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第四十一章 五皇帝の年 売り物買い物

金が全て

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 やはりペルティナクスは暗殺された……
 元老院が近衛隊を煽ったのだ。
 あわてたペルティナクスは、ドナティブムを工面するために、コンモドゥス帝の遺産を没収、マルキアの邸宅まで手をつけたのだ。

 結果、ペルティナクスは、近衛隊のラエトゥスを怒らせることになる。
 マルキアがベッドで訴えたのだ。

 元老院の近衛隊の工作を、ラエトゥスは見て見ぬふりをしていた。
 この騒動を利用、ひと山儲けて、マルキアとどこかで暮らすつもりでいたのだ。

 部下の近衛隊が、とうとう反乱を起こした。
 宮廷の門の前に集まると、元老院の息のかかった衛兵たちが門を開いた。

 ペルティナクスは近衛隊に対して、ローマの威信、強いローマの再興を訴えたが、兵士の一人に刺殺されることになった。

 元老院は小躍りした、これで元老院の息のかかった者を皇帝に据える事が出来る……
 ことは上手く運ばなかった。

 ここでラエトゥスが、近衛隊にとんでもないことを命じた。
 兵士たちに、莫大な儲け話を提案したのだ。

「諸君、皇帝の位はいまや我等の手中にある」
「私はこれを利用して、諸君と豊かに暮らせるだけの財産を手に入れようと考える」
「諸君は私に協力しないか?」

 彼らは簡単に、この隊長の話に同意した。
 もともとドナティブムへの不満からの反乱、金が全てである。

「我らが給料を保障する者を、我らの皇帝として、忠誠を誓う」
 『給料を保障』とは、つまりはドナティブムを提供する、この額のより多いものを、皇帝とすると宣言した。

 すぐに二人の者が手を挙げた。
 一人はペルティナクスの妻、フラヴィア・ティティアナの父、もう一人は暗殺事件の主犯、執政官クィントゥス・ソシウス・ファルコ。

 元老院は何としても、クィントゥス・ソシウス・ファルコを新皇帝にしなければならなかった。
 もしペルティナクスの義父が帝位につくと、それこそ元老院への弾圧が起きかねない。
 議員たちは膨大な金を集めた。

 ウェヌス教団にも、莫大なゴールドバーを無心してきた。
 教団はアシア属州に、総督を出す事を条件に提供した。
 
 ウェヌス教団は、ルキウスを総督に任命した。
 ルキウスが、かなりの軍事的才能を有していたのだ。

 アンティオケイア教区の『ウェヌスの侍女、事務係、聖者』カエキリア・メテッラ・マイオルの推薦を、教団本部は採用した。

 クィントゥス・ソシウス・ファルコは、信じられないほどの額を約束して新皇帝に即位します。
 この皇帝は、金の出所がどこかは良く知っています。
 そこでさらにゴールドバーを無心してきました。

「今度はいくらなの?」
 さすがのファウスティナ神官長も、辟易しているようですが、まあね、幾らでもゴールドバーは調達できますから、いいのですけどね。
 
「何に使うのでしょうか?」
「保身のためとは思いますがね、売名行為かもしれませんね、クィントゥス浴場とか」
「それならいいのですが」

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