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第十章 帝国の花嫁たち
不倫の果てに
しおりを挟むエルザは家と実家から見捨てられた、それは仕方のない事と理解していた。
貴族の罪人用の獄舎に閉じ込められ、自決が出来ないように拘束魔法を掛けられ、自らしでかした借財の為に売却されることが決まった。
「この面汚しめ!」
実家の父が司直に呼び出されて、娘の顔を見た時の一言だった。
不倫をした侯爵夫人、借財を肩代わりする者が現れなかったら、奴隷市での競売となる。
競売になれば債務が公表され、エルザは全裸で奴隷市に立たされ、オークションとなるのだ。
こうなったら最下級の債務奴隷、競り落とした者はエルザの全てを所有することになり、殺さない限り何をしても罪には問われない。
この下は犯罪奴隷しかないのだ。
借財が発覚、司直の手を煩わせた時点で、関係者の入札参加は出来ない決まりである。
勿論、この時点で身内の借財の肩代わりも禁止となる。
奴隷市までに借財を肩代わりする、つまりエルザを購入する者が現れれば、事件は公表されないわけなのだが……
貴族社会では、このエルザの不祥事は知れ渡っている……
そんなエルザを購入する者は、よほど物好きでなければいないのである。
しかも、エルザの借財はかなりの額の上に、懲罰金も加算されている。
エルザが侯爵夫人、しかも正妻ということが懲罰金を高額にしている。
基本的には、このような場合、救済させないという趣旨の懲罰金加算と云う訳だ。
ある日、エルザを迎えに帝国一の大商会、カニンガム商会がやってきた。
……カニンガム商会って、奴隷の商売もしていたのね……
囚人服のまま、カニンガム商会本店に連れてこられ、商会の女奴隷に案内され、入浴……
平民が着るような真新しい服に着替え、簡単な食事が出されました。
……奴隷市に出されるのではないの?……
部屋に通され、ポツンと座っているエルザでした。
しばらくすると、もう一人、少女が連れられてきました。
「会頭、用意は出来ております」
「そうか、とにかく商品を搬入してくれ」
そんな声が聞こえてきます。
しばらくして、男が女奴隷を従えて入ってきました。
「お二人とも、ついてきてください」
男はこう言っただけです。
二人は馬車にのせられ、ある小さい館につきました。
そして、エルザは見知った女性がこちらに歩いてくるのを確認したのです。
「エルザ!大変だったわね、ヒロ様と皆様がお待ちよ」
「エバ皇女様……どうして……」
「私、嫁いだのよ、ヒロ様の第四夫人なのよ、詳しい事は後で説明するわ」
そして、もう一人の少女にも、
「貴女がフリーザさんね、待っていたわ」
「ではエバ様、私はこれで……」
「まって、ジョージ会頭!ささやかですが私からの感謝の印です、皆様方で食べてください!」
エバさん、チョコレートをたくさん取り出したのです。
お取り寄せリストの中に板チョコレートがあったのですね。
45円と備考欄に書かれていますが、切り上げらしく50円とリストには表示されています。
日本最初のチョコレート、●●製菓のミルクチョコレートです。
本来45円では余程のことがなければない値段ですが、 前任者が見つけていたようです。
紙袋は通販サイトで一袋10円の物がありましたので、これにいれたようです。
一応、目の前で取り寄せるという事は避けたエバさんでした。
「チョコレートは帝国でも貴重品のはず、どうか受け取ってください」
「エバ様も、伯爵様のように?」
「お情けを受けて、すこしだけ使えるように……」
「そうですか……ありがたくいただきます」
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