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第九章 皇女降嫁の裏側で

その日の朝も通常通り♪

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 翌日、ヴァルベック辺境伯のご一行は宿を引き払いました。
 かなり朝早く旅立ちです。
 
「本当にここまででおよろしいのですか、馬車にも乗らず警護もつけずに?」
「大丈夫です♪私どもの事は薄々察しておられるのでしょう?」
「商売の話は後程、皇帝陛下よりありましょう、リンデンハイムにお越しの際は、当家にもお顔をお見せください」

 ジョージ会頭が途中まで送ってくれたのです。

「では、私はここから帰ります」
「助かります」

 会頭の馬車が見えなくなったところで、皆で『部屋』に入りました。
 次にドアを開くと、いわゆる『楽園温泉』の縁……

 エバさんが、
「美しいところなのですね♪昨日は夜でしたのでわかりませんでしたが」

「まあ、大抵は夜はここで過ごしています、安全ですからね」
「とりあえず朝食にしましょう」

「私がお作り致しましょうか?」
「良いのですか?」

「お米があれば、ご飯は炊いて見せますよ、こう見えても、日本にいた時は、料理は得意でしたから♪」
「お米は調達できます、150グラムで100円のものですが、食味試験でAランクのものです」

「お肉は豚肉ならなんとか取り寄せられます、鮮魚もブリと白身魚の切り身で良ければ取り寄せ可能です」
「玉子とかベーコンは可能ですか?」
「可能です」

「だし入りみそ、豆腐、刻みネギ、お揚げも88円でありますよ♪」
「ヒロ様、それはお味噌汁を作れとおっしゃっておられるのですね♪」

 炊飯器は実家の物が二つほどありました。
 私は電子レンジで炊いていましたから、持っていないのです。

「こちらの方が大きいので、こちらに致しましょう♪」

 あっっっ、暖かい白ご飯♪おかずはベーコンエッグとお味噌汁……

「ブリも焼けました♪」

 照り焼きなんて出してくれるエバさんでした。

「なんか凹むわ……帝国の皇女様がお料理上手なのに、私は……」
 クレアさんが呟いていました。

 それにしてもエバさん、料理はお上手、とても美味しいのです♪
 
「クレア様、私は前世の記憶があるから出来るだけです、お姉様なんて服も一人では着れないのですよ、本当は皇女なんて何にもできないのです」
 お姉様って第一皇女様の事ですよね、別の王国に嫁がれておられるようです。

「そう……なのかしら……」
「そうですよ、私の知っている限りの料理を教えますから、ご一緒に作りましょうよ♪皆さまもご一緒に♪」
「私でも50円以下の物は取り寄せられるようですから、ご一緒に工夫をしませんか?」
「いいわね♪」 

 この後、朝食を済ませても盛り上がっている、四人の妻と三人の愛人メイド……

「あの……お話し中、申し訳ないのですが、もうお昼なのだが……」
「あら、もうそんな時間ですか?」

「お昼はどうするね?」
「陛下たちの会談が終わるのが、いつか分からないのですけど、会談後にしませんか?」
「じゃあ、軽くお茶でも飲もうか?」

「ヒロ様、私たちもお取り寄せできますので、各自で取り寄せますよ」
「そう、でも、なんか寂しいですね」
「なぜですの?」

「なんというのか、好きな女をかまってやれない……ちょっとね……」
「ヒロ様♪もう、女たらしですね♪」

 結局、皆でも取り寄せられる、『こんがりみるくパン』、『こんがりチョコパン』、まあラスクなのですがね、30円と20円です。
 結構ラスクは安い物がありますよ……

 飲み物は、北欧のチェーン店のフロアレストランのもので、50円で売っているコーヒー……
 熱々で、紙コップに入って出てきますが、冗談抜きで美味しいですね♪

 エバさんが、
「ここにはよく通っていたのですよ♪まさか、この世界で飲めるなんて♪」
「ここに通っていた?では東京に住んでいたのですか?」
「はい、渋谷には友達とよくお買い物に♪」

 たしかこの北欧のチェーン店、渋谷にもお店がありしたね……

「私ならここのホットドッグも取り寄せられます、ここの物は100円ですからね、こんど云ってくださいね」

「そうそう、ここのソフトクリームは50円、皆さんでも取り寄せられますよ、確か梨のソフトクリームもあったはずですから」
 この一言で、温泉上がりには皆さん、ソフトクリームをお食べです……
 女性って、ソフトクリームはお好きのようです。

 ラスクとコーヒーで軽くお茶をして、いよいよお迎えの時間です。
 クレアさんとエバさんにお願いしました。
 
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