上 下
16 / 113
第三十六章 招待状

阿修羅の世界は許されない世界

しおりを挟む

 その世界は許されない世界である。
 何とも軟弱で、ひ弱い……

 その世界の住人は、愚かな社会を構築している……
 繁栄と自ら称しているが、この社会は退廃している……

 欲望にまみれ、エネルギーを浪費する……
 エネルギーを生産することもなく、ただただ遊んでいるだけだ。

 そもそもエネルギーは、生産回収しなければならない、でなければ枯渇する。
 星々のエネルギーなど、こんなものに頼っていては、いつかどこかでビッグリップ――宇宙の終末の一つの仮説、宇宙は膨張を続け、最後は原子までバラバラになり、終わりを迎える――を迎える……

 たとえビッグリップでなくとも、物質は必ず消滅する……
 『時』が許容しないからだ……

 『時』さえ自由にできれば……
 我らは望み、そして可能にした。 

 『デーヴァローカ』が実現する……
 下層世界がエネルギーを発生させ。
 巡る『輪廻』という時が、それを無限に再生産する。
 それが可能となった……
 
 いま、その下層世界が、奴らのおかげで危機に瀕している……
 理想の世界を、護り育てなければならぬ。

 六階層にわかれ、それぞれが下層世界のエネルギーを管理している……
 守るものは『インドラ』……そして三十二の諸天……

 これは危機なのである。
 この世界は守られているのだが、奴らは踏み込む力があるだろう……
 
 無智な阿修羅どもめ……
 修羅の世界に居ればいいものを、この天上の世界にしゃしゃり出てくるとは、身の程知らぬのか…… 

 中でも阿修羅のメスどもめ……

 阿修羅のオスの中には、我らに近いものが存在した……
 偉大なる、我らデーヴァに進化できる可能性があった……ゆえに力を貸してやったのだが……
 やはり我らとは違う……所詮は幼い……

 互いに殺し合い、出来ればこの者共を使役し、修羅世界のデーヴィーを支配下に置ければよかったのだが……
 阿修羅どもの世界なら、極上のエネルギーが発生しただろうに……

 まぁ、いいか……阿修羅のオスの幽子は役に立つ。
 擬似化デーヴァとして、我らのしもべ……
 
 この『デーヴァローカ』に供給される、下層世界のエネルギーは有り余っている……

 回転する宇宙、そして時を繰り返す宇宙、選りすぐりのデーヴィーと、我らに似せた擬似化デーヴァが住む……
 見事な調和だ……至福の世界ではないか……
 
 時々、生体を追加したりして、エネルギーの色を変えたりしている……
 しかし鏡界に備蓄していたデーヴィーの幽子が、阿修羅に消滅させられてしまったのは痛かった……

 あやつら、といっても阿修羅の指導者なのだが……
 あれにそのような力があるとは……

 あの阿修羅のデーヴィーは脅威ではあるが……本質は我らと同じ、デーヴァの素質がある。
 
 下層世界の再構築は面倒だが、デーヴィーや擬似化デーヴァの人格メモリーは記録されている……
 不可能ではない……時々下層の色を変えるために使用しているからな……

 しかし、いつまでも放置するわけにはいかぬな。
  『デーヴァローカ』を預かる、このインドラとしても。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

姫神の女たち1 蓬莱梓巫女 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 惑星蓬莱の執政官、クリームヒルトの毎日は多忙を極めていた。  大寒波のあと、四つの大司教区に世界は再編されたが、意外に市民生活は変わらない。  美子と茜は蓬莱を去ったが、ヴァランティーヌはそのまま残ることになった。  ヴァランティーヌに手を焼きながらも、クリームヒルトは聖ブリジッタ女子学園山陽校で、今日も青春を謳歌する。  百年紀のカレンダーのスピンオフ、『姫神の女たち』シリーズの第一短編集。  蓬莱グランドツァーの続編にあたります。  本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はティツィアーノ・ヴェチェッリオ フローラ でパブリックドメインとなっているものです。 

ミコの女たち 第三短編集 パープル・ウィドウ・コレクション 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 ヴィーナス・ネットワーク・ワールドの有力惑星マルス。  移住に多大な貢献をした男たちの妻には、名誉刀自という位が贈られ、ささやかながら年金も支給されている。  しかし、彼女たちはお金には困らない。  地位も名誉も最大級、ゆえに彼女たちの影響力は計り知れない……有閑マダムといってよい、ご婦人方である。  そこへ惑星テラの後始末が、有閑マダムたちに、いつのまにかのしかかってきた。  テラの住民はご婦人方を特別にこう呼んだ。  パープル・ウィドウ、紫の未亡人と……  惑星エラムより愛を込めて スピンオフ 『ミコの女たち』シリーズの第三短編集。  本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はルイス・リカルド・ファレロ 天秤座でパブリックドメインとなっているものです。

姫神の女たち2 ユーノー・ソスピタ(維持する者)のニンフ 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 ソル星系外惑星鉄道ステーションの中心、ガリレオ衛星ステーションは特殊な地位にあり、執政官府がおかれている。  執政官はガリレオ・カウンテスとよばれているが、その補佐にあたる管理官たちも、ガリレオ・ヴァイカウンテス――ガリレオ女子爵――とか、ガリレオ・バロネス――ガリレオ女男爵――とかいわれている。  ここはソル星系世界の、宇宙貿易の中心でもあり、なにかと忙しい。  そんな管理官たちの、日常を綴ってみよう。  百年紀のカレンダーのスピンオフ、『姫神の女たち』シリーズの第二短編集。  ガリレオ・カウンティスの続編にあたります。  本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はティツィアーノ・ヴェチェッリオ フローラ でパブリックドメインとなっているものです。 

ミコの女たち 第一短編集 テラ・メイド・ハウス 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 惑星テラに設立された、テラ・メイド・ハウス。  すこしばかり官能的な女が多く所属する、こぢんまりとしたハレムではあるが、惑星テラを事実上支配している。  そこに所属する女たちは、それぞれの理由や立場から主の女奴隷として仕えている。  そんな女たちの、ささやかなで少々エロい物語。  惑星エラムより愛を込めて スピンオフ 『ミコの女たち』シリーズの第一短編集。  本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はルイス・リカルド・ファレロ 天秤座でパブリックドメインとなっているものです。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

幻の女たち 第一短編集 ブリタニカ・レディズ 【ノーマル版】

ミスター愛妻
ファンタジー
 惑星ブリタニカは、ブラックウィドゥ・スチーム・モービルが支配している、といって過言ではない。  この世界企業に君臨するのが、アウグスタと称される社主。  これは称号で、本来の名前はアリアンロッド・エンジェル、いわずと知れたネットワーク宇宙の最高権力者、ヴィーナスさん。  社主に仕えるのは、公妾と呼ばれる女たち。  ブラックウィドゥ・スチーム・モービル支配体制の中、列強の命運を背負う公妾グループを、人々はセパレイティスト・クラブと呼んでいる。  所属する面々は才色兼備、そんな中でも、ヨーロッパ美女の物語を集めた、惑星エラム 幻のカタカムナ スピンオフ 『幻の女たち』シリーズの第一短編集  本作はミッドナイトノベルズ様に投稿していたものから、R18部分を削除、FC2様、カクヨムで公開しているものです。しかしそうはいってもR15は必要かもしれません。  一話あたり2000文字以内と短めになっています。    表紙はルイス・リカルド・ファレロ 月のニンフ でパブリックドメインとなっているものです。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...