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第五章 黒い未亡人(ブラックウィドゥ)
本来あってはならない世界
しおりを挟む「……」
この空間には、沈黙しかありません。
ここでマーガレットさんが、
「お願いします、リンダで足りないといわれるのなら、私ではどうですか!」
「お母様、私も勘当してください、私もレディ・アリアンロッドにお仕えいたしましょう」
「裸になればいいのですね、いまここで、服をぬぎましょう」
「……とにかく、裸になる必要はありません……」
「私といえど、このままでは救えないのです……代価は確かに十分としましょう、しかし……条件があるのです……」
「明日死ぬものは、なんでも受け入れるしかないではありませんか!」
「……そうですか……やはり神の思惑からは逃れられない……」
「とにかく場所を変えましょうか……叔母様、私の力を少しはお見せしましょう」
私は昔、マレーネさんが用意してくれたのと同じ、『ルナのお茶会』を開きました。
嵐の大洋のど真ん中の地点、10m四方の立方体を硬質な透明バリアで遮断、重力と気圧、大気、温度、を調整しました。勿論、宇宙線なども遮断しています。
そこにテーブルを一つ、チェアを五つ、見上げれば母なる地球が見えます。
「ここは、ルナの嵐の大洋と言われる場所です」
「決して幻ではありませんよ、10m四方の空間を、ルナと切り離して、地球の環境を作り上げたのです」
「ごらんなさい、あれが貴女たちの住む惑星です」
「……すごい……」と、マーガレットさんがうめきました。
「真実を話しましょう」
「あの惑星、そして住まう人々は物質ではないのです」
「亡霊というべき存在、それが皆さまなのです」
「しかし皆さまは、自身が死ぬことを疑うことはないでしょう」
「けがもすれば病気もします、それは全て真実で、そのように感じるのです……」
「本来あってはならない世界ですが、何らかの理由により、存在自体は今までは許容されていたのですが……徐々に皆さんの世界が、実体化してきたのです」
「別にそれが問題ではありません、問題はこの世界の根本が、実体化する世界と相いれないのです、ここまでは分かりますか?」
「信じられない話ですが、言われることは分かります」
「全部理解しなくても良いですよ、助けるための条件、そして私が、この世界に投げ入れられた本当の訳、マーガレットさんが聞きたがっていましたね」
「それは、男優位の世界は、人の進化の果てには相いれない」
「私が亡霊といったあなたたちは、実体化する世界の精神に、影響を与えるのです」
「つまり男優位という世界に染まり始める」
「もし男優位の世界が成立したまま時がたつと、確実に滅亡がやって来るのです」
「では……どう転んでも破滅が……」
と、女王陛下が呟きます。
「あわてないでください、条件があるといったでしょう……
「助けるためといいましたが、助かるための条件……救われるための道があるのです」
「それはわかっていますが……条件があまりに難しい……不可能です……」
マーガレットさんが、絶望的な顔をしました。
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