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第九章 皇女降嫁の裏側で
お茶でございます
しおりを挟む王都リンデンハイムの国王の私室の控室で、国王陛下と第二王妃が娘を待っています。
「第二王妃よ、湯あみ着は用意しておろうの?」
「はい、クレアがしつこいほど云っておりましたしね、陛下の分も用意してありますよ♪」
その時、突然ドアが現れ、クレアさんが見えたのです。
「お父様、お母様、どうぞ、この棒の端をもって、お入りください♪」
301号室にはヒロさんが待っていました。
「陛下、第二王妃様、狭くて恐縮ですが、良くお越しくださりました」
「うむ、世話になる」
「国王陛下、この度ヒロ様に嫁ぎましたエバです、よろしくお願いします」
「エバ殿か、クレアと仲良くしてくれ」
「では、両親を呼んできますので失礼します」
エバさんが、玄関ドアの前で、接続先の場所を念じてドアを開くと、皇帝の私室に付属する書斎が見えます。
皇帝ご夫妻が、緊張して待っておられました。
「お父様、お母様、お迎えに参りました」
と言って棒を差し出しました。
「皇帝陛下、皇妃様、心より歓迎いたします、こちらが国王陛下と第二王妃様です」
「食事はお取りになられましたか?」
ヒロさんが聞くと、一応食べたとのことです。
「では、お茶をお持ちいたします」
カリス三姉妹さんが、
「お茶でございます、セイロンのディンブラと呼ばれるものです」
ティーバッグですね♪ミルクティーになっています。
たしか●ルックスさんのものですね、40円のはずです。
側にはサブレ、結構有名な『ココナッツサブレ』のシリーズ……
プレーン、発酵バター、トリプルナッツ、レチーズケーキ、まろやかコーヒー牛乳の5種類、1パックずつ……
1パック5枚ですから25枚、ご夫婦に1皿置かれています。
茶器は100均の物でした。
どうやら、急遽リンデンハイムの館からとってきたようです。
「サブレです、お茶請けにどうぞ」
「では私は隣の部屋に居ります、クレアさんとエバさんはお相手をお願いします」
ややっこしい政治の話なんて私は聞きたくありません、首を突っ込んだらろくなことにならないです!
302号室で、のんびりと出されたお茶を飲んでいます。
三人のメイドさんと二人の奥さんとでね。
「カリスさんたちは、ディンブラが好きなのですか?」
「なかなか美味しいと思います、多分アールグレイというものの方がよいのでしょうが、私どもにはディンブラのほうが飲みやすくて……」
「ティーバッグでのお茶の入れ方、良く分かりましたね」
「初めてティーバッグという物を見た時は驚きました、でも何回か淹れてみますと、やはりポットで淹れたほうがおいしく感じまして……」
「凄いですよ、メイドの鏡みたいですよ、こんな美人が私の為にお茶を淹れてくれるなんて、幸せな男ですよ、私は♪」
「ヒロ様、私どものご奉仕はお茶だけではありませんよ♪ヒロ様をお慰めするのも大事なご奉仕です♪」
マーガレットさんとメアリーさんも、
「ヒロ様♪私たちもヒロ様をお慰めするためなら、なんだって致しますよ♪ヒロ様がお望みなら、いつどこでもお相手いたしますよ♪」
なんとなくまずいです……
ここで、いなさなくては、ピンクの空気が漂いそうですよ……
「ありがとう、そんなに思っていただき、心より感謝します、皆さんがしっかりしてくださるので、こうして雲の上の方々とも話が出来るわけです」
「少しでもヘマをすれば、首が飛びかねないですからね」
「今も隣で偉い方の会談が始まっています、私が変な事を起こさぬように、皆さんがしっかり支えてくださると思うと、心強いですよ♪」
「そうですね……変な事があってはならないですね……」
やれやれ、沈静化したようです。
そうそう、カリスさんたちは、常は●●スーパーの紅茶をお飲みとか、10円以下のものです。
紙の包装ですが、取り寄せてすぐに飲むわけですから、香りが飛ぶというような問題ないのですが……
「わざわざ安いのを選ばなくてもいいのでは?」
「奥様方とも話したのですが、『お取り寄せ』の力はありがたくも神様から授かった力です、なんとなく贅沢は控えようと……」
神様から、お褒めのメールが届きました。
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