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第六章 朱麗月の物語 『北岸』肉団子
肉団子ですよ
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ピリ辛餡の肉団子で、早めの夕食を済ませ、一家団欒の週末を過ごし、そして再び通勤の日々、二人はスペースコロニー1のニライカナイカフェで、のんびりとお茶などしています。
「いつも思うけど、ここは無料なのがいいわね……」
「近頃はウーロン茶のティーパックなどもありますし、麻花(マーファー)も置いてあります」
ニライカナイカフェでは、女官さんのたっての要望で、日持ちのする小袋菓子なども置いているのです。
「ところで、安い原価で提供できる料理の話ですけど、やはり肉団子がいいと思うの」
「万姫さんが美味しいっていっていたでしょう、中原の料理といえば肉団子、『江南』だって肉団子料理は数あるわ」
朱麗月は、帰省したばかりの柴万姫の第一声が、耳にこびりついているようなのです。
「そうね、万姫も帰ったら『肉団子』というし、瑞季さんと瑞麗さんが云っていた、甘酢餡を絡めた酢豚風なんてのは『江南』の料理、よく肉団子でするわね」
「でもお肉でしょう?チキンといっても、物資補給部で扱う以上、材料費の制限に引っかからないかしら?」
「そうね……原価がね……」
二人がそんな話をしていると、ヴィーナスさんがフラッとニライカナイカフェへ入ってきたのです。
あわてて席を立ち挨拶しようとすると
「あら、珍しいわね、ウーロン茶と麻花(マーファー)、私もそれにしようかしら?」
「娘娘(にゃんにゃん)様、ご一緒いたしませんか?」
「いいの?ではご一緒に、お茶は一人ではつまらないですからね」
で、ペチャクチャと他愛無い話を、お茶のお供にしてる三人です。
「そう、肉団子ね……いいじゃないの、私もミートボールは好きよ、今度食べさせてね♪」
「ぜひ!東岳泰山碧霞宮の我が家までお越しください!」
「でも担当部長の景山響子さん、なかなか原価に渋いですよね、大丈夫なの?」
「そこが頭が痛いところなのです、チキンにしても原価オーバー、人件費を考えると三分の一ぐらいでなくてはね……」
「できればポークかビーフにしたいのですが、さらに高くなるし……どうすれば安くできるか、二人で相談していたところです」
「少々味が落ちるけど、物資補給部の扱っているものの中に『大豆肉』ってあるのを知っている?」
「あれ、チキンもどきなのだけど、ブロックにする前のひき肉状態なら、さらに廉価に購入できるはず、いちど聞いてみたら?」
「ポークもビーフも同じ様なものがあるけど、これは味覚の点でお勧めできないわ」
「ポークとビーフ?なにが問題なのですか?」
「肉汁のエキスが再現できないのと、すこし大豆くさいといえばいいのでしょうか、淡白なのよ」
朱麗月が、
「娘娘(にゃんにゃん)様、すこしサンプルをいただけませんか?色々と工夫すれば、よいものが出来るかも知れません」
「いいわよ、後で景山響子さんに渡しておくわ」
翌日、二人は景山響子さんに呼ばれ、
「ミコ様からの下された物です」
「話は聞きました、上手く工夫してください」
「いつも思うけど、ここは無料なのがいいわね……」
「近頃はウーロン茶のティーパックなどもありますし、麻花(マーファー)も置いてあります」
ニライカナイカフェでは、女官さんのたっての要望で、日持ちのする小袋菓子なども置いているのです。
「ところで、安い原価で提供できる料理の話ですけど、やはり肉団子がいいと思うの」
「万姫さんが美味しいっていっていたでしょう、中原の料理といえば肉団子、『江南』だって肉団子料理は数あるわ」
朱麗月は、帰省したばかりの柴万姫の第一声が、耳にこびりついているようなのです。
「そうね、万姫も帰ったら『肉団子』というし、瑞季さんと瑞麗さんが云っていた、甘酢餡を絡めた酢豚風なんてのは『江南』の料理、よく肉団子でするわね」
「でもお肉でしょう?チキンといっても、物資補給部で扱う以上、材料費の制限に引っかからないかしら?」
「そうね……原価がね……」
二人がそんな話をしていると、ヴィーナスさんがフラッとニライカナイカフェへ入ってきたのです。
あわてて席を立ち挨拶しようとすると
「あら、珍しいわね、ウーロン茶と麻花(マーファー)、私もそれにしようかしら?」
「娘娘(にゃんにゃん)様、ご一緒いたしませんか?」
「いいの?ではご一緒に、お茶は一人ではつまらないですからね」
で、ペチャクチャと他愛無い話を、お茶のお供にしてる三人です。
「そう、肉団子ね……いいじゃないの、私もミートボールは好きよ、今度食べさせてね♪」
「ぜひ!東岳泰山碧霞宮の我が家までお越しください!」
「でも担当部長の景山響子さん、なかなか原価に渋いですよね、大丈夫なの?」
「そこが頭が痛いところなのです、チキンにしても原価オーバー、人件費を考えると三分の一ぐらいでなくてはね……」
「できればポークかビーフにしたいのですが、さらに高くなるし……どうすれば安くできるか、二人で相談していたところです」
「少々味が落ちるけど、物資補給部の扱っているものの中に『大豆肉』ってあるのを知っている?」
「あれ、チキンもどきなのだけど、ブロックにする前のひき肉状態なら、さらに廉価に購入できるはず、いちど聞いてみたら?」
「ポークもビーフも同じ様なものがあるけど、これは味覚の点でお勧めできないわ」
「ポークとビーフ?なにが問題なのですか?」
「肉汁のエキスが再現できないのと、すこし大豆くさいといえばいいのでしょうか、淡白なのよ」
朱麗月が、
「娘娘(にゃんにゃん)様、すこしサンプルをいただけませんか?色々と工夫すれば、よいものが出来るかも知れません」
「いいわよ、後で景山響子さんに渡しておくわ」
翌日、二人は景山響子さんに呼ばれ、
「ミコ様からの下された物です」
「話は聞きました、上手く工夫してください」
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