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第二章 シング・ア・ソング・シックスペンス
女子会
しおりを挟む「中原シティのステーション近くに、スコーンのおいしいお店ができたのですよ、ブレンダが入り浸りでね」
「でね、ブレンダって美人でしょう、言い寄る殿方がいっぱいなの」
「仕方ないので、チョーカーを見せたらしいの……」
「すると今度は女子小学生が、ブレンダ様、ブレンダ様って……どうやら修学旅行で来ていたらしいの……」
「多分今年のクィーンズ・スクールは、志願者で一杯よ」
「女子小学生?あれ、小学校は男女共学でしょう?」
「この頃は女ばかりで、共学校は五校に二校、残りは女子小学校ですよ」
そうでした……この世界では、だんだん男が少なくなるのでした……
男のプライドを立てて、男子はかなり優遇して、一夫多妻制をしいていいますが、近頃は女性婚も多くなっています。
「ブレンダさん、小学女子に言い寄られたのでは?」
三人で、ブレンダさんの困った顔を想像して、笑ってしまいました。
キャアキャアと、騒々しくおしゃべりは盛り上がって……
今度はナスターシャさんが、
「この間ね、マルスのスモーリヌイ女学院の文化祭に呼ばれたの」
「模擬店が出ていたから、ピロシキを買って食べたの」
「するとこれが……真っ黒なの……その時、忙しくてあわてていたのね、それはそれはまずかったの」
「焦げているだけではなかったわ、根本的にまずいのよ……」
「私の側にはサラマー――氷の魔犬、ナスターシャの愛犬――がいつもいるでしょう?」
「で、食べるというと、欲しそうにするのであげたの」
「すると一口かじって、サラマーったら吐き出したのよ、ご機嫌斜めになって、あちこち凍らせようとするので困ったわ」
これには笑いました。
「サラマーって、何でも食べるでしょうに……よほどまずかったのね……」
ナスターシャさんが、
「一度だけ、ダフネ様の手料理を食べさせられたけど、いい勝負だったのよ」
「えっ、ダフネ様の手料理、毒薬料理を食べたの?」
エステラさんがいいます。
「ナスターシャさん、ダフネさんの料理、ましになったのよ」
「私ね、初めて会ったときに食べたのよ、知らずにね、あの時、ビクトリアさんも一緒だったわ」
「それはそれはすごいものでしたよ」
「腹が立つので、ダフネさんにも無理やり食べさせてね、次の日から三人で、おトイレ争奪戦だったのよ、あれに比べたら進歩したのよ」
「そんなにすごいかったのですか?」
「アテネさんがね、下世話な話ですが、肥溜めのにおいがするって言ったのよ」
「肥ってね、排せつ物の大きいほうの事よ」
二人は笑いこけていました。
この後、映画の話になり、アニメの話になりました。
ナスターシャさんは、『家なき娘』が好きだったそうです。
これをきっかけに、幼いころの童話の話や、児童図書などの話、絵本の話も出てきましたね。
「ミコ様、どんな本を読まれていたのですか?」
と、聞かれたので、シャーロック・ホームズやポアロなどの、ミステリーを読んでいたことを思い出しました。
「へぇ……ミコ様、男の子みたいだったのですね……」
「色気はなかったですね……」
そりゃあ当然ですかね……
「そういえばポアロには、マザーグースが良く出てきませんか?」
「出てきますよ、『One, Two, Buckle My Shoe』――日本語訳、いち、にい、わたしの靴のバックルを締めて、愛国殺人という小説――、『そして誰もいなくなった』も有名ですよね」
「ポアロ以外にもクリスティはミス・マーブルでも使っていますね、『A Pocket Full of Rye』――ポケットにライ麦を――でしたか」
「それ、知っています、読んだことがあります、見立て殺人の代表ですよね」
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