惑星エラム 幻のカタカムナ 第五部 神去り神在り編【ノーマル版】

第七十一章 幻のカタカムナ

神の申し合わせ

　その頃、仄暗い『いずものおおやしろ』の結界では……
「コータヴィーの波動が消えた……しかも別の波動が世界を覆い始めた……」
　
　天之御中主（あめのみなかぬし）様がおっしゃっています。

「私たちの娘は、試練に打ち勝ったようですね」
「私たちのお役目も終わりましたね、天之御中主（あめのみなかぬし）様、後は私たちの事も含めて、娘に任せましょう」

　神産巣日神がこうおっしゃると、高御産巣日神が、
「天之御中主（あめのみなかぬし）様は、娘のグランパですよ」
「我が？」

「御本体は最早、神（かみ）去られておられます、貴方様が、この有の世界に残られたとしても、大したことではないのではありませんか」

「ならば今まで、数々の辛いお役目を成し遂げた、娘の願いを聞いてもいいではありませんか」
「このような考えに、貴方様が染まっても、今なら影響はないでしょう」
　
　神産巣日神も、
「そうですよ、私たちの娘であり、貴方様の孫である存在存在が、必死で守り育てたこの有の世界、私たちも手伝いませんか」
「そして家族として、その存在と過ごし、遥かな時の彼方で、共に御本体、大神様と出合いましょう」

「我の家族か……有に染まり、孫をいつくしむのか……それも良いかも知れん……」

「天之御中主（あめのみなかぬし）様、お顔に喜びが浮かんでいますよ」

「我も人の思いを知ったようだ、孫の帰りをまつ老人の気持ち……」
「そうだな、人のいうところの余生、リタイアした人生というか……そうしよう」

　天之御中主（あめのみなかぬし）様が<
安堵したような顔でいいました。
　
　……我も有に染まったな……しかしそれもよいものだ……

　ペルペトゥアさんが、

「私たちの仲間は、どこにいるのでしょう」
「お二人を構成していた多くの幽子は、私が作った世界に転送しました」
「凍結時空間にありますが、物理世界に具現させます」

「私は天之御中主（あめのみなかぬし）様の神意を受け、皆様をこの境遇から、私たちの世界の仲間として迎え入れる為に、やってきたつもりです」

「時の輪を悪しき力で回す、有の世界を維持する為の、必要悪は今ここで、必要がなくなったということです」

「天之御中主（あめのみなかぬし）様の御本体は、最早この世界にはおられません、神（かみ）去られたのです」

「神は『調和』を求め、この有を作られた、そして『調和』に出会う為に、デーヴァのインペラトル、アスラのコータヴィーなどをおつくりになり、この『有』の世界を進化させてきた」

「そしてついに御本体、『大神様』は有を去られ、本来の世界に溶け込まれたと、私は考えています」

　二人に、衣服を整えるように促し、
「新しい世界、惑星カタカムナを検分しに行きましょう」
「貴女たちが執政官として、皆を率いてください、まだ時間は凍結されています、どのような修正も可能です」

「お二人には、その力も与えたつもりです」
「世界のありようを決めたら、私に報告してください」
「その時、時間を動かしましょう」
　と、言ったのです。