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第四十七章 女たちのその後
嘆いてる場合ではないの!
しおりを挟むいつもの冷静なファウスティナさん、突然の変貌に少々戸惑います。
「いまは勝ったという事実だけ、考えてはいないのです」
「女神様、たしかに女神様の目的は終わったのかもしれません、しかし私たちはどうなるのですか?」
「……」
「先ほどは思わず取り乱しました、しかしこの世界をどうなされるのですか……」
「幾千幾万の世界をかけてのゲームに勝利し、幾千幾万の世界は、救われたのでしょう」
「でも、私たちの世界はこれ一つなのです、私はいい、先ほど名をあげられた女はいいでしょう、皆、心の底ではそれなりの覚悟は有ります」
「しかし私たちの故郷、この世界が、その御手の隙間からこぼれおちるのだけは……お見捨てになるのですか?」
「……」
そうですね、とにかくゲームは終わった、後始末をすべきなのでしょう。
ハイドリッヒの件で、少し投げやりになっていたのでしょう、嘆いてる場合ではないですね。
「アンニア・コルニフィキア・ファウスティナ・ミノル、忠告をありがとう、すこし投げやりになっていたかもしれません」
「嘆いている場合では有りませんでした」
「女神様がお嘆きに?」
「インドラの魂は私の昔の愛しい人だった、私は知らなかった、そして私は先ごろこの手でそれを滅した」
「時間、つまりクロノスの世界の中、私は彼を滅し、そして愛しい人ときずいた」
「その後、インドラの世界を問答無用で滅した、どれほどの命が、そこにいたのかは考慮しなかった……」
「私は殺戮の女神でもあるのだろう」
「……」
「アンニア・コルニフィキア・ファウスティナ・ミノル、たしかに私は責任がある、私は私を信じる方々に対して責務がある、そしていま私は貴女たちに対して責任がある、私は受け取った」
「受け取った?」
「貴女達の事、私を縛る唯一のもの、何より大事な物を代価として差し出され、受け取った以上、私の支払う代価は私の血と汗、そして自由」
「私たちが……」
「当初、貴女たち抱いた女だけは、私の庇護の下に置き、望めば私の世界に連れ帰るつもりだった」
「この世界は、この世界の法則に任せるつもりだった」
「インドラの支配から脱したこの世界は、このままでも二千年は大丈夫でしょう」
「もしこれ以上介入し、これ以上女を受け取ってしまえば、この世界を何とかしなくてはならなくなる」
「でも正直にいえば、私は膨大な世界を守っている、支配していると言っても良い、その世界の幾つかからは、女が献上されてくる、抱かなければならなくなる」
「女神様は一度おっしゃいましたね、『女に身を差し出させることを代価として、それゆえ私の世界は喜びを力の根源としている』」
「よく覚えていますね」
「そのあと、こうも言われました、『人は滅亡に向かう、人とはそのような種族、誰かが導かねば滅ぶしかない』」
私は頷きました。
「誰かが導けば、この私たちの世界は、二千年といわず長く繁栄していけるのですね」
「繁栄かどうかは考え方次第だが、言葉に間違いはない」
「先ほどの名をあげられた者たちで、女神さまに懇願すればどうなりますか?」
「懇願とは、この世界を導けという事ですか?」
「そうです、ウェヌス教団としての誓願です」
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