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第三章 嫁とり騒動PERT1
落としどころ
しおりを挟む第二王妃とのお茶の席に、
「ただいま国王陛下がおこしです」
皆さん、ドアに向かって席をたち頭をさげました。
勿論、ヒロさんもです。
「揃っておるようだな、余もお茶など呼ばれたいが、良いかな」
第二王妃が、
「陛下にお茶をお持ちして、ストレートよ」
「さて、立っていては場が和まないでは無いか、お茶など飲みながら、いささか私的な話しをしないか?」
「では、座らせて頂きます」
ここで国王陛下が、
「君も座りたまえ、いろいろ聞きたいことがある、まあその前にお茶を飲みたまえ、酒の方が良いかな?」
「いえ、願いの儀がありますので、酒は控えるべきとかんがえます」
「そうか、大体は余も察している」
ここでお茶がきました。
「皆、ご苦労だが席をはずしてくれ」
部屋には、国王陛下、第二王妃、クレアさん、ヒロさんの四人だけとなります。
「さて王妃よ、汝の考えを聞きたい」
「クレアは、このヒロ殿の妻になりたいようです、ただ平民への降嫁は難しいと考えます」
「そうだな……」
「しかし、ヒロ殿は間違いなく『神の使徒』です」
「汝の鑑定がはじかれたのであろう?」
「先ほど、ヒロ殿は自らそれを証明されました」
「そこで私の提案ですが、ヒロ殿には、クレアを娶るに神より祝いを頂いたよし」
「それを献上していただき、その功により、どこかの空席の爵位をさずけ、ヒロ殿に貴族になっていただいてはどうかと」
「貴族のヒロ殿に、言葉は悪いですが、出戻りで傷物のクレアを押しつける」
「これなら、貴族連中も納得するかと考えます」
「なるほどな、落としどころであるな……しかし、腐っても王女、降嫁先の爵位は最低でも辺境伯となるが……」
「一つ空位の辺境伯があるかと思いますが?」
「あそこか……」
「なにもない領地ではありますが、それでも税はかかります、それ故、だれも欲しがりません」
国王陛下が、
「君は貴族になりたいかね?」
「なりたいとは思いませんが、クレア様を娶れるなら何でもいたします」
「クレアは一応は王家の娘、相手は最低でも辺境伯以上となる」
「君から『神からの祝い』を献上してもらい、それによってそのような高位の爵位につけるには、波風が立つわけだ」
「しかし波風の立たない貧乏くじの領地が一つある、誰からも嘲笑を受け、貴族のつきあいは嫌われるかも知れないがな」
「構いません」
「まあ聞きたまえ、その領地は何一つないのだ、君も知っている『還らずの荒野』と呼ばれる場所だ、君は通ったそうだね」
「あそこは正式にはヴァルベック辺境伯(マーグレーブ)領といって、我が王国の最東端の場所だ、三方は我が国だが、東隣は帝国領となっている」
「知っての通り、なにも実らぬし、領民もいない、現在は王家が管理している」
ヴァルベック辺境伯(マーグレーブ)領は一つの盆地の様になっており、四方を山が取り囲んでいる場所、そのうちの北と西は1,500メートルはありそうな、断崖絶壁に囲まれており、南は一本の峠道がある。
この峠道が北へ続いて抜けられると噂されているが、それはでたらめです。
東側も山で、帝国側にも同じような崖が続いているように見えましたね。
後で聞いたのですが、東側には盆地がくっついており小さい山並みがそれを取り囲んでいるとか、こちらは帝国の直轄領、無人のようです。
この帝国側の小さい山も断崖絶壁で囲まれていますが、こちらは700メートルぐらいの崖のようです。
一応崖沿いに道があるそうです。
王国としても、あまり詳しくは知らないようなのです。
「ついこの間、君が抜けたという北側で、帝国と小競り合いがあり、麓の町が攻撃を受けた」
……それで……なんとなく危ないと感じたのですか……
「そんななにもない領地なのだがだな、建前として土地の税がかかるのだ、其の額が100万ランドだ」
王国の地代は1平方キロあたり0.5ランドときいています。
えっ200万平方キロ?グリーンランドなみ?ゴビ砂漠でも130万平方キロですよ……確かに上からみたら広大でしたが、いくら何でも……吹っ掛けすぎでは……
手元に金の1キロ袋が606袋もありますからね……
闇ルートで換金したキロ袋は、100枚の1000ランド金貨、300枚の100ランド金貨、100枚の50ランド銀貨……
つまり13万5千ランド……約7袋半と少し……80年分はありそうですよ……
でも……たしか毎日21グラムほどあの場所に堆積しているはず……
一年はこちらでも365日ですから7,665グラム。
1グラムたしか100ランド金貨一枚、純金をランド金貨に交換すると、135%ですから135ランド。
7,665×135で1,034,775ランド……あれ、100万ランド支払っても、34,775ランド余るではありませんか♪
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