120 / 121
第三十九章 終戦
05 会話
しおりを挟む夢を見ているのでしょうか、私の意識はどこにいるのか?
源兵衛さんを呼びますと、返事があります。
「ここはどこですか?」
「マスターの精神世界というべき場所です、マスターのお身体は、無理がたたって倒れています。」
「軟弱な身体ですね。」
「そんなことはないでしょう、むしろ人間という生物の能力を考えると、その限界をとうに超えた結果ですから、称賛されるべきでしょう。」
「源兵衛さん、聞きたいことがあります、答えられないことは答えなくてよいですが。」
「どのような質問か推測はできますが、お聞きしましょう。」
「今回、なぜ介入したのですか、本来、禁止のはずと聞いていますが?」
……だんまりですか?
しばらく沈黙した後、
「このエラムではありえない新兵器が投入され、なお且つマスターの危機が発生した結果です。」
「あの自爆兵器ですか?」
「いいえ、ロボットの方です、あれはマスターの世界でも未来の産物、その様な物が戦場に投入された時、介入禁止の例外が発生しました。」
「マスターの周りに極めて高い危険値が予測されました、つまりマスターのお命が危険にさらされる可能性が、極めて高かったといえます。」
「しかし、まさかマスターが電磁波爆弾、EMP爆弾を瞬時に作られるとは、想定できませんでした。」
「自爆兵器とは技術ギャップがありましたが?」
……またまただんまりですか?
「答えられるかギリギリの質問ですが、答えられると計算できました。」
「あの自爆兵器はエラムの固有の兵器です、ただし今のエラムでいうところの、キンメリアの産物ではありません、遥か昔の古代兵器、レムリアの兵器です。」
とんでもない言葉を聞きました。
レムリア……父なるレムリア……神話で語られるだけの、あのレムリアです。
「源兵衛さん、予測できるでしょうが、貴方はなぜ知っているのですか?」
「これも難しい質問ですね、でもマスターの徐々に境界をこじ開けるような、質問の仕方には称賛します。」
「お答えすると私は太古の時代より、このエラムを監視している者です、監視していればそれなりにデーターは集積できます。」
「でもレムリアについてはお答できません、答えたくても答える権限がありません。」
「その権限はだれがもっているのですか?」
「マスターをこの世界に呼び寄せた者です、『しもべ』と自らは呼んでいます。」
なるほど、では『しもべ』の代理が貴方なのですね。
「貴方はどこに存在しますか?」
「私はこの惑星エラムの第二衛星、マスターがいうところのダイモス、エラムの呼び方なら『小さい瞳』に存在します。」
ギリシャ神話のデイモス、恐怖の神に住んでいるのですか。
「貴方があの時、主席の影響力を解除してくれたと考えられますが、どうしてその様なことが可能なのですか?」
「答えられる範囲でお答えすると、魔法の成り立ちが影響するのです。」
「私は魔法を構成する物に、影響力を行使できます、私は主席と呼ばれるものと相対した時、相手も構成する物に、影響力を行使していました。」
「しかし私の影響力の方が、一レベル上位だったおかげで、主席の影響力をキャンセルできました。」
「念押しでいっときますが、魔法ってなにと、聞かないでくださいよ。」
「では答え良い質問に変えましょう、どうして主席はあのような兵器を出現させることができたと考えますか?」
「データー分析しますと、ロボットの方は、主席の知識から出た物と考えられます。」
「つまり主席の知識は、マスターの知識より、技術レベルで上を行っているといえます。」
「しかしそのような技術レベルは、レムリアにもありませんでした、あとはご想像にお任せします。」
逃げますね、何か知っているのでしょうが、ロックがかかっているようです。
「レムリアの兵器の方は、どこかにその技術情報が、残されていると考えられます。」
「どこにあるかはデーター不足ですが、主席の支配地に、存在する可能性は高いと考えられます。」
「今後もこちらは、出現する可能性があります。」
「ロボットの方は、マスターの電磁波爆弾で対抗できることが、証明された以上、投入はありません。」
「そろそろ、マスターのお身体も新陳代謝が、活発化しだす頃です、お目覚めの時間ですよ。」
「でも一つ忠告しておきますよ、あまりご自分で脳内麻薬物質を、分泌しないようにしてください。」
「今回のことは、普通の人間なら廃人間違いなし、というより、とうに死んでいるほどの蛮行ですから。」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる