごまかしたら潰れるとおもえ、しきたりは無だ、異国の方ゆえだ、一切の質問は許さん!」
私は希望を耳打ちしました。
「それから夕食をご用意せよ、代金はいかほどか、との仰せだが、吹っかけたら大坂府として許さんぞ!」
「それから気に入った者がいれば、身請けなされたいそうだ、拒否は絶対に許されない、分かっているな!」
ものすごい顔で云っていますね。
私は畳の上に持ち出された椅子に座っています。
急遽、どこからか持ってきたテーブルの上には、山海のごちそう。
綺麗な太夫さんがやってきましたが、怯えています。
「貴女、私のお酌でもしてくれればいいだけですよ、私と床入りなどできないでしょう」
こんなことを言ったので、さらに怯えました。
この方、ダメですね……
杯を差し出すと、何とか酌をしてくれました。
「ご苦労さまでした、納得しました、新造さんでもよこしてください」
しばらくして、15歳ぐらいの娘さんがやってきました。
留袖新造さんですね……
かなりしっかりした、利発そうな娘さんです。
「貴女、新造さんよね?」
「はい」
とはっきり答え、そしてこういいました。
「先ほど、貴女さまと床入りをするようにと……」
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「はい」
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「……」
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